イノシシ天国 その2

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→イノシシ天国 その1からつづく


それ以来、夫は休日の度に日帰りか一泊で西表にイノシシのワナの見回りに行くことが何度か続きました。

あるとき、港に迎えに行くと、いつになくニッコニコしています。

甲板に置いた荷物は行く時に持っていたリュックの他に麻袋が一つ増えていました。

「見てごらん」

船から下りる前に手招きをするので近寄ると、何かが入っている麻袋の口をそっと開けて見せたのです。

「ん?」

「へへへ」

「イ、・・・イノシシ?生きてる!」

ワナにかかった若いオスのイノシシをゲントクおじいさんに譲ってもらって持って来たのでした。

「に、逃げないの?」

「四本の脚をしばってあるから大丈夫」

そう言うと他の乗客の目を気にしてまた麻袋の口を閉じました。

帰りの車に荷物を積んでの帰り道で聞きました。

「どうするの?」

「飼うんだよ」

まだ私たちに子どもができる前でしたから、動物を飼ってわが子のようにかわいがりたいという気持ちはわからないでもないのですが。

「でもイノシシねえ。・・・」

「馴れればかわいいもんだぞ」

牧場に着いて麻袋から出してやってもまだイノシシは四本脚をきつく縛られていて動けません。

鋭い牙が危険なので口まで縛られています。

人間が怖いと見えて、背中をちょっと触ってもキーキー鳴いて身をよじって逃げようとします。

「しばらくはイヌみたいにロープでつないで飼うってもんだな」

家の前の空いた草むらに杭を立てて、それにイノシシのロープをつなぎました。

始めは杭の周りをロープを引っ張ったままグルグル走り回って落ち着かなかったのが、毎日エサをやっていると本当に馴れてくるものです。

自分に害を与えないとわかると人間も恐怖の対象ではなくなるようです。

「な、かわいいだろ」

「うん、イヌみたいなもんだわね」

「イヌより賢いかも知れんぞ、なあ、トンキチくん」

「ブヒブヒ」

「トンチキ?」

「ちがうよ、トンキチ、トン吉だよ」

なんか陳腐な名前の付け方・・・。

「トン吉か・・・。トンちゃん、・・・トンちゃん」

「ブウブウ」

トンちゃんはイヌのように飼い主によく馴れて、ロープを引いてお散歩に連れて行くこともできました。

もっと馴れてくると、ロープなしでも逃げないどころかどこまでも飼い主についてきます。

だいたい、イノシシやブタは意外に賢いのです。

少なくとも牛よりは賢く、きれいずきです。

牛は小屋の中どこでも糞を歩きながらぼとぼと落として、時にはそれがエサ箱に入ったりもします。

ブタはエサの近くや寝る場所では糞をしません。

小屋の中でも隅の方の決まった所に行ってします。

つまり自分でトイレの場所を決めてするのです。

自分の経験から、家畜の中で頭のいい順番で言うと、


ウマイノシシ(ブタ)ウシヤギヒツジの順ではないかという気がします。


さてトンちゃんと遊んでいると訪ねて来た人がありました。

知り合いのケーキ職人のN村さんです。

今度結婚することになったので婚約者の女性と挨拶に来たのです。


「これですか、イノシシ飼ってるって」

N村さんがチラと見ると、トンちゃんは知らない人に警戒するように飼い主の後ろに隠れました。

「彼女と籍を入れるんですが、実はその婚姻届の保証人にお二人になっていただきたいんです」

「かまわないけど、僕たちでいいの?」

「ええ、ぜひお二人に」

共通の友人ということだからでしょう。

「ハンコと朱肉持って来るわ」

婚姻届には保証人の欄があります。

成人2名の署名と捺印が必要なのです。

サインして婚姻届が完成。

と、

「トンちゃんの鼻でハンコするか?」

え?イノシシの鼻で捺印?大事な婚姻届に?

冗談じゃないですよ、止めて下さいよ、と言うかと思いきや、N村さん、

「おもしろいですね、やりましょう」

笑っています。

そんなあ。漫画じゃあるまいし、ブタの鼻の穴のスタンプ押した婚姻届、役所で受理されるんでしょうか。



イノシシ天国 その3につづく

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No title

>とみやんさん

来月また鹿川のキャンプです。
今度は本土から友達とその知り合い、計3人来て、長女次女も参加します。
人数がどうにか増えたのでチャーター船で直接に鹿川の浜まで横付けです。
荷物は船で運んでもらう楽々キャンプなのです。

いいすねー

こんばんは。

いろいろ西表の情報を見ていてこちらにたどり着きました。
すっごい経験してますね。
仲間川漂流は最高っすね!
大浜から4時間泳いたってのも伝説もんです。
私も毎年西表にキャンプに行ってるので参考?になります。
って普通のキャンプですけど。。。
鹿川で会えればいいすね。
これからのブログも楽しみにしてます。

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