私の黒いランドセル その6

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→私の黒いランドセル その5 から つづく


黒いランドセルはさすがに4万円の価値はありました。

鉄兵の同級生は毎日使っていたランドセル、卒業前についに肩紐が切れてしまって、六年生の最後のころは手提げカバンで登校していました。

鉄兵のランドセルは少々乱暴に使ってもほとんど傷んでいません。

もし弟が2人いたら三代使えそうです。

三倍高いだけのことはありました。

入学式で、また父さんが挨拶です。

「うちのくるみのランドセルは黒です。兄のお下がりだからです。女の子なのにかわいそうと思う人がいるかも知れませんが、物を大切に使うことを教えたいので黒いのを持たせます」

と演説。

黒いランドセルで通学が始まりましたが、からかう子はいませんでした。

1年生はくるみを入れて3人。

級友の二人とも幼稚園の時からの仲良しでした。

少人数のクラスで、持ち物ごときで仲間はずれにしていたら自分が遊ぶ相手がいなくなってしまいます。

からかうどころか、中学に進んだ上級生が

「女の子で黒はかわいそうだな。まだ十分使えるのがあるからあげよう」

と言ってくれたり、教頭先生が

「娘ので新品のが一つ余っているから使ってくれないか」

と言ってくださったり。買わなくても不自由なさそうでした。

かと言って、物を大切に使うために、と宣言した手前、ただならください、というのも気が引けてそのまま黒いランドセルを使っていました。

姉のきりんの赤いランドセルはまだ使用中なのでお下がりはできません。

きりんが小学校を卒業して赤いランドセルのお下がりをもらえる時には、くるみは四年生になっています。


くるみが二年生のとき、担任の先生が黒いランドセルについての作文を書くように勧めてくださいました。

沖縄県金融広報委員会の主催する「お金の作文」というコンクールに応募したのです。


「私の黒いランドセル」

という題名で、黒いランドセルを使うことになったいきさつや心理描写が正直に書かれてあって上手にまとめまとめられました。

女の子で(お嬢様学校の校章入りの学校指定ではなく)お下がりの黒いランドセルというのも珍しいことですし、内容が変わっていたので、なんとその年の特選の賞をもらっちゃいました。

那覇での表彰式に参加するための往復航空券付きです。

ラッキー。

『お金を大切に使いましょう』いう趣旨の広報のための作文ですから、くるみの家でどうやって節約しているか、ということも書いてあるわけです。

おまけに

「おかあさんは、二十五年前のワンピースをまだきています。」

とか

「お父さんも、ボロボロのTシャツをつけて毎日おしごとをしています。うちの中の こわれたどうぐも、すてないで なおしてつかっています。」

などと実に正直に書いています。

さらに、

「おなべや やかんの古いのは犬やヤギに水を飲ますときにつかいます。

お父さんはいつも

もったいないだろう、まだつかえるのに、すてないでくれよ

と言っています。」

と、我が家の内情を書き綴っています。ちょっと気恥ずかしい。

そして最後に

「わたしは、えんぴつも みじかくなるまでつかうことにしています。むだをなくしてお金をたくさんためて、おとなになったら おだんごやさんをするのが わたしのゆめです。」

と結んでいます。

う――ん、審査員の心に届きそうな作文ですねえ。

この作文以来、我が家では

「すてないでくれよ」のフレーズが流行りました。

少々髪も薄くなってきた父さんが、忙しく家事をしている女房や学校の宿題であたふたしている子どもたちに、そう呟く姿は、悲哀を感じるものがあります。

すてないでくれよ、まだ使えるじゃないか

→秘密の山小屋その1 につづく




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