私の黒いランドセル その4

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→私の黒いランドセル その3からつづく




4万円のランドセルを背負っての登校は、毎日親が送り迎えです。

朝は相変わらず鉄兵、早起きができず、ギリギリまで寝ています。

「これ以上寝てたら遅刻するわよ!」

たたき起こして、寝ぼけ眼のまま車の後部座席に無理やり押し込んですぐ出発です。

髪を梳かしたり顔を洗ったりする暇はありません。

朝ごはんも食べる時間がないまま車に乗ったので、車内で食べるように用意しておいたサンドウィッチやおにぎりをわたします。

もぐもぐ食べていたと思ったら静かになってしまいました。

学校まで4㎞走る間にもう熟睡しています。

「着いたよ、ハイ、学校行ってらっしゃい」

せっかく気持ちよく眠っていたのにまたまた起こされて、半分眠りながら校門の中へ入って行きます。

ここで送り届けた責任を果たして親は帰宅するわけです。

そしてまた午後に迎えに行きます。

朝は毎日決まった時刻に始業開始ですが、下校はその日によって時間割がちがうし、放課後に残って作業をすることもあるのです。

校門の前で待っていても子どもはいつ出てくるかわかりません。

教室まで迎えに行くことになります。

「あら、砂場で遊んでいたのね、迎えに来たわよ、帰ろう」

「あ、お母さんお迎えですか、ご苦労さまです」

「先生、いつもお世話になってます」

「鉄兵くん、今朝も眠そうでしたね」

「実は学校に着くまで車で寝てたんですよ」

「校門を入った後も寝てましたよ」

「はい?」


どうやら校門を入ったのを見届けて安心して帰ったのですが、その後のことです。

門の近くに枝振りのいい松の木がありますが、この松の木の根元で腰を下ろして休憩してしまったようです。

すぐ後に登校してきたのは5年生の女子でした。

松の木の幹に寄りかかってランドセルを背負ったまま眠っている鉄兵を見つけた5年生は、鉄兵をおんぶして1年生の教室まで運んでくれたそうです。

「先生、校門のそばで寝ていたので運んできました」

背中に鉄兵、その他に鉄兵のと自分のランドセルを持って教室まで連れて行ってくれたのでした。

門に近い所に体育館と中学校の校舎、そして運動場を挟んで反対側に小学校の校舎がありました。

1年生の教室はその中でも一番端の遠いところにありました。

そこまで負ぶって行ってくれた上級生と眠ったまま運ばれた1年生。

普通はおんぶされたとたんに気付くと思うのですが。


「先生、今日は授業中に居眠りしていませんでしたか?」

「眠ってはいませんでしたけど・・・。午前中はずいぶんとテンション低いですね、いつも」

「いつもですか」

「朝の会の時はボーッとして4校時か5校時ころになってやっと活動的になってくるようですね」

(夜中に寝て昼頃に起きていた習慣のそのままだ)

やはり夜間小学校を探すべきなのでしょうか。

朝起きられないのは夜早く寝ないからです、もちろん。

早く寝ろと言っても布団に入ってからしばらく目を開けています。

眠れないのです。

車に乗るとその振動で眠くなるというのは赤ちゃんの時に経験済みです。

同じ手を使って父さんの運転で夜のドライブということにしました。

「おい、9時だ、車に乗れよ」

「なんで?」

「寝ろと言っても寝られないんだろ。夜のドライブだ」

「行きたくないよ」

「いいから乗って。車に揺られてたら眠くなるさ」

枕とタオルケットを持って車に乗せます。

これで30分も走って眠ることもありますが、1時間乗っていてもまだ眠れないこともあります。

生まれてから6年間夜行性の生活をしてきたのですから、生活リズムを直すのにも同じくらいの年数、あるいはそれ以上かかることになるのかも知れません。

3年後にはきりんも入学。

きりんの学年は同級生がありませんでした。

「たった一人の入学式」という見出しで地元の新聞に写真入りで記事になりました。

人数が少ない学校なので複式学級です。

つまり、1、2年生のクラス、3、4年生のクラス、5、6年生のクラスと、全部で三学級しかありません。

きりんは一人の入学でしたが同じ学級には二年生のお兄さんお姉さんが2人いました。

それで先生一人に児童が三人という学級でした。

教室そのものは普通サイズですから、どの教室も部屋の中が広々と見えます。

運動場を挟んで向かい側の中学教室も同じようなものです。

数人の中学生に、英語、理数科、国語、音楽、美術、と先生方は何人もあって少人数クラスの塾のようです。

各教科一人ずつの先生というわけにはいかないので、一人の先生が二~三教科持たれています。

それでも35人や40人の学級よりはじっくり教えてもらえます。


四年生の鉄兵と一年生のきりんを毎朝大急ぎで車に乗せて登校です。



「あー、時間がない、朝ごはんはお茶漬けでいいわね、車の中で食べなさい」

「お兄ちゃんが遅いから私まで遅刻になっちゃうじゃないの」

「まってえ、いっしょにガッコーいく」

「わー、なんでくるみまで乗って来るんだ」

「アンタは家にいていいの」

「いやだ、いく」

きょうだいに付いて行きたいのでしょう。

ランドセルとお茶漬けの茶碗を持ってバタバタと乗り込んで出発です。

牧場から学校までは以前は未舗装のガタガタ道が四㎞続いていましたが、十数年の間に少しずつ舗装されてきれいな道路になりました。

残る未舗装部分は牧場の出入り口の数mの間だけがデコボコ道です。

いつもはそこはゆっくり走るのですが遅刻しそうな時はそうも言っていられません。

ガタン、ゴトン!

「ヒャー、お茶漬けがこぼれたー」

「アツツ、膝にこぼれたよー」

「くるみ、狭い、もっと詰めろ」

「学校に行かなくていい奴は家で寝てろ」

「やだー、いっしょにいく」

牧場を出るとすぐ青い海と広い緑一色の草地が見えます。

急いでいなければいいドライブコースです。

「あ、カンムリワシ」

「どこどこ?」

見上げると電柱の上に特別天然記念物のカンムリワシがとまっています。

草地にいるカエルやネズミを狙っているのでしょう。

時間節約のため、途中で近道の農道に入ります。

畑と山に挟まれた細いデコボコ道です。

この農道を抜けるともうすぐ学校です。


ガタガタガタガタガタ・・・。

「あああ、またお茶漬けがこぼれた」

「もっと静かに運転してよ」

「ええ?!まだ食べ終わってなかったの?とばさなきゃ遅刻になるじゃないの」

ブイーン!

「わ!」

キキキーーーー!!! 

「なに?急ブレーキするからお茶わん落とす所だったよ」

「イノシシが・・・」

「あ、ホントだ、赤ちゃんもいる」

子連れのイノシシが細い山道を横断していたところでした。

山道を抜けるとまた見通しのよい道路です。

「あ、またカンムリワシ」

ゆっくり観察したいところですが、遅刻しそうなのでチラッと見て通り過ぎていきます。

大丈夫、子どもたちを送った後、帰りは少し遠回りをしてゆっくりカンムリワシを見て帰ります。

毎日何羽も見られるところに住んでいるのです。

田舎暮らしですが、こういうのを自然に恵まれていると言えるんでしょう。


と、ここでふと後部座席を振り返って見ると・・・。

「・・・・・・あ、・・・運動靴・・・・」

車に乗るときには鉄兵はふだん家で使っているゴムぞうり履きでした。

時間がないので運動靴を車に放り込んで、降りる直前に履き替えるはずでした。

「あーあ、ぞうり履きで登校しちゃった・・・」


→私の黒いランドセル その5につづく

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