私の黒いランドセル その2

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私の黒いランドセル その1からつづく

兄と姉に踏まれそうになりながらもくるみちゃん、健康に育っていきました。

産まれる前は、妊娠の数ヶ月前にかかった奇病のことが気になっていたのですが。

「これまでかかった病気はありますか?」

と、妊娠が分かった時に産婦人科の先生に聞かれ、

「最近、ええっと、なんだっけかな、変わった名前の病気、・・・・あ、そうだ、『レプトスピラ』にかかって入院しました。もう治りましたけど」

「レ、レプトスピラ?!」

「は、はい、そうですけど・・・」

「それは日本での話ですか?」

「はい、・・・(?)」

「うーむ、珍しいですねえ」

レプトスピラ、やっぱり日本で罹るのは珍しいことなんだわ。

そんな熱帯ジャングル特有の病気になっていたのに影響なく、無事に産まれて健康に育ってくれました、たくましい末っ子くるみさん。

外で遊びたがる上の二人の子どもに付き合って、まだ産まれて二週間くらいしか経っていないのに公園にお付き合いです。

一人で置いていくわけには行かないので。

たしか。一人目の時は寒い季節ということもあって1ヶ月は外に出さなかった気がします。


抱いていても、親としては走り回る兄姉の方ばかり注意して見なければなりません。

胸の抱っこ紐の中の赤ちゃんの顔などちっとも見ていません。

抱かれている赤ちゃんの方でも遠くの兄ちゃん、姉ちゃんを見るお母さんの、顔ではなくあごの下ばかり見ることになるわけです。

私も顔でなくてアゴだけ見て「お母さん」と思われたくはないですけど。



 季節が夏から秋に変わり、くるみの首がやっと据わるころ、父さんが私たちを迎えに来ました。

そして出発の前日、父さんは用事があって横浜の親戚の家に泊まっていました。


「明日は必ず羽田空港に遅れずに来てよ」

「飛行機が出発するのは昼1時だったな」

「うん、それまでに間に合うように早めに羽田空港で待ち合わせしようよ。12時には空港に来てほしけど」

と言ったものの、実は心配でした。

なにしろ、初めてのデートでディズニーランドに行ったとき、寝坊して待ち合わせに2時間も送れてきた人です。

「昼までに、ランドセル買って行かれるだろう」

「ランドセル?・・・って、今十月だよ、早過ぎない?」

「早くたっていいじゃないか、鉄兵に早く買ってやりたいんだよ」

「でもさあ、ランドセルって、二月ごろにならないとデパートでも表に出して売ってないと思うよ」

そうです、二月~三月になるとどの店もランドセルが目立つ所にたくさん並べられています。

でもそれ以外の季節にはほとんど売れないのでしょう。

店頭には見られません。

「それに二月になれば石垣でもたくさん売っているし、安売りもすると思うよ。種類も多いだろうし」

「いやいや、都会の大きな店ならきっと売ってるよ。せっかく東京に来たんだからいいのを買ってやりたいんだよ」

「あのさあ、ランドセルって都会の工場で作ってるんだから、どこで買ったって同じと思うけど。何も今買わなくても・・・」

「買ったっていいじゃないか」

「はいはい、どうぞ」

言い出したら聞かない父さんです。

大体売っているでしょうか?十月に入学用品なんて。

それに出発の日の朝の慌しい時に買いに行かなくてもよさそうなもんですが。

当日の空港へは子ども3人と私、それに私の両親が車で送ってくれました。



「遅いねえ」

「やっぱり時間通りに来ない」

「間に合うのかねえ」

「あ、おとうさんだ!」

「ああ、良かった、間に合った」

「おーい、買って来たぞー、ランドセル」

いれいな新品箱入りのランドセルを脇に抱えてうれしそうにこちらに来ます

「あ、ほんとに買ってきた」

「横浜駅前に『そごう』ってデパートあるだろう」

「うん」

「あそこなら大きいから売ってるんじゃないかと思って行って見た」

「ああ、あそこね」

何年か前に、知り合いと待ち合わせにそのデパートを利用したことがありました。

めったに都会で買い物をしない父さんもそれで覚えていたのでしょう。


「そしたら開店が十時なもんで開くのを待って入ったんだ」

「よく売ってたわね」

「ああ、学用品の売り場に黒いのは一つしかなくてそれを買った」

現品限りっていうのですね。

もしかして売れ残り?


「ところでいくらだった・・・・」

「おい、鉄兵、ちょっとこっち来て見ろ」

私の質問は聞こえないようです。

「ねえ、いくらだったの、って聞いてるの!」

「消費税入れて四万二千円」

「え、えええええっ!!」

高級ブランドのハンドバッグじゃあるまいし、高すぎます。

普通は売り出しの時に二万円以下で買えます。

安売りの時期には一万円以下で売っているのをみたことがあります。

「その値段で普通のランドセルが三つ買えるじゃないの!」

「そうか、ランドセルってこんなもんじゃないのか」

箱を開けると『高級牛革使用』のラベルが。

どこが高級なのか見ただけではわかりません。

別に高そうにも見えない普通のランドセルです。

言われなければ四万円とは思えません。

女房にブツブツ言われても、意に介さず、買った本人は満足そうです。

「鉄兵、ちょっとこれ背負ってみろよ」

五歳児にしては小さい身体の鉄兵の背中に『高級ランドセル』が身体より大きくはみ出してピカピカ光っています。

「おお。似合うぞ、歩いて見ろ」

羽田空港のコンコースを端から端まで、季節はずれのランドセルを背負った幼児が歩きます。

目を細めてうれしそうに眺める鉄兵の父親。

と思いきや、父さんは目を真っ赤にして涙を拭いています。

よく泣く人です。

「ランドセルを持って学校に行くまでよくぞ育ってくれたなあ。鉄兵がランドセル背負って歩く所を見たかったんだ。これだけでも四万円の価値はあるさ。鉄兵、生まれて来てくれてありがとう」

ちょっと爺臭いなあ。

死期の迫った老人のようなセリフです。

子どもの成長にはよほど思い入れがあるようです。

後日談ですが、この高級ランドセル、値段の通り普通のランドセルの三倍は長持ちしました。


その話はまた後日。

後日談ですから。


→私の黒いランドセル その3につづく

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