キャンプの後遺症 その2

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キャンプの後遺症 その1からつづく


病名がわからないのは不安です。

「何かの感染症だと思います」

「何に感染したんでしょう?」

「それがわからないんです。一応、今、調べています。この病院では検査できない項目があるので、検体を福岡の検査機関の方に送っていますからまだ時間がかかると思います」

検体、って何だ?血液か?

とにかくただごとではないようです。

点滴のおかげで命拾いはしましたが、吐き気と下痢は止まりません。熱もあるし、頭もガンガン痛みます。

「とりあえず、抗生物質を投与します。改善がなければ別の種類の抗生物質に切り替えてみましょう。そのうちどれかが効くでしょう」

そういう治療法なのね。

獣医のO先生も心配してくれています。

「熱が下がらないって、それって新種のマラリアか何かじゃないの?」

昔は石垣島にもマラリアという病気はあったのです。

ですがマラリアを媒介するハマダラ蚊という虫はジャングルの中に棲んでいるので街中にいればハマダラ蚊にも刺されず、マラリアに罹ることもなかったのです。

でも戦時中に強制疎開で移住させられて、多くの市民がいつもは人の行かない山に中に移り、次々とマラリアに罹ってしまいました。

栄養失調で体力のない老人や子どもたちを始め、バタバタと倒れていったのです。

戦後日本国内でのマラリアは撲滅されました。

と言ってもマラリア患者がいなくなってマラリアの病原体がなくなった、というだけで、蚊が絶滅したわけではないのです。

ハマダラ蚊そのものは石垣島や西表島の山の中に生息しているのです。

マラリア病原体は持っていませんが。

「もしかしてマラリアかなあ」

「そんなはずはない。マラリア患者がいないのにあるわけがない」

抗生物質を替えながら点滴を続けてどうにか下痢は治まってきました。

でも食事が取れません。

「ご飯が食べられないうちは退院するのは無理ですね」

と、看護師さん。

それはそうだ。家で一日中点滴はできません。。

「家でオレが点滴してやろうか」

牛が病気になると獣医さんにもらった薬を点滴するのもカウボーイの仕事です。

町に近い農家なら獣医さんに来てもらうかも知れませんが、僻地の牧場ですから獣医さんの順番を待つより自分でした方が早いのです。

牛は皮膚が硬く厚いので針を軽く刺したのでは通りません。

なにせ牛革ですから。

注射針だけを頸静脈の所をねらって、勢いよく強く、プスリと突き刺します。

刺さったらそれに点滴チューブを繋げます。

そういう牧場での点滴の情景が頭に浮かびました。

「い、い、いいです。入院でいいです」

毎日様子を見ながら点滴が続いて、1週間以上経ったある日、突然熱が下がり、流動食が取れるようになりました。

「抗生物質が効いたみたいですね」

「熱も下がって気分もよくなってきました」

「それはよかった」

「それで何の病気だったんですか?」

「まだ検査の結果が来ていません。でもこの薬で効くということがわかったのでこのまま点滴を続けましょう」

まあ、治療法があってよかったです。

十日目になって、頭痛も消え、食事が取れるようになりました。

「もうだいじょうぶですね。今日退院してもいいですよ」

「ありがとうございます」

やっとお家に帰れます。

「結局、退院までに病名はわからなかったですね」

「でもまあ、治っちゃったんだから、退院してもいいでしょう」

そういうもんか。まあ、治ったんだからいいか。

家に戻りましたがまだフラフラします。

病院にいなくてもいいというだけで、体調はまだ充分ではありません。

日常生活もやっとです。家事もこなすのが苦しいくらいです。

2週間ほどして病院から連絡がありました。

「検査の結果、病名が判明しました」

「何だったんですか?」

「レプトスピラです」

何?それ。恐竜みたいな名前。

病院で見せてもらった医学書のコピーには説明が書かれてありました。

「亜熱帯のジャングルの川や池の水から感染する。病原体が消化器官に入れば激しい下痢や嘔吐を引き起こして、脳に入れば脳炎を起こす可能性がある。生命に危険がある」

ひぇーっ、こわい。マラリアに当たらずとも遠からずだったわけです。

「山の中の水を生で飲んだり、水の中に入ったとき、傷口や皮膚から侵入する」

そうか、あの時だ!西表の川で一日中子どもたちを遊ばせていたときです。

足の傷やブヨに刺されて掻いてできたカサブタから侵入したのかも知れません。

よくまあ,子どもたちが感染しなかったものです。

「オイ、この本に載ってるぞ」

と父さんが出してきて見せたのは、うちにある「臨床獣医ハンドブック」でした。

家畜の病気の症状や治療法が書かれています。

狂犬病と並んで、イヌの病気のページに載っていました。

「ネズミなどの尿に出た菌が池や川に入って感染する。イヌに限らず、ネコ、ブタ、キツネなどにも感染する」

とあります。

おまけにそこにある治療薬の名前は病院で私が点滴されていた抗生物質と同じ物でした。

まあ、治ったんだからいいです。

そうだ、今度牧場に来た若者をだますのに使おう、この病気の名前。

「あの珍しい大きな鳥は何ですか?」

「アレは古代からこの島に住む翼竜で、レプトスピラというの」


→キャンプの後遺症 その3につづく


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