遭難アドベンチャー その7



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遭難アドベンチャー その6 からつづく

二人の遭難の体験談はまだ続きます。

一晩経って、救助を待っていてもいっこうに来ないから、もうオレたちはダメかと諦めかけたよ。

こんな所でエンジントラブルになるとは思っていないだろうな。

すぐ近くのカノカワに行くって言って来たから。

まさか仲ノ神島まで通信機も積んでいないこの舟で来ているとは思いもしないだろうし。

海上保安庁の捜索の船やヘリを出してくれたとしても、西表の海岸を見るだけでこっちにまでは来ないだろう。

ましてこんな島の裏側。

来てくれたとしてもオレたちに気付かず引き返してしまうに決まってる。

ああ、O橋に電話して聞いてくれたら・・・。

「もしかすると仲の神島に行っているかも知れないですよ。あんな島に行って大物を釣りたいと、ボクには話してくれてました。そうだ、仲の神島を捜索してください」

って教えてくれるだろうけどなあ。


そんなこと思いつくはずがありません。

四級小型船舶の免許でそんな遠くに行かれるはずがないんですから。

衣類も水も食糧も通信機器も持たないでよくまあ遠くに行ったものです。

無謀としか言いようがないですね。


二日目になって遠くからこっちに向かって来る船が見えたんだ。

うれしかったねえ。

神様に見えたよ。

ボートにちょうど長い竹竿があったから、白いビニール袋を結び付けて思いっ切り振りまくったんだ。


このにわか作りのSOSの白旗はダイビング船からよく見えたそうです。

長い竿の先に白いビニールを括り付けて必死で振っている小舟を発見してくれたのは、西表のダイビング船でした。

ちょうどダイビングのお客さんを乗せて、熱帯魚の多いその島に来ていたのです。

しかも島の裏側へ案内している途中でした。

その辺りはいつも行くダイビングの場所というわけではなく、その日はたまたまその島の裏側を選んだのです。

まったくの偶然だったのです。

なんと運の強い。

地獄に仏、いえ、神様です。

仲の神島に、本当に神様がいました。

「ダイビングチーム うなりざき」という神様のダイビング船が。


こうして親切なダイビング船に助けられ、曳航してもらってウフバマへ到着したというわけです。

昨日からの一通りの体験談を聞いていると、カノカワの方からTさんの船が帰ってきました。

「カノカワにも居なかったぞ」

「はい・・・」

「アレ?何?帰ってるじゃないか」

「はあ」

「どこにいた?」

「ナカノオガン・・・」

「ナカノオガン?!」

「そんな所まで捜そうとは思いもしなかったよ!」

「はい、すみません」

そりゃそうです。

もし、海上保安庁がヘリを飛ばしても西表の海岸周辺をていねいに捜索して、何十キロも離れた島まで捜しに行くことはなかったでしょう。

私たちはTさんの船に乗せてもらい、エンジンの故障したボートはTさんの船に曳航されて大原港まで行くことになったのでした。

私はこの数日のうちにウフバマまで何回往復したことでしょう。

「おばちゃん、ここを泳いで行ってくれたんだね」

アーちゃんとみほちゃん、船の上から海岸線を見て、あらためての私が泳いだ距離を知って感心しています。

「アンタの奥さん、助けを呼びに来たとき、一生懸命走って来たんだね。脚の後ろ側や背中にも砂がいっぱい飛び散っていたよ」

「そうみたいですねえ」

ゲントクおじいさんんの言葉に言葉少なに答える父さん。

船はあっという間に港に到着。

いやあ、船は速い!

ダイビング船の人や駐在さんやTさんには後日ですが相当のお礼をしておきました。

特に「ダイビングチーム うなりざき」のスタッフの方々は命の恩人ですから。

お客さんを乗せてお仕事中だったのに、壊れた舟をウフバマまで引っ張って来てくれたのです。

実名出しちゃっていのかな。

良いことしてくれた話だからいいでしょう。

往きも帰りも舟でドア・ツー・ドアのように快適なキャンプだったはずが精神的にも肉体的にもとっても疲れたキャンプになってしまいました。


すっかり落ち着いてからようやくスーやンともゆっくり話ができました。

「よくあんな距離を泳いで行ってくれたね」

「二人もたいへんだったろうけど、私たちももう食料がほとんどなくなってピンチだったんだもの」

「実はね・・・」

「はい?」

「テントに置いていったボクの荷物」

「うん」

「あのリュックの中に少し非常食が入っていたんだ」

「そうだったの」

他人のカバンの中まで探そうとは思いませんでしたから知らなかったのです。

「それだけじゃなくて、実は・・・」

「ボクのケイタイも入ってたんだ」

「ええっ?じゃあ、泳がなくても電話すればよかったの?」

結果的には命の恩人は私でなくて、助けてくれたダイビング船ということになりましたが。

それでも、駐在さんの奥さんがおにぎりを作ってくれたのはありがたいことでしたし、Tさんの舟を出してもらわなければ、壊れた舟だけウフバマに戻って来ても全員帰れなくて困ったことになったはずでした。

この時私は知りませんでしたが、当時の離島では携帯電話が通じる範囲が小さく、このウフバマでもスーやンの持っていた携帯の会社のは圏外だったのです。

今でもここの海岸で使えるのは1社のみ。

それも30㎞南にある波照間島の中継所から来る電波を頼りにするものでした。

しかしですよ。

波照間島から障害物のない海上を電波が渡ってこられるのなら、絶海の孤島の仲ノ神島にも電波は届いたのでは?

距離的にも同じくらいですし。

利用可能な携帯電話を持って行ったらこんなことにならなかったのです。

誰も遭難すると思って海に行くわけではないのですから仕方のないことです。

どうにか船着場まで行って全員そろって石垣に帰ることができました。

エンジン故障のボートはいずれ石垣の修理屋さんに持って行かなければならないのですが、今回はとりあえず西表に置いておくことにします。

Tさんに頼んで適当な川の中にあとで入れておいてもらうことにしました。次回に西表に来るまで台風が来たとしても、マングローブの林に囲まれた小さな川の中なら安全です。

これが失敗の元。

舟が予想もしない大被害に遭うと気が付くのは1ヶ月も先のことです。

「やあ、どうせ来月またO橋君と西表にキャンプに来るんだ。食器なんか持ち帰らないでも置いとけばいいんだ」

O橋君、よほど無人の海岸のキャンプが気に入ったのでしょうか、ひと夏に2回も来るなんて。

この舟にキャンプ用具の食器やアルミの鍋類なども置いていくことにしました。

翌日の飛行機を予約してあったスーやンも今日中に石垣行きの定期船に乗らないと家に帰れなくなってしまいます。

やっぱり今回も穏やかなキャンプではなかったのでした。

何事もない生活がいいのなら、始めからキャンプになんか行かなければいいということになりますけど。

石垣で一晩泊まって翌日スーやンやアーちゃんたちも帰って行きました。

「おばちゃん、すごいね」

という言葉を残して。

この二日後、今度はアキちゃんという女の子が遊びに来ました。

彼女は学生時代に牧場に来てから何回も長期の休みのときに来てくれています。

就職してからも休みをとって子供たちともいっしょに遊んでくれています。

夏の牧場はいわゆるリピーターで千客万来です。

普段は遊び相手のいないさびしい場所がこのときだけにぎやかになって子ども達も喜んでいます。

スーやんもアーちゃんも帰ってしまった翌日、私は熱を出してしまいました。

始めは疲れが出たのか、風邪か、と思ってエアコンのない蒸し暑い部屋でがまんして寝ていたのですが。

アキちゃんが来た日には相当悪くなっていました。

普通の病気ではなかったのです。


キャンプの後遺症 その1につづく



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No title

>スーやん

多少脚色しちゃってます。すみません。

懲りない父さんと甥っ子(妹の長男18歳)が、今また西表無人海岸にキャンプに行っています。
2週間以上帰って来ません。
今回はこのキャンプのために通じるケイタイを買って行きました。

「ダイビングチーム うなりざき」は今は石垣島にもショップができたようです。
今度訪ねてみようと思います。

当事者です・・

いつも更新を待ちわびて読ませてもらってます。

あらためて振り返ってみると色々な方々に心配、迷惑をかけて
しまったんですねえ・・・スミマセン・・今更ですが。

ダイビング船に助けられた時、スタッフの方のお弁当を頂いたの
ですが、遠慮する我々に「これ食べてくれないとこの船には乗って
もらえないなあ・・」と言って下さった事、今も鮮明に覚えています。

あとは、渇き感というか・・・たった一晩の遭難でしたが、家に帰って
からも大量の水分をしばらく摂取し続けていたのも思い出します。

では、また。
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