遭難アドベンチャー その3



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遭難アドベンチャー その2からつづく


「そろそろアーちゃんたちが着く時間だ」

撤収して舟はまた川を下り、海に出ます。

今日はもう波も静かです。

大原港に着くともう高校生のアーちゃんとその友だちのみほちゃんが待っていました。

この二人とは数ヵ月ぶりの再会です。

春休みを利用して二人はアーちゃんのおばあちゃんを伴って遊びに来たことがあるからです。

おばあちゃんというのは私にとっては姑の姉にあたります。

つまり正確にはアーちゃんは私の夫の従妹、ではなくて従妹の娘です。

関係を説明するとややこしくなるし、親戚にはちがいないので、ここでは従妹ということにしておきます。

半分、いえ、十分の一くらいはフィクションですから。

千葉から羽田空港に、そして飛行機に乗り、石垣空港に着くとすぐ西表行きの定期船に乗り換えてここまで半日かけて来てくれました。

これで子どもを入れて7人の参加者全員そろってボートは出港です。

昨日は上陸をあきらめたウフバマに再度向かいます。

海面から突き出した四角いトウフ岩を通り過ぎ、時々見える小さな白い砂浜。

陸の上の方に滝が見えます。

1時間も乗っているとようやく目的地のウフバマ到着です。

「わあ、きれい!」

「ホントだあ、すごい、白い砂浜」

千葉や湘南の海岸の黒っぽい砂浜とはちがう砂の色です。

「海の色がちがうよね」

ボートはゆっくり岸に近づきます。

砂浜に乗り上げてしまうと後で舟を出す時に動かなくなってしまう可能性があるので、ある程度浅くなった所で繋留します。

今は小潮の時期なので干潮でも海は膝くらいの深さはあります。

リュック、魚を獲る道具、氷と缶ビールとペットボトルのジュースが入ったクーラーボックス、と次々に荷物を下ろして岸に運びます。

重いクーラーボックスも海面に浮かばせれば楽に運べます。

「ああ、自家用のボートで来ると楽だわ」

子どもたちは抱いて連れて来なくても、ひもの付いた浮き輪をはめて泳がせて引っ張ってやればこれも楽チンです。

定期船も通わない、道路もない、誰も来ない、この海岸は無人島のようなものです。

ここで魚や貝を獲って、毎日新鮮な魚介類の食事の食べ放題のキャンプが始まりました。

持参した食糧は米と調味料。あとは自給自足の予定でした。

人が来ない無人島のような海ですから、魚はたくさん獲れて食べ切れなくて困るくらいだろうと勝手に解釈していました。

それで食べる物はあまりたくさんは持って来ていません。

キャンプ3日目、明日はもう帰るという日になると食べる物が乏しくなってきました。

思ったほどには大漁というわけではなかったのです。

朝のご飯を食べるともう食糧がほとんどありません。

「海岸近くではそんなに大きな魚は獲れないな」

「もうお米もないよ」

「よしっ、沖に出て大物を釣って来よう。今日が最後のチャンスだしな」

こういうときもボートがあると便利です。

「スーやん、釣りに行こうや」

「おお、行こう、行こう」

「晩のおかず獲って来てね、待ってるよ」

「まかしとけ。カノカワの方に行ってみるかな。野菜のおかずだけ作っておいてくれ」

カノカワはここよりもっと西の岬を回った所にある、湾になっている場所です。

魚が集まりそうな所です。

気軽に二人とも上半身裸のまま、ボートは沖に出ると西に走っていき、すぐに見えなくなりました。

野菜のおかずと言っても材料の野菜がありません。

海岸のテントの後ろの森に野生のパパイヤの木が生えていました。

青いパパイヤの実は野菜として使えます。

川をむいて種を取り、千切りにして炒めて食べるのは沖縄ではありふれたおかずです。

あとはメインディッシュになる魚が帰って来るのを待つだけです。

「おじさんたち、遅いですね」

夕方になっても帰って来ません。

魚が獲れるまでは帰れないと思ってがんばっているのでしょうか。

それとも、獲れて獲れて喜んで調子に乗って獲り続けているのでしょうか。

どちらにしても夕方には帰って来るはずなのですが。

どうしたのでしょう。

浜辺にみんなで一列に腰を下ろして水平線を見つめていました。

「あ、あれかな」

「あの船かな」

海の向こうに船の影が見えます。

近づくかと思いきや、水平方向に通り過ぎて行って見えなくなってしまいました。

どこかの漁船だったのでしょう。

しばらくするとまた船の影が・・・。

これもちがいました。

何度も何度も期待してはがっかりすることの繰り返しです。

ついにまぶしい水平線に太陽が沈んでいきます。

海を見ていたみんなの顔が、空の色に赤く染まっていました。

「早く帰らないと暗くなる・・」

気が付くときりんがすぐ横で

「カアタン、オナカスイタ」

そう言いますが、食べる物がありません。

「パパイヤチャンプル(パパイヤ炒め)しかないよ」

砂糖と醤油で味付けしたパパイヤ炒めだけを少しだけ食べて日除けテントの下のブルーシートにコロンと転がって眠ってしまいました。

鉄兵も、おなかがすいた、と言ってきましたがやはりパパイヤ炒めしかありません。

食べて水を飲んで寝てしまいました。

すっかり暗くなってしまいました。

「おじさんたち、とうとう晩ご飯までに帰って来なかったね」

「うん、そうだね」

夜になってもまだ帰って来るのを待って海岸で海の向こうを見ていました。


遭難アドベンチャーその4につづく



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