ひ弱な野生児 その10



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ひ弱な野生児 その9から続く


「ボク、トモダチほしい」

ついに鉄兵が泣きながら訴えてきました。

無理もありません。

同じ年頃の男の子と遊ぶのはせいぜい年に二回くらい。

親戚か知り合いの家に遊びに入ったとき、その家の子と遊ぶ時だけでした。



牧場のある辺りは野鳥の宝庫です。

カウボーイの「野鳥さん」は毎朝、毎夕のバードウォッチングがとても楽しそうです。

いい所に就職できたみたいです。

この島にだけしか棲んでいない種類の小動物もいます。

沖縄だけに生息する珍しいカエル、ヘビ、ホタル、セミ・・・。

野生のイチゴ、グァバも生えています。

アウトドア派なら大喜びの場所なのですが、興味がなければ仕方がありません。

それでも涼しい日を選んできりんをベビーカーに乗せて牧場内をお散歩に連れ出します。

室内で遊んでいた鉄兵も遊びをやめてついて来ます。

「ボクもおしてあげる」

いっしょにベビーカーを押して歩きます。

でも、家の周りはデコボコの石ころだらけの地面です。

舗装道路で使うことを前提として作られたベビーカーの車輪はこんな道には不向きです。

ガガガガガガタガタガタガタ・・・。

はげしく上下に震動しながらベビーカーは進んで行きますが、これって赤ちゃんの脳みそに影響ないんでしょうか。

同じきょうだいでも、きりんの方は本やパズルより外で遊ぶ方が好きなようです。

生き物も好きなようで、歩き始めるころになると、虫やカエルも素手でつかんで遊んでいました。

暑さにも強いようで夏の暑い日でも涼しい顔して外で遊んでいました。

こうなると鉄兵もつられて外に出てきます。

屋上にビニールプールを置いてホールで水を入れて、二人で仲良く水遊び。

プールの上は例のクワの木が茂って大きな日陰を作っていました。

ひとりぼっちだった鉄兵がようやく妹と遊べるようになりました。

それでもまだ2歳10ヶ月の歳の差は大きいです。

対等に遊べるわけでもなく、遊びも限られていました。


そうこうしているうちに、鉄兵4歳、きりん2歳になりました。

そこでトモダチのほしくなる年頃の鉄兵が、

「トモダチがほしい」

と言い出したわけです。


数年前に、この地区にも車で10分ほどの所に公立保育所ができました。

両親とも職に就いている事が入所の条件ですが、私も牧場の仕事を手伝うので、農家と同じように入所が認められるのです。

さっそく入所の申し込みをして面接に行きました。


「ホイクショでトモダチとあそべるんだ」

と喜んでいた鉄兵ですが問題がありました。

就寝、起床の時間帯がよその子と大きくずれたままなのでした。

夜中の2時、3時はまだいい方、ときには明るくなるまで起きて騒いでいます。

当然、起きるのは昼過ぎか夕方という昼夜逆転生活が、生まれてからずっと続いていたのです。

そう簡単には切り替えられません。


「先生、うちの子は夜更かしの癖があって、朝は早起きができないんです」

「保育所は何時に始まるというものではないですが、10時や11時に来ていたのではすぐお昼ご飯の時間になってしまいますからねえ。規則正しい生活に早く慣れるようにしてくださいね」


「・・・・と、言われたわよ」

保育士さんの言うことは常識的な意見です。

カウボーイ父さん、自分も極端な夜型人間なので、不満そうです。

「規則正しく・・って、今でも毎日規則正しく夜中は起きて昼間寝ているじゃないか」

ううん、それって規則正しいって言えるのかな。

でもまあ、トモダチと遊びたい一心で朝起きて保育所に通いました。


今まで人がいない、空気のいい無菌状態のような場所で育ってきたので、保育所に行くようになると途端に風邪など引くようになりました。

免疫ができてないのでしょう。

大草原のカウボーイの子どもはバイキンには弱かったのでした。

これも鍛え方が足りないということになるのでしょうか。


「ボク、ホイクショ、いきたくない」

1ヶ月もするとそう言い出しました。

「何がいやなの?いじめられるの?」

「ちがう」

よくよく話を聞いてみると、昼食の後のお昼寝タイムが嫌いらしいのです。

保育所に行くまでは昼間は寝ていましたが、それは夜中じゅう起きていたからです。

初めから昼寝の習慣がなかったのです。

眠くもないのに静かに1時間も寝ていなければならないのが苦痛ということなのです。

「眠れなければ、静かに本でも読んで一人で遊んでいてもいいんですよ。他のお子さんのお昼寝の邪魔にさえならなければ」

一人で静かに遊ぶのは今までさんざん家でやってきています。

そのこともあってか、どうしても昼寝の時間がガマンできず、保育所への不登校が起きてしまいました。

結局3ヶ月間で保育所を中退することになってしまいました。


「そうか、ダメだったか」

「仕方ないわね、どうしても保育所に預けないと仕事に出られないというわけでもないし。もともとは鉄兵が保育所に行きたいと言い出したから入れたんだもの」

「オレもさあ、小さい時に保育所を中退したんだ」

「へえ」

「やっぱり昼寝の時間があってね」

「うん」

「オレは寝たくないから」

「うん、うん」

「寝ている他の子たちの上をドサドサと踏んで歩いて、」

「ええっ?!」

「それで保育所はクビになった」

「まあ!」

「あはははは、だって寝たくもないのに寝ろって言うんだもん」


う―ん、親子で共通しているような、いないような・・・。

遭難アドベンチャー につづく


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