ひ弱な野生児 その8 牛のお産じゃないよ



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  →ひ弱な野生児 その7からつづく


クワの木を相手に遊んでいた鉄兵が2歳の時に二度目の妊娠がわかりました。

今度は不妊治療も何もしないのに自然に子どもが授かったのです。

二度目というのは何でも予測がつくから精神的に楽です。

一つ予想していなかったのはひどいつわりでした。

一人目はつわりがなく、何でもパクパク食べていましたから、初めての経験でした。

ご飯も味噌汁もジュースも口にできなくて、ほとんど水だけ飲んで生きていました。

お腹がどんどん大きくなっていくのに体重は減っていったのでした。

お腹だけが大きくふくらんで身体の他の部分はガリガリにやせているという異様な姿でした。

それでも胎児は順調に大きく育っているというから不思議です。

もう一つは第二子は逆子だったことです。


今回の出産は計画的に予定しての帝王切開をすることにしました。

予定日を一ヶ月前にして飛行機に乗っての里帰り出産です。


飛行機の席は一人分です。

三歳未満の子は大人の同伴なら無料。

ただし座席に余裕がある時以外は大人の膝上に抱っこが原則です。

出発の日、あいにくと、石垣―羽田直行便は満席でした。

臨月近くの大きなお腹で二歳の子を膝に抱く。

それだけでも苦しいのですが、直行便の機体はジャンボではなく、大体が座席数200席以下の小さい飛行機です。

座席もジャンボ機に比べると小さく、前後の間隔も狭いのです。

妊婦の膝に鉄兵を載せるともう前の席の背もたれまでいっぱいです。

離陸の時は短い滑走路の石垣空港のことですから、急上昇で加速するのです。

すごいGがかかってきます。

子どもの体重も何十㎏にも感じます。

ようやく水平飛行になりました。

「ああ、重かった。ふう、楽になった」

と思うのも束の間、シートベルト着用のサインが消えると、今度は前の席の人がリクライニングしてきたのです。

「ひえー、もっと狭くなる~」

ますます苦しくなりました。

持っていたチケットを床に落としてしまいましたが拾えません。

お腹が苦しくてかがむどころではありません。

乗ったときに

「どの絵本がいいですか?」

と機内備え付けの子ども用絵本を貸してくれましたが、とても開ける状態ではありません。


当時はこの便にはサンドウィッチなどの軽食サービスがありました。

小さな箱の軽食が配られると、前の人はさらにリクライニングしてきました。

「ゲ、ゲゲゲー、うそでしょう」

ゲゲゲの鬼太郎の歌みたいに唸ってしまいました。

背もたれに付いている小さなテーブルを出すにはそうしないと窮屈だからでしょう。

前の人はきっと太った人なのでしょう。

苦しさはピークに達します。

その私にも軽食と紙コップ入りのジュースが配られました。

「こちらのお子様にもどうぞ」

と、にこやかなフライトアテンダントがもう一組の軽食セットをくれました。

にこやかな笑顔で返してお礼を言って受け取ったものの、テーブルを出せるわけがありません。

両手にジュースの紙コップ二つ、お弁当の箱二つを持って、どうやって鉄兵に食べさせたらいいのか、と途方にくれていました。

子どもには無関心そうに見えた隣の席の若い女性は、それまで読んでいた雑誌を閉じて

「ここ、使ってもいいですよ」

とテーブルを半分貸してくれました。

「あ、ありがとうございます」

子連れの里帰り出産もけっこうたいへんなものです。



出産間近になると逆子は正常な位置に治っていました。

飛行機の中で苦しい姿勢をしていたことと関係があるかどうかはわかりませんが。

エコーでみるとそうらしいです。

エコーで胎児の性別もわかります。

最近はコンピューターを使った3Dの画像で、顔などもそうとう実物に近い絵が見られるようです。

でもこの当時はなんだかよくわからないX線写真程度の解析度でした。

性別は妊産婦向けの雑誌を見て、

「典型的な女の子の胎児のエコーの画像」

というのとそっくりな画像が見えていたので第二子は女の子と確信していました。

その時、

「これが顔の部分です」

と言って見せられた画像がちょっと気になっていました。

昔観たことのあるSF映画に出てきたタコ宇宙人の顔に似ているように見えたのです。

宇宙人とも見えるし、古谷三敏の描くマンガに出てくる「ダメおやじ」や「タコ坊」に似ているように思えてしまうのです。

もっとも、そのエコーを見せられたのは妊娠6ヶ月くらいのときでしたから、まだ胎児の顔も完全ではなかったのかも知れません。

なにしろ今と比較すると当時は精度の高くないエコーの画像でしたからあてにはなりません。


「宇宙人みたいな赤ちゃんが産まれて来たらどうしよう」

「いや、そんなはずはないわね、一人目がカワイイ顔だったもの」

「鉄兵はお父さん似なのにカワイイわ。女の子で私に似ていたらもっとカワイイはず」

などと希望的観測を持つようにしていました。


二度目の出産は予定通りの計画帝王切開です。

おかげでカウボーイ父さんも今度は親子で立ち会うことができました。


・・・親子で?

そうです。鉄兵にも妹が産まれてくるところを見せるというのです。

帝王切開なのに?

「先生、ぼくたち手術室に入って見ていてもいいですか?」

「悪くはないですけど、平気ですか?帝王切開の立会い出産なんてあまりないけどねえ。まして子どもだし」

「だいじょうぶです。牛の帝王切開は手伝ったことがあります。この子もそういうのは家畜で慣れてます」

(あらら、ここは牧場じゃないですよ。私も牛じゃないし。)


   →ひ弱な野生児 その9につづく


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No title

>chuckさん

Kさんですね。

いつもお世話になります。

お体の具合おかがでしょう。

このブログで笑って気分転換してください。

はじめまして

コンニチワ。
昨日は久しぶりにご主人「蓑田君}と一緒させていただきました。
いろいろと話をさせていただき楽しかったです。
このブログも彼から教わりました。
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