キャンプへ GO その5






     →その4からつづく
しばらく川の中を進むと川の片側に歩くスペースが見えてきました。
今まで岩だらけの渓流を遡るという感じだったのが、傾斜がゆるやかになり、景色がパッと開けた広い所に出ました。別の支流との分岐点なのでしょうか、急に川幅が広くなっています。

水深は浅く、膝くらいまでしかないのですが、水量がすごい。
つまり川の水が高速でドヮーッと一度に大量に流れてくるという感じでしょうか。
目指している方向はこの川の向こう側。

「ん、?ん!ここを渡るのォ?!」

「それしかないな、……待ってろ、ロープ張るから」

リュックから登山用のザイルを出したリーダーは、リュックを置いて、ザイルだけを持ってジャブジャブと川の中を歩き始めました。
ザイルのもう一方の端は手前の川岸の太い木の幹に結び付けておきます。

渡りきったリーダーは向こう岸の木にザイルを結びつけると、

「よーし、ロープにつかまってゆっくり渡って来ーい!!」

流れの音に消されないように大声で呼んでいます。
わが夫ながらこういう時は頼もしく見えます。

川の流れはゴォゴォと速く、見ていると目が回りそうです。
なかなか第一歩が出ません。
心の準備が必要です。

子どもの頃に大勢でやった縄跳びを思い出します。
目の前で回転する長縄とびを目で追い、タイミングを取るのに戸惑って、入れないでいたあの頃。

O先生ももうヤギではいられません。

向こうからリーダーが自分のリュックの所に戻ってきます。

「オレはロープを回収しながら最後に行くから、みんな先に行ってくれ」

リーダーの声に押されてジャブジャブと水に入り始めました。

浅い所はくるぶし程度の水深。それでも速い流れに足元をすくわれそうになります。

「落ち着いて、ゆっくり。」

自分に言い聞かせます。

深い所は膝を越える水深。

これは危険。

流されます。

浅い所を探して歩かないといけません。

うっかり深みにはまって膝より上の水深に立ったりよろけたりしたら下流まで流されていくかも知れません。

靴で川底の状態を探りながら一歩一歩進んでいるとき、

バシャン!!

少し離れた所で、流れに足を取られて転んだ人がいました。

ミイちゃんです。

川の中の大きな岩にしがみついていますが、下半身はは流れに浮いて、空を泳ぐコイノボリのように水平になって流れにもまれています。

岩から手を離した瞬間にミイちゃんは流されてしまう!
助けに行きたくても自分の身の確保で精一杯。

と、ミイちゃんの一番近くにいたO先生が手を伸ばし、助けてどうにか立ち上がりました。
ミイちゃん、立てばふくらはぎ位の水深。
またゆっくり歩き始めました。

もうすぐ向こう岸に着くという頃、すぐ後ろで、

バッシャーン

大きな動物が飛び込んだような音。

…?…??…!!

「イトマン!!」

横に長い大きなリュックを背負わされたイトマンは、バランスをくずして前のめりに転倒。
今度はしがみつく岩もありません。

「タイヘンだ、イトマンが流される!」

イトマン、身長180cm以上体重も90kgくらいあるでしょうか、身体が大きいから流されないというわけではありません。
イトマンは流れる川の底に必死でしがみつこうとしています。

そばにいた私と力持ちでイケメンのKさんが近寄って手を伸ばしました。

Kさんがイトマンの右手を、私が左手をつかんで引っ張りました。

イトマンは両腕の自由を奪われ左右に引っ張られているので、顔が水に浸かってうつ伏せになってしまいました。

「イトマン、だいじょうぶか?!イトマンっ」

イトマンはザバッと顔だけを上げ息継ぎをしました。

「プハーッ」

「だいじょうぶか」

「うんうん」

よかった。救助の私たちは安心して二人同時に手を放してしまいました。
途端にイトマンはまた流されてしまいました。

「わ!、やばい、また流された」

間抜けな救助隊です。

                         →その6につづく


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>カントリー ママ さん

もっとすごいキャンプの話がそのうち出てきます。
お楽しみに。

No title

まったくぅ、大変なクロスアイランドですえね。(笑)
でもそれが、最高に素敵な思い出になってますね。 ?

No title

アッハハハ、おかげでイトマンはこの後とんでもないことになってしまいます。ククク・・・。

同時って~!!

思わず「ど・ど・同時ですか?!!!」とPCに向かって突っ込んでしまいましたe-330 
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