赤ちゃん礼讃 その9

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赤ちゃん礼讃 その8からつづく


いい知らせなのに喜ばないんでしょうか、おかしいですね。


ドラマでは、待ちに待った初めての妊娠を告げられると、夫というものは、

―――『ホントか?!ヤッター!!オレもパパになるんだ。ハハハハハ。』

と笑いながら妻を抱き上げる。

妻もキャァキャァと笑いながら人前もはばからず、二人でクルクル回って喜ぶ・・―――

んじゃないのかなあ・・・・などと勝手に想像していました。


何度やってもVサインが通じないので仕方なく、人ごみをかき分けて夫の近くまで行きました。

夫はまだまじめな顔をして待合室の隅に立っていました。


充分に近づいて耳元に口を近づけて、しかしはっきりと、

「あのね、尿検査では妊娠プラスだって。でもまだエコーにも映らないくらい胎児が小さいんだって」

診察のときに言われたとおりのことを告げました。

どんな反応するかなあ、と笑顔で待っていました。

次の瞬間、彼は頭にかぶっていたタオル地のキャップを脱いで目に当てました。

そのまま数秒間。



あれ?どうしたの?


一度は満開になった自分の笑顔をどう納めようかな、と考えていました。

次にキャップをはずして現れた彼の顔・・・。

「わ、目が真っ赤」

えええっ、いつの間にトラホームか結膜炎になっちゃったの?!

タイヘンだあ、この病院にも眼科があるから連れて行くか・・・。

・・・?・・・ちがう・・。

結膜炎でもトラホームでもありません。

涙で濡れていました。彼は泣いていたのです。

「人前もはばからず」と言うのは想像通りでしたが、公衆の面前でこんなにポロポロと泣かれるとは思いもしませんでした。

とにかくこの人ごみからはずれよう、ああ恥ずかしい。

周囲を気にしながらも彼の袖を引っ張って待合室の外側の方へと移動し始めました。

でも彼は周りを気にすることなく、ワーワー泣いています。

「わーん、ワア―――ン、ワア――――ン・・・・・」

チョ、ちょ、ちょっと泣きすぎだよ。

いっしょにいるのが恥ずかしくなって、私は他人の振りをしてスススーッと離れていきました。


あまり堂々とワンワン泣くものだから、待合室の大勢の人が見ています。

人ごみの中から聞こえる声、

「気の毒に。あの人、まだ若いのに奥さん亡くしたんだねえ」

(・・・!!・・・・ えええええっ?・・・私は生きてますよー、今日はめでたい日なんですよっ!)

まあ、病院で大泣きしていたらたいていはそう思うでしょうけど。



カウボーイ募集中 その1 につづく

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