キャンプへ GO その4






その3からつづく

ボートはさらに上流へ向かい、さらに川幅は狭くなっていきました。
船長は長い棒状の櫂を器用に操って、座礁しないように注意深く、ゆっくりゆっくり進んでいきます。

おかげで私たちは両側の景色をじっくり眺めることができました。

カンボジアの奥地かアマゾンの上流にでもいるのではないか、という錯覚に陥ります。


「もうここで精一杯だな」

これ以上ボートは進めないという所まで来て、船長はボートの進みを止めました。

料金を払って荷物を背負ってボートを降りると、船長はまた器用にUターンして戻って行きました。

上陸して数m歩くと、6人全員が荷物を降ろせる場所がありました。
あらためて身支度の点検です。
ぞうり履きの人は靴に履き替え、重いリュックを身体にピッタリくるようにベルト調節します。

ミイちゃんと私は女子ということで軽い荷物にしてもらいました。

「うちのカアチャンは体力がないから空身でも付いてくるのがやっとだろうな」
助かった。重い荷物持ちは苦手なんです。

ミイちゃんは体力はありますが、大きいリュックというのがありませんでした。
前日に私の持っていたもう一つのリュックを貸してあげましたが、それも小さいので荷物がたくさん入りません。
入りきらない食料などは獣医のO先生のリュックに入れてもらいました。

イトマンにしても、キャンプはビーチパーティのことだと思っていましたから、当然大きいリュックなんて持ってきていません。
うちに余っているリュックといえば夫が学生時代に先輩から受け継いだという年代物の横長の物。
昔は登山用リュックは今のようなスマートな縦長のものとちがって、左右に大きなポケットが張り出して付いていました。後ろから見ると甲羅を背負ったカニのようです。
これで旅行する若者たちは列車に乗ると、狭い通路を横向きになって進んでいくので、「カニ族」と呼ばれていました。

「イトマンは、身体が大きいからこれでいいだろう」
と軽い気持ちで渡したのですが、帆布のような地の厚い古いリュックは大柄のイトマンでも歩きにくそうです。

「足元は特にしっかり固めておけよ、ヒルがいるぞ」
リーダーの声かけでみんな靴下を引っ張り上げて肌を露出しないようにしています。

「さあ、いくぞーっ」

リーダーを先頭に一列で歩き出します。と言っても登山道があるわけではありません。
川の中をザブザブと歩いて進みます。ボートが入れないというだけあって水深はそれほどではないのですが、2日前の大雨で増水して川は結構な水量です。


寒がりで濡れるのを嫌うO先生は川岸の木伝いに川の水に触れないように歩いています。
身の軽い元体操部のO先生、ちょっと遅れ気味。

「O先生はヤギだなあ」

そうです、ヤギは身体が濡れるのを極端にいやがる習性があります。
ちょっと雨が降っても「メェー、メェー」とうるさいのです。

私の荷物は空の軽いコッヘル(キャンプ用アルミの鍋)くらいしか入っていませんが、それでも重い。
山道を歩くより泳ぐ方がラク。
夏の亜熱帯の西表、元水泳部の私は水の中を泳いだ方が速いくらいです。
思い切ってリュックを背負ったまま川に入って泳ぎだしました。

リュックの中の濡れて困る衣類などは大きなビニール袋を何重にも包んであります。袋の口はしっかり縛って水に浸かっても大丈夫なはず。

川から岩が顔を出している場所は、岩から岩へと飛び移っていかれますが、滑らないように気をつけて行くので、とても猿飛佐助のようにはいきません。

中学の頃、学校を抜け出して裏山へ遊びに行ったという野生児の育ちのリーダーはこんな道は楽勝でしょう。


走るより泳ぐのが得意な私は、魚になったように気持ちよく川を泳いで上っていきました。ここはまだ下流の方で、上流では川が牙を剥くとはこの時には思いもしませんでした。

一行はそれぞれ、猿になったり、ヤギになったり、魚になったりして上流へと進んでいきます。

道なき道を行くキャンプはまだ始まったばかりです。

この先 どんな楽しいことや困ったことが起きるのか、不安でもあり楽しみでもあり、ドキドキキャンプです。
                      →その5 につづく

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私もヤギ

ヤギは濡れるのはいやがるけど暑いのにはわりと平気。
水もほとんど飲まないし、暑い気候に合っている。
O先生もそうですが、私もかつてそうでした。
今は体重増加で暑がりですが。

ヤギ♪

ヤギは濡れるのが嫌いなんですね~
1人濡れないよう歩くO先生が目に浮かびます。。
って私の想像の世界ですが。。
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