赤ちゃん礼讃 その5

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赤ちゃん礼賛その4からつづく


今日から私は牧場の女カウボーイ「カウガール」です。


「私は何すればいい?」

「朝の見回りからだね」

「今日は東の一番近い放牧場だね」

「ペンチ持って行くの忘れるなよ」

カウガールの毎日の主な仕事は放牧場の見回りです。

ブカブカの長靴に作業着。手にはペンチを持って。
全然カッコよくないです、カウボーイ・・じゃなくてカウガール。
移動は「馬に乗って」じゃなくて歩き。
少し離れた所ならバイクか軽トラ、というのが現代のカウボーイです。

放牧と言っても外側には柵があって牛が逃げないようにしてあります。ところがこの柵を破って逃げる牛がいるのです。

柵はいつも点検して破れ目を見つけたらすぐ修理します。

一枚の放牧場は100~200m四方はあります。
それでもそこに牛を何十頭も入れておくとすぐ草を食べてしまうのです。

夏はまだいいのですが、冬場は草の伸びが悪くなって牛が食べるのに草の伸びが追いつきません。

夏は亜熱帯の石垣島も、冬はあります。最低気温10~12度の日もあるくらい寒くなります。

そこが熱帯と亜熱帯のちがいです。

夏によく伸びる熱帯向けの種類の牧草を植えてあるので余計に寒いのに弱いのです。


牧草が短い芝生のようになるまで食べ尽くし、お腹の空いた牛たちはブーブー不平を・・、と言うか、ブタではないのでモーモー不満げに鳴きつづけています。

「牛たちがお腹すいたって文句言ってるよ」

「仕方がないだろ、草がないんだから」

「隣の草の多い区画の方に移してやれば?」

柵一つ向こうには青々とした草が茂っています。それが見えるので牛はそちらに行っておいしい草を腹いっぱい食べたいのです。

「ダメだよ。そんなにすぐ移したら、次々に移動しなきゃならないだろう。あっという間に一巡しちゃうじゃないか。まだ最初の所の草が伸びていないのに戻ってきたら、牧場中の草がなくなっちゃうよ」

「なるほど、一区画を徹底的に食べさせて時間を稼ぐのか」

「そういうこと。草の伸びるのを待って、なるべく移動する回数を減らして草の短い冬を乗り切るんだ」

そういう計画だったのです。

3月まで何とか持たせれば、4月からは石垣は暑い夏。草もどんどん伸びて草刈りも追いつかなくなります。

それまでの辛抱、と人間は思うのですが、牛にはその考えは通じません。

牛の頭の中には「将来」という言葉はありません。

あるのは見えている草だけ。

しかも柵一つ向こう、20センチのところに青々としたおいしそうな草が豊富に、

「食べてください」と言わんばかりにそよ風に揺れています。

「隣の芝生は青い」

ということわざを牛が知っているとは思えませんが、ちょっと離れた所の草は余計においしそうに見えます。

柵の手前で牛はそれを見て長いヨダレを垂らします。

いえ、実際には空腹の時には牛のヨダレは出ません。

あれは満腹のときに反芻するので出るのです。


柵に少しでも切れ目があるとそこから脱走する牛があるので柵の点検は大事です。

柵の点検が済んだら今度は牛の健康チェックです。

近づいて異常がないか見るのです。



「午後から牛の群れを移動するからな」

「群れを追えばいいの?」

「いや、ずっと後ろからオレたちが追うから、群れから外れる牛が出ないように群れと平行に歩いてくれればいいんだ」

   **************

「オーイ、群れがそっちに行くから」

「わかったー」

放牧場は平坦な土地ではなく、丘の傾斜地に作られているので牛を追って斜面を上ったり下ったりして息が切れます。

足元はもちろん長靴。ハブを踏まないようにです。

草に隠れた地面はデコボコ。ドタドタと走って大きな石につまづいて何度も転びそうになります。
というか転びました。

牛は想像以上に走るのが速いのです。何と言っても4本足ですから。

つまづいた地面の足元には小さなスミレの花。

頭の上の空をカンムリワシが輪を描いて飛んでいます。

「ピピピ ピイピイピーイ」←(カンムリワシの声です。)

牧場の裏山は特別天然記念物のカンムリワシの営巣地域だったのです。

牧場のカウガール、なんか健康的で不妊症も治りそう・・・なんですが。




赤ちゃん礼讃 その6 につづく

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