アイ ハブ ア ハブ その12



アイ ハブ ア ハブ その11からつづく

もうかれこれ1時間もみんなでテッちゃんを探しています。

「もしかして先に一人で船に乗って帰っちゃったとか?」

「そんなばかな、財布も何も持たず手ぶらなんだから」

さんざん名前を呼んで探し回った頃、大きな岩の陰からヒョコッと現れたテッちゃん・・・!

「な、な、なんだ、どこにいたんだよ」

「いやあ、意外と早くに着いちゃって、みなさんが来るのを待つ間に散歩して、それから休憩してたんです、すみません」

かなり大きな声で呼んだのに気が付かなかったということは、待ちくたびれて岩の上で眠っちゃったんでしょうか。

それにしてもずいぶんと治りが早いものです。

1週間前にハブに咬まれた人とは思えません。
もしかするとジャングルの野戦病院に入院したのがよかったんでしょうか。
西表の山の空気が自然治癒力を高めてくれたのかも・・・。

でもみなさんがもしハブに咬まれたときはテントの病院ではなく普通の病院に行かれた方がいいと思います。もちろん動物病院ではなく人間の病院です。


テッちゃんの回復に反比例するようにリーダーの元気がありません。

「どうかしたの?テッちゃんならもうだいじょうぶだよ」

胸が痛むよ

「ああ、後輩をキャンプに連れて来て怪我させちゃったから?」

「え?」

「そうだよね、実習のために石垣に来てもらったのに、休暇中にキャンプに来てこんな山奥でハブに咬まれるなんて」

「うん」

「それに治療のためとは言え、ナイフでテッちゃんの足を傷つけたわけだし」

「あの、それは・・・」

「今は歩けるようになったとは言っても、まだ牧場の力仕事は無理だしね。あと数日は・・・」

「ちがうんだ、胸を岩にぶつけた所が痛いんだよ」

「はあ?」

そうだったのか。後輩をキャンプに連れて来てタイヘンなことになったから責任を感じて「胸が痛む」のではなかったのです。本当に胸が痛かったのでした。

キャンプに来てすぐ新記録のオオウナギが釣れて、うれしくて昼間から酒盛りをしたのでしたっけ。

そこで調子に乗って高い所から川に飛び込み、(というか、酔っ払って落ちたように見えましたけど)、水中の岩に胸をぶつけてしばらく呻いていたのでした。

テッちゃんのハブの一件で忘れていました。

「まだ痛むの?だいじょうぶかな」

「まあ、歩けるし、荷物も持てるし・・・」

と言いながら重いリュックを背負って立ち上がると、

「イテテテ、う――ん、胸が痛いよー」

今度はリーダーが病院に行ったほうがいいみたいです。

ジャングルのテントの病院ではなくて街の普通の病院に。


  →アイ ハブ ア ハブ その13につづく



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