アイ ハブ ア ハブ その3


アイ ハブ ア ハブその2からつづく

大粒の雨がテントの屋根に当たる音と川がゴーゴーと流れる音で、真っ暗な中でも尋常ではないことがわかります。

「こりゃ、危ない、移動するぞ」

リーダーはヘッドランプを点けてテントの外に飛び出して川の方に行きました。テントの入り口が開いたときにヘッドランプの灯りに照らされて外の風景がチラッと見えました。一瞬ですが川の水がテントのすぐそばにまで来ています。

私たちもテント内の荷物を急いでまとめます。散らばっている物を確認してリュックに入れます。

そうこうしているうちに川の対岸からリーダーが中州の途中から帰って来ました。

中州はもう水面に没しています。

「対岸の奴らにはテントをもっと高い場所に移せと言って来た、だいじょうぶだ」

「今度はこっち側の番だ、テントを移すぞ」

全員がヘッドランプか懐中電灯を点けて、テントを持ち上げてもっと川から離れた山際の場所にテントの位置をずらします。

「これでまずは一安心だな」

「ホントにだいじょうぶかな、もっと雨が降って増水したら・・・」

「そしたらまた移動だ」

「寝ていて気付かなかったらテントごと流される?」

「大人4人も入っていたら浮かないでしょ、流されないんじゃないですか」

「じゃあ、沈没?」

「その前に水がテントに入ってきた時点で寝てはいられないだろう、誰でも気付くよ」

いろいろ考えて、雨と川の音を聞いているうちにいつの間にか眠ってしまい、朝になっていました。


雨は上がっていましたが、昨日最初にテントを張った場所はすっかり川の底になっていました。

川の幅は二倍近くになっていて、昨夜の食事の後、洗わずに川辺に放置してあったプラスチックの食器類が流されて消えていました。
おとといみんなでたくさん集めておいた薪も雨に濡れて火が点きません。

この日は携帯ガソリンこんろを使って炊事をすることになりました。

珍しく三日間場所を移動せず、のんびりしたキャンプになりました。

これまで毎回の食事のおかずは初日に釣ったオオウナギです。

オオウナギの甘辛煮、オオウナギの唐揚げ、オオウナギの、・・・・・と調理法を変えてもウナギの味です。みんな飽きて来ていますが、持って帰るのも面倒なのでがんばって食べているのです。ご飯にウナギの煮付けとタレを載せてウナ丼のような物を作ったりもしましたが、やっぱり同じウナギの味です。ウナギのタレのついたウナダレ丼を食べてうなだれてしまいます。

キャンプ最後の夜、明るいうちに夕食を済ませます。
明日はテントを撤収して牧場に帰るのです。
残っている食糧はどんどん食べて荷物を軽くします。
今まで節約して使ってきた調味料もこの際ためらいなくじゃんじゃん使い切ってしまいます。
明日の朝食と昼食に食べる分と、非常用の食糧をわずかに残して、あとは最後の夕食の料理に使います。
今まではキャンプ延長となる非常事態に備えて少しずつ食糧も蓄える必要もありましたが、もう明日帰るという日になったのでその必要もなくなった、とこの時は思っていました。

少しずつケチケチと使ってきた野菜ですが、今夜はふんだんに入ったソーメン炒め。

無事にみんな怪我もせず、あまり疲れもしないキャンプが終わろうとしていました。
誰もが数時間後に起きる信じられない災難のことはこの時には考え付きもしませんでした。

   →その4につづく


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