大草原の小さな家 その8

大草原の小さな家 その7 からつづく


「行こう、行こう、キャンプ、なっ!」

「はい、そうですね」

実習生は、まあ、牧場で汗かいて仕事するよりはキャンプの方がラクかなあ、
くらいの気持ちで参加することにしたのでしょう。

一番キャンプを楽しみにしているのはもちろん、カウボーイのリーダーである、うちの夫。
当然キャンプのリーダーになります。


今回のキャンプは誰が行くのかな。

牛舎で牛をロープで捕まえようとしていた夫に聞きに行きました。

ロープで、と言っても西部劇でよく見るように馬に乗って投げ縄でするのではありません。
だいいち馬で牛を追うなんてしません。
ジープかオフロードバイクです。

竿の先にロープで作った輪を引っ掛けて牛の後ろからそおっと近づいて、ひょい、と牛の角に輪をかけます。
次に竿を抜いてロープを力強く引くと輪が締まり角から抜けなくなって、牛は「お縄」となります。

「ホントにみんなキャンプに行くのね」

アウトドアにはあまり興味がないヨシダさんが留守番を買って出てくれるのはわかっていましたから、
ここで言うみんなとは、テッちゃんを含めた実習生全員と、私たち夫婦のことです。

「それがさあ、井上だけ行かないって言うんだよ」

「へえ、なぜ?」

「コンタクトレンズの洗浄があるから水道のない所に泊まるのはダメだ、って言うんだよ」

「レンズはハードかな、ソフトかな。ハードなら大丈夫なんだけどな」

「じゃあ、それ、教えてやってくれよ。オレは視力1,5でコンタクトには縁がないから、そういうのわからないんだよ」

実習生がいつもいる部屋に行ってみるとちょうど井上君がいました。

「コンタクトだからキャンプ行かないって?行こうよ、キャンプ。
コンタクト、ハードなの?それだったら山の中でも付けはずしは大丈夫だよ。
私もコンタクトしたまま何度もキャンプに行ったことあるから。川の水もきれいだし…」

「いえ、そうじゃなくて、…いいんです、行かないです」

「え?何で?…」

「はあ、まあ、…」

「あ、そういうことか、要するにあまり行きたくないわけか」

井上君、照れ笑いしています。
後ろで聞いていたヨシダさんもニヤニヤしています。

結局この二人が留守番になってくれてキャンプ不参加となりましたが、
結果的にはこの人たちにとってそれがよかったことになったのです。

今回のキャンプは、今までの“ロープで宙吊り”とか、“川に流されそうになった”とか

そういう笑える失敗ではない、非常に痛い目に遭ったキャンプになったのでした。

出発前はそんなことになるとは、もちろん誰も予想もしなかったのです。


→大草原の小さな家 その9につづく


↓クリックしてね ランキング参加中


にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村 
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

野生児の妻

Author:野生児の妻
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード