大草原の小さな家 その4


大草原の小さな家 その3からつづく

プテラノドンが飛んでるなどとバカなことを言ってると、

「何やってるんだ、仕事行くぞー」

さっそくカウボーイのボス、つまり牧場の管理責任者である夫の声。

実習生たちは作業着に着替え、持ってきた荷物の中から出した長靴に履き替えて出動です。
暑いので野球帽を被り、野田君だけはお気に入りの麦わら帽子着用。
まずは放牧場の見回り。これは先輩のテッちゃんが教えながら行きます。

「牛、みんな真っ黒なんですね」

黒毛和種ですからね。白黒ぶち模様のホルスタインとはちがいます。

「数えても判らなくなっちゃうよ」

牛の耳には『耳標』と呼ばれるタグが付いていてその番号を見れば識別できますが、すぐそばまで行かないと見えません。

「毎日観察していると牛の体型や角の形なんかで区別できるようになるよ」

そうです、毎日見ていると牛の姿も人間と同じように一頭ずつ個性があるのです。
トラクターの運転より牛の観察が得意なヨシダさんは遠くから見た牛のシルエットだけで
「あの牛は76番です」と言い当てます。牛も動物好きの人にはなつくのか、側に寄っても牛は安心して草を食べています。

「……43、44、45、46、…あれ?ずっと向こうの牛に誰か乗ってる!」

「あ、ホントだ、人が乗ってる」

ヨシダさんです。一番おとなしくて人によく馴れているお気に入りの牛の背中に乗って牛の頭数を数えています。これで目線が高くなり、遠くの牛の姿もよく見えて数えやすくなります。

特に具合の悪い牛もなく健康なようです。柵も点検して壊れそうな箇所を直していきます。

放牧場の境目の柵はよく見ておかないと柵の切れ目から牛が逃げてしまいます。

朝は牛舎で牛のエサやりと放牧牛の見回りが終わると住宅の方に戻って朝食、その後長い休憩です。
亜熱帯の夏は強烈な日射しと気温で昼間は外で長時間は働けません。
熱射病になっちゃいます。

そして夕方陽が西に傾き始める頃にようやく夕方の仕事開始。それでも涼しくはなりませんが。炎天下よりはましです。太陽が真上にある間はひたすら身体を休めないと持ちません。

その分、夏場は午後8時を過ぎないと暗くならないので遅くまで労働することになるからです。

仕事に慣れて数日経ったころ、いつものように日中の暑い時間帯は部屋で休憩していました。
実習生たちも休憩時間なのですが、若くて元気のある学生たちですから長い休憩は要らないようです。この時間帯にサンゴ礁の浜に下りることもあるし、仕事時間外なのに熱心に放牧場の見回りを自主的にしている人もいます。
まじめなテッちゃんです
私たち夫婦は力を温存しないと夜まで続かないので昼寝です。

しばらく経ってからガラス戸を叩いて呼ぶ声がします。
テッちゃん、走ってきたのか、息せき切っています。

「先輩!…ハァッ、ハァッ…、お願いします、ハァッ、ハァッ…すぐ…来てください!」

「どうした?テッちゃん」

テッちゃん泣きそうな顔してます。

「乾いたチガヤに火を付けていて、…ハァッ、…風で火が…ハァッ…山に…移って……」

 「なにぃ?!!!山火事ぃ??!!」 
 

慌てて外に出て後ろの山を振り返って見ると、山と放牧場の境い目の辺りから煙が上がっています。
この日は風があって、しかもだいぶ前から晴天が続いて乾燥していました。

「こりゃ、エライこっちゃ!……、みんな準備しろ、山火事だ!」

昼寝中だったり、くつろいだりしていた実習生たちを起こして回ります。

「みんなで何とかして消すんだ!!」

大変なことになりました。実習生と私たち、従業員入れても8人しかいません。この人数でバケツリレーで山火事消えるんでしょうか。

  →その5につづく



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