マダナイの鈴

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ガーラの写真を昔のキャンプ仲間の何人もに送りました。

「この魚の写真を見たら、またキャンプに連れてってくださいという奴がいるさ」

というわけで。

みなさんから返信来ました。

「すごいですねえ!またキャンプに行きたいです」

というのが共通のお言葉。このうち実際にキャンプに付き合ってくれる方が何人いるかわかりませんが。


さて、話は変わりますが、先日次女くるみの書いた作文、というか創作文が学校の代表で県紙沖縄タイムス主催の「全琉コンクール」に応募してもらいました。

結果、優秀賞になって喜んでいます。

沖縄県で高校1年生の創作文の部では優秀賞は3人でした。

書いたのは8月で、夏休みの課題として原稿用紙20枚を頑張って書いていました。

ジャンルとしては冒険小説でしょうか。

ブログに載せていいよ、と言ってくれたので、せっかくなのでここにコピーします。

長いので今回は半分まで。


  創作文「マダナイの鈴」


 私は高坂まお。自分では結構活発だと思っている、小五の女の子。家族は父、母、弟のゆうご、それと犬のマダナイ。
マダナイは三か月ほど前に父が仕事帰りに、公園で小さく震えていたのを拾ってきた子犬。雑種というだけあって、芸もしつけも覚えないダメ犬。本当は賢くて元気な柴犬とかがよかったけど・・・でもきっとこの子、しつけても言うことをきかないから、誰かが呆れて捨てちゃったんだと思う。父が拾うまでどんなに寂しかったか・・・それを考えると、何だか可哀想に思えてきた。見た目は丸っこくて結構可愛いので、今では可愛がっている。
始めは名前を考えていたけどなかなか決まらなくて友達に聞かれても、
「名前はまだないの」
といつも答えていた。そのうち
「いつまで名前はまだない、なのよ」
「いっそマダナイちゃんって付けたら?」
と言われて、ついに犬の名前はマダナイになってしまったのだ。
 拾って来た日にとりあえずつけていた首輪代わりのヒモがきつくなってきたので、ある日父と新しい首輪を買いに行くことにした。
「この辺にはペット用品を売っているところがないから、久しぶりに隣のF町まで行ってみるか」
 父のこういうところは好きなのだ。遊び心があるというか、母なら近いところで買って早く帰って来なさいというところだ。
 F町に来たのは何年ぶりだろう。
「この靴屋さん、見覚えがある!」
そういえば小学生の時に誕生日のプレゼントを買ってもらった記憶がある。靴屋の二軒先に靴下やハンカチを売っている古い店があるのもなんとなく懐かしい。靴屋とハンカチ屋の間には暗い倉庫があった。いや、倉庫じゃない、小さいけれど店みたい。ひときわ古い看板の掛かった店だ。よく見るとこげ茶色の木の看板には毛筆で「鈴屋」と書いてある。そっと暗い店の中を覘いてみた。そして目を凝らしてみると、店の一番奥に白いひげを生やしたおじいさんがいた。ちょっと気味が悪いなぁ・・・。
「まおおいで。かわいい鈴がたくさんあるよ」
 ふと父の声で我に返った。よく見るとここはペット用品の店ではなかった。財布やペンケース、おしゃれな手鏡、煙草入れなど小物がたくさん並べてあって、そのどれにも共通して鈴が付いていた。大きさや音色はそれぞれ違うがどれもきれいにピカピカ光っている。
「わあ・・・この首輪、すごくかわいい。マダナイに似合いそう・・・。」  
 赤い革の首輪に黄色い大きな鈴が付いて、マダナイのイメージにぴったりだ。一目で気に入ったので父に見せると、やはり一目ぼれしたようで喜んで買ってくれた。ただ、首輪を持ってお金を払おうとしたとき、おじいさんの白い眉毛がぴくぴくしていたのが気になった。
 父と店を出ようとしたところで、
「お嬢ちゃん」
と呼び止められた。私は少しためらって、急いで戻る。おじいさんはひそひそと小声で話した。
「この首輪の鈴には不思議な力があるのだよ。飼い犬に着けてやるならそれなりの覚悟がいるぞ・・・」
「え?は、はい・・・」
「この鈴の首輪は特別なものでねぇ。もともと一つしかないんだよ。だからこれで終わり」
 私は半分冗談かなと思って、気には留めずに店を出た。それにしても変なおじいさんだったなあ・・・。
帰ってからマダナイに首輪をつけてあげると、思っていた通りよく似合った。しかし、その日から本当に不思議なことが起きていた。いくら教えてもお手もお座りも覚えなかったマダナイが、人間の言葉が解るかのように人の言うことをきいてくれるようになったのだ。ある日父が会社から持ち帰った大事なファイルが見つからないと皆で大騒ぎしていた時の事、マダナイが珍しく吠えて外に出たがっていた。私はマダナイの言いたいことが分かった気がして、リードを付けて外に行った。マダナイは一目散に公園に走っていった。リードに引っ張られて私も必死で走ってついて行くと、公園のベンチの後ろの茂みの中からマダナイがファイルをくわえて出てきたのだ。父はいつものように帰り道、公園を通る。疲れているとベンチで休憩する癖があって、この日は休憩しながら鞄からファイルを出して見てまたしまったはずが、ベンチの後ろに落としてしまったのだ。
マダナイが喋ったのは、家に帰ってからエサをあげようとした時だった。
「アァ、オナカガペコペコダヨ」
「え?今、何かきこえた・・・?マダナイがしゃべったのかな。そんなはずないよね・・・犬がしゃべるわけないもん。」
「ドウシテソウキメツケルノ?」
「え?ええっ!マダナイが・・・犬が喋ってる!?」 そばにいたゆうごの顔を見ても別に驚いた様子もない。私の耳がどうかしちゃったの・・?
「まお、何をごちゃごちゃ言ってるの。早くマダナイにエサあげちゃいなさい。お客さん待ってるから、お母さんはお店に戻るわよ」
美容師の母は急いで出かけてしまった。私はマダナイを連れて自分の部屋に入ってドアを閉めた。そしてもう一度そっとドアを開けて廊下を見た。誰もいない。マダナイの顔をじっと見つめる。マダナイの声は私にしか聞こえないのかな・・・。
「マダナイ、ごはん食べる?お腹空かない?」
「スイテルヨ、デキタライツモノカンヅメジャナイノガイイケドナァ・・・」
「そうか、お母さんはいつも一番安い缶詰しか買ってくれないもんね、飽きたんだね。」
「ねえちゃん、あたまおかしくなったの?何
を犬に話しかけてるの?」
「わ、ゆうご、いつ入ってきたのよ!」
「さっき廊下を歩いてたら、姉ちゃんがぶつぶつ言ってるのがきこえたから来たんだよ。」
「今、マダナイがいつもの缶詰に飽きたって」
「ハハハ、ワンワン、飽きたワン、てな。」
「ちょ、ちょっと・・・!」
ふと、あのおじいさんが言ったことが頭をよぎる。あれは本当だったんだ。弟に言っちゃおうか・・・。いやいや、きっとバカにされるに決まってる。
「イイジャナイカ、ボクトマオチャンダケノ、ヒ・ミ・ツ」
 それからというもの、私は毎日のようにマダナイと内緒の話を楽しんでいた。
 夏休みに入って一週間くらい経った頃、    「明後日の火曜日ドライブに行こう!お父さん休み取ったから。母さんのお店も休みの日だろ」
 また父の突然の発言が始まった。
「もう、あなたったらいつも急に言い出すんだから。皆それぞれ都合ってものがあるのよ」
「いやあ、準備は俺がするから、母さんは車に乗ってゆっくりしてればいいんだからさ。     たまにはみんなでドライブ、行こうよ。ねっ」
結局、マダナイを連れて皆でドライブに行くことになった。始めは不満そうだった母も当日になったらけっこうウキウキしていた。
 うちの車は大きめの乗用車だけど、二時間も乗り続けていると足元が狭く感じるものだ。車に乗っているのも飽きてきたころ、
「ちょっと休憩するか」
 いいタイミングでコンビニの駐車場に寄ってくれた。トイレを借りて、コーラを買った。私とゆうごは駐車場前のベンチに腰掛けて、一気にコーラを飲み干した。そこでゆうごが爽快な声で、
「ぷはーっ。あぁくたびれた。お父さん、バーベキューする場所ってまだ遠いの?」
 父と母は少し離れたベンチで休んでいた。
「う、うん、まだ、いやもうすぐかな・・・」
「え、なに、もしかして道に迷ったとか」
「そ、そんなことはない!この道をまっすぐ行けばキャンプ場に着くはずだ」
「お客さん、キャンプ場に行くんですか?なら、この先のY字路を右に行ってから次の十字路を左ですよ」
 コンビニの制服を着たおばさんがカウンターの中から私たちの会話に入ってきた。
「あ、はい、分かると思います」
「前は看板があったんだけど、去年の台風で飛ばされちゃってねえ。それから直さないもんだから、時々間違えて入っちゃいけない道に行っちゃう人がいるんですよ」
「入っちゃいけない道、ですか・・・?」
「そうそう。怖いよー。私は入ったことがないから実際には見てないんだけどね」
「な、何ですか・・?」
「山の神様に祟られるんだって。入った人はみーんな大けがして帰ってくるらしいよ」
「えぇ・・・」
 それからしばらく走っていたが、絶対間違えるはずがないとか言っていた父が、案の定間違えてしまった。皆でああだこうだ言っているうちに道はどんどん細くなって、鳥居みたいなところに来てしまった。
「あ、これ、入っちゃいけない道って、このことじゃないの?鳥居を車でくぐるのはまずいんじゃない?」
「だって戻るにもUターンできないさ。もう少し広い道に出て切り返さないと」
 もう既に入っちゃいけない場所に来てる気がする。嫌な予感がするなぁ・・・。
「なんか道がずいぶん細くなってきたわね」
「これ以上進んだらもっと道が狭くなって切り返しもできなくなるんじゃないの?」
「暗くなってきた感じしない?もしかして、もう夕方?今何時?」
「ボク、怖いよー、おうち帰りたいよー。」
弟は半べそになっている。
「Uターンもできないんだから帰れるわけないでしょっ!」
車の中はなんだかギスギスした雰囲気になってきた。膝に抱えていたマダナイはどんな顔しているのかと思って覗き込んだ。
「どう思う?この道どこかに抜けられると思う?動物の勘で」
「アブナイ・・・キケンダヨ」
「え・・・危険なの?どうしたらいいの?」
また家族に変だと思われないようにマダナイの耳元に口を近づけて小声で言った。
「モウドウシヨウモナイヨ、コンナトコロマデキチャッタラ。タタカウシカナインジャナイカナア・・・」
「誰と戦うのよ、何なの!?」

続きは次回へ。


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