キャンプへ GO その1
198×年のある夏の日…
「オイ、キャンプ行くぞ」
「ど、どこに?」
「西表」
「イリオモテ?」
夫が私をキャンプに誘うのは初めてではありません。
前回いっしょに行ったのは5年前の新婚旅行。
西表島近くの無人島に12日間のキャンプをしたのが私たちの新婚旅行でした。
そのときは米と調味料とわずかな野菜だけ持参。
あとは魚や貝を獲って食べて過ごした原始人ごっこ。
途中で食料が乏しくなって二人で無人島から西表本島の売店まで
泳いで買い物に行ったり、森の中でイノシシを獲って担いで帰ったり。
新婚旅行での野生的体験は、都会育ちの私にとって楽しいというより
カルチュアショックが大きくて、大変なキャンプだったのです。
「キャンプ、私は行かなくてもいいんだけどなあ…」
「ダメだよ、いっしょに行くの!」
「えええ、西表って…また無人島?」
「いや、西表島を横断する」
「ジャングルの中を?」
「そう、3泊か4泊」
「登山道を歩くわけじゃないよねえ」
「当然だろ、川沿いに上って、滝を越えて、時には岩を登って…」
なんか、楽しそうというより、無事に帰って来られるでしょうか。不安。
「キャンプの日はもう決めたの?」
「うん、イトマンが来るだろう?いっしょにキャンプしようよ、って電話で誘ったらOKだってさ」
イトマンというのは夫より少しだけ若い男性のニックネーム。沖縄県の糸満市の人だから、私たちはそう呼んでいます。
昔、夫がまだ信州の大学の学生だった頃、西表の海岸のキャンプ場に長い間いたことがあって、イトマンとはそのときに知り合ったのでした。
それ以来しばらく音信途絶えていたが、ひょんなことから再会し、沖縄本島にいる「イトマン」と、この石垣島に暮らす私たちと交流が復活しました。
「イトマン、キャンプを楽しみにしてるって」
数週間後、いよいよイトマンが来島。
その夜は久々に会えた友と自宅で宴会。
食べて飲んで、落ち着いたら翌日出発のキャンプの用意。
各自の荷物の分担、イトマンが持参した物と我々の物が重複しないか点検。
「イトマン、どんな物持ってきたの?」
イトマンの持ってきた荷物の中身を見て、あ、こりゃマズイ、と思いました。
どうもイトマンとこちら側とでは「キャンプ」の概念がちがうようです。
イトマンの荷物・・・海水浴用のバスタオル、焼肉のタレ、フライ返し、冷凍トウモロコシ、酒のつまみのイカ…
私たちの荷物・・・登山用ザイル、ナタ、地下足袋、コンパス…
このキャンプ、イトマン だいじょうぶかなあ。→ 次回につづく
ここで まえがき
話の途中で前書きというのもおかしいんですが、
前書きは面白くないから読みたくない方のために
第1話からスタートすることにしました。
読まない場合は「キャンプへ GO その2」へ
続いて読んでください。
・・・まえがき・・・
少女時代、やってみたいことがたくさんありました。
たとえば、
①無人島でキャンプ
②南の島で暮らす
③教師になる
④外国で生活する
⑤世界で一番辛い料理を食べる
⑥熱帯果樹に囲まれて果物を食べ放題
⑦ジャングルツアー
⑧作家になる
⑨プール付きの豪邸に住む
と、いろいろありました。
①~⑦は経験できました。
⑧と⑨はまだ、と言うか、どう考えても
⑨は一生実現しそうにもありません。
現在の状態は 「②南の島で暮らす」です。
ここで今までに経験したことを多少脚色して
ブログ小説にしてみたいと思います。 → 次回につづく
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