カウボーイのお引越し その17

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カウボーイのお引越し その16からつづく


7月の末になると、鉄兵はかねてから予約してあった飛行機に乗って東京に向かいました。

長期の休みは東京の塾に行って勉強したいと以前からの希望だったからです。

「いいなあ、お兄ちゃん、引越しの仕事しないで」

「オレは勉強しに行くんだよ」

「きりんも塾に行くか?」

「やだ」

「鉄兵が8月に帰って来るころには新しい家の中が片付いているかな」

(そうだといいんですけど・・・・)

鉄兵が出発した後の作業は気の毒ですがきりんとくるみにがんばってもらいます。

新しい家の一番西の部屋は荷物で埋まってしまいましたから今度は中央部分に運び入れます。

高さ2mのベニヤ板の山の周りに段ボールが積みあがって行きます。

そのわずかな隙間を、身体を横にしてカニ歩きで通ります。

すでに我が家は「ドン・キホーテ」状態。

新しい家に水道と電気が引かれて間もなく、牧場の方の水道が、続いて電気が止められました。

これでもう生活するのは新しい家のほうに移動です。

普通はこれを引越しと言うのですが、まだまだ半分も荷物を運んでいません。

朝になると新居から牧場に通い、日暮れになると新居に戻って寝る、ということになります。

しかし、新居の床は土間です。

どうやって寝るのでしょう。

今まできりんとくるみが使っていた二段ベッドは分解して運んでありますが、組み立てて置く余裕はありません。

クッションを置いた長椅子が一台ありますが、これをベッド代わりにしても一人しか寝られません。

コンクリートの土間に直に寝るのもどうも・・・。

それに床という床は段ボールで占領されてしまって布団を敷く場所はありません。

カニの横ばいをせずに歩いて動ける空間は台所の流し台の前の半坪だけです。

これもふさがれてしまっては料理が作れません。


「どこに寝るって言うのよ」

(荷物に占領されて外にテントを張って寝るのはイヤですよ)

「ここがあるじゃないか」

「あ、そこがいい!そこで寝る!!」

きりんとくるみが喜んでタオルケットを持って行ったのは高さ2mのベニヤ板を積み上げた山の上でした。

確かに高さはありますが平らな板を順に平面に積み上げた上は水平で平らです。

たたみ一畳より大きなベニヤはゆったりと寝られます。

夏なので敷布団もなくてもかまわないのです、タオルケット一枚あれば。

ゴツゴツした岩の上や木の根のデコボコした地面で寝るキャンプのことを思ったら、水平な板の上なんて天国です。

キャンプ家族はたくましい!


運び入れたテレビもベニヤ板の山の上に置きます。

「わたし、ここの山」

「わたしはこっち」

ベニヤの山は三つあります。

それぞれ好きな山を選べます。

枕とタオルケットを持ってベニヤの山によじ登ります。

「わあ、高い。おもしろーい」

「テレビも見える!」

けっこう楽しそうです。

窓を大きく作ってありましたから、開け放すと高台の家は風が吹き抜けてクーラーなしでも意外と涼しく寝られます。

亜熱帯とは思えないほど。

風がなく蒸し暑かった牧場の寝室より快適です。

「しばらくはこうやって寝ていなさいね」

この非日常的な寝床はその後家の中が片付くまで本当に「しばらく」続くことになるのでした。

カウボーイのお引越し その18につづく

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