カウボーイのお引越し その9

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→カウボーイのお引越し その8からつづく

牧場で荷物作りに精を出している間に、建築は着々と進んでいたのでした。

放課後は子どもたちが毎日柱の骨組み作りの手伝いです。

3mもある鉄筋に30cm置きに短い鉄筋の横棒を梯子のようにつけていきます。

短い横棒にする鉄筋は、長い鉄筋を高速電動カッターで切断して作ります。

長い鉄筋に短い鉄筋を細い針金で一つ一つしっかりと結び付けていくのは根気の要る作業です。

これが一番時間がかかるけど、後でやり直しの効かない大事な仕事なのです。

土台のコンクリートを流し込む前に、溝に鉄筋の柱の骨組みを横倒しにして入れます。

その骨組みに垂直に柱の骨組みを立てて、固定します。

もう一つ、排水管も土台を固める前に入れておきます。


「もしもし、今何してる?」

現場からの電話です。

近くに公衆電話がなく、業者に連絡するにも牧場に電話するにも不便なので、最近になって携帯電話を買ったのです。

携帯電話が大嫌いな父さんでしたが、少なくとも工事が終わるまでは必要なので仕方がありません。


「決まってるでしょ、荷物作りだよ」

「ちょっと来てくれ、流し台の位置を確認したいんだ」

現場に行くと、マムさんが排水の太いプラスチックパイプを準備していました。

彼はどちらかというと水道管や浄化槽の設置の方が専門です。

「台所がここで、流し台がここに来る予定だから、流しの排水はこの位置でいいです」

土台を作る時にもう床下の排水パイプを入れてしまうのです。

なるほど。

浴室、洗面所、トイレの排水管の位置も同様に決めておきます。

溝を掘って排水パイプを納めます。

骨組みを入れた土台の溝にはコンパネというベニヤ板で内側に壁を作ります。

このベニヤ板の中に生コンを流し込んで固めるのです。

生コンが乾いて固まったらベニヤ板をはがします。

こうして四角いコンクリートの出来上がり。

土台だけじゃなくて床も柱も梁も天井も、コンクリート製の「直方体」という形に分類される物は、基本的にほとんど全てがこの手法で作られます。

その度にたたみ一畳より大きなコンパネを必要な形、大きさにカットしてしっかり釘を打ちつけて型枠の形を作るのです。

青い絵の具で染めたような晴れた空に、男たちが金槌でカンカン、コンコンと打つ音が響きます。

家を作る大工さんの音です。

コンクリート住宅なのに木造家屋を作っているような音がするのはこれだったのです。

生コンを流し込むのはある程度型枠が出来上がってから、まとめてミキサー車に来てもらって一気に入れます。

それまでは毎日カンカン、コンコン、そしてコンパネに正確に印を付けて巻尺で測り電動カッターで切っていきます。

合計で何十枚もコンパネが必要になります。

これも業者にまとめて注文します。

配達されたコンパネはコンテナ倉庫の中に積み上げられます。

コンパネの型枠を補強する角材や、夜間にドリルやカッターなどを保管するのでコンテナ倉庫はもうすでにいっぱいです。


コンテナ倉庫コンテナ倉庫



「季節外の衣類や寝具、普段使わないキャンプやダイビングの道具はコンテナ倉庫に入れておけばいい。そうすれば居室が広く使える」


と言った計画はどうなったんだ?

大体、牧場にある我が家の荷物全部を持って行って新しい家に入るのか?


荷物の段ボール箱は次々と野鳥さんのいた住宅に運び込みます。

もう野鳥さんの2DKの家の2部屋は畳が見えていません。

箱の側面には品目別の名前ではなく、「テレビの部屋」とか「玄関」とか元あった場所の名を書くことにしました。

ぬいぐるみと文房具が同じ箱に入っている状態ですからそう書くしかないのです。

どうせ箱を開けても、洗面所にあったものは洗面所に、台所にあった物物は台所に納められることになるのです。

(アレはどの箱に入っているのかなあ)と思ったら、前の家ではどの部屋にあったかを思い出せばいいのです。


「野鳥さんの家はそのうちに床が抜けるよ。これ以上は入らないんじゃないかな」

「まだ台所があるだろう。台所にも荷物を入れろ。野鳥さんの台所はけっこう広かったぞ」

「たくさんは入れられないと思うよ」

「何で?」

「だってもう床が抜けているもん」

「あ、そうだった」

実は野鳥さんのいた住宅は、牧場ができる前から建っていた物で、先住の人が手作りして使っていた物でした。

相当古くなって、だいぶ前から台所部分の床は根太が腐って抜けていました。

床が抜けたところに薄い板とシートを載せてありましたが、歩く時は気をつけないとズボッと足が落ちてしまいます。

それでも床に注意しながら入るだけ入れていきます。

(新しい家にぜーんぶ荷物を運べたとして、人間が入る場所があるのかな。私たちはどこに寝ることになるんだ?新居の隣にテント張って寝るのか?)


→カウボーイのお引越し その10につづく


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