カウボーイのお引越し その8

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→カウボーイのお引越し その7からつづく

荷物を箱に詰めたはいいけども、荷造りした箱の置き場がありません。

このままでは寝るところがないどころか、家に入れません。

「荷物詰めた箱をどこかに置けないかな」

「隣りの野鳥さんがいた所に運んでおけよ、空いてるんだから」

野鳥さんが引っ越した後はもちろん、がらんとした空き家になっています。

10m離れたそこの住宅は独身従業員が数人泊まれるような広さでしたから荷物を運び込むのには適した場所でした。

男の人たちが昼間の炎天下で建築の仕事をしている間、私はせっせと荷物作りです。

「明らかに捨てるべきゴミは持って行かないでしょ?」

「そりゃ、もちろん」

衣類、書類、食器、おもちゃ類・・・と大まかに分類しながら箱に詰めて箱の外に油性ペンで品名を書いていきますが、捨てるかどうか迷うものがほとんどです。

普通の家ならためらわずに捨てているであろう物ですが。

そして夕方になると牧場から自家用車で現場に行きます。

迎えに行かないと家族が帰って来られません。

下校の早い小学生のきりんくるみはもう学校から歩いて現場に来て手伝っていました。

日が落ちて少し涼しくなった頃には、部活を終えた中学生の鉄兵も現場到着。

片づけを手伝ってバイクと車で牧場に帰ります。

「お母さん、今日は何箱作った?」

「やっと四箱かな」

「そんな調子じゃ終わらないぞ。もっと大急ぎで荷物作ってくれないと」

「だって種類別に分類して、しかも捨てる物と捨てない物に分けるのに時間がかかるんだもん」

「分けなくっていいよ」

「え?」

「何でもかんでも詰め込め」

「だけど、食器とか、衣類とか、大まかに分けないと・・・」

「いいんだよ、靴と食器がいっしょの箱に入っていても」

「はぁ?」

「とにかく運んでしまわないと。向こうに運んで、箱を開けてから片付けながら分類すればいいだろ」

「それはそうだけど、ゴミまでは運ばなくてもいいじゃないの」

「捨てるかどうか迷うくらいならそのまま全部運ぶんだ。捨てるのは向こうに行ってからでもいつでも捨てられる」

「まあ、そうですけど・・・」

こうして部屋の中のものはゴミでも何でも区別なく箱詰めすることになりました。これでますます運ぶ物が増えそうです。

引越しというと、箱の数を減らすために、工夫して隙間がないようにぎっしり詰めるのですが、今はそんなのはどうでもいいのです。

次の日からは手当たり次第に箱にどんどん詰めていきます。

箱詰めのスピードは一気に速くなりました。

次々と荷造りの箱ができて、溜まると野鳥さんのいた家に運びます。

家の奥から箱を並べて積み上げていきます。

野鳥さんの家も箱で畳が見えなくなりつつあります。

「おっと、お昼だ」

荷造りに夢中になっていてウッカリしましたが、昼の弁当を届ける時間です。

慌てて簡単なお弁当を作って急いで出発。

お弁当のおかずはリクエストにお答えしてごくごくアッサリした物。

脂っこい物はこの暑さでのどを通らない言われたからです。

現場に着くと、父さん食べるものがなくポツンとしていました。

棟梁とマムさんは歩いても帰れる自宅にお昼を食べに行っています。

「遅かったじゃないか」

「ゴメンゴメン、お腹がすいたでしょう」

「早く食べないと午後の仕事が始まるよ。昼の休憩をする時間がなくなっちゃう」

暑い時期に外で働く人は昼の休憩をしないと夕方まで体がもちません。

石垣島は北緯24度、ほぼ北回帰線上にあります。

ということは、夏至の頃には太陽が南中すると高度89,1度、ほとんど90度、真上です。

5月でも87度、やっぱりほとんど真上です。

同じ頃、東京では、夏至で77,8度、5月で74,2度ですから、ここは亜熱帯なんだと再確認。

お弁当のふたを開けた父さん、

「あれ?実に質素なお弁当・・・」

「だってアッサリしたのって言ったじゃない」

「でも、ご飯とタクアンと明太子しか入ってないよ」

「おかず足りない?」

「いえ、充分です。こういうのが食べたかったんです」

戦前の弁当みたいなお昼を食べて休憩です。

食事の後に昼寝をしようにも日陰がありません。

鉄のコンテナも庇がないですから、建物の陰に、というわけにもいきません。

午前中に一回ある水飲み休憩の時間や昼の休憩時に使える日除けが必要です。

長い鉄パイプを骨組みにして上にブルーシートをかけて日陰の休憩場所を作りました。

直射日光が当たらなければ、海からの風が吹きぬけて、けっこう涼しいのです。

ここは村のはずれの林道を山に向かって200m上がったところです。

現場の周囲は見渡す限りの畑と草地です。

真夏の濃い緑の上を渡ってくる風のなんと気持ちのよいことでしょう。

畑の下の方に村の学校がよく見えます。

教室の廊下で子どもたちが動いているのが小さく見えています。

音楽室から合奏の音楽が聞こえてきます。

学校がすでに村の一番はずれにあったのです。

そこからさらに山の中腹に上ったところですから、斜面の下の方の村が一望できます。

高台なので風当たりが強くて夏も意外と涼しいのです。

ということは、冬は北風がビュービュー吹いて寒いということかも。



カウボーイのお引越し その9につづく


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