キャンプへ GO その11


   →その10 からつづく

ミイちゃんと私、いつもなら夕飯のおかずに川エビを獲るのですが、

今日は川からだいぶ上の方に上がってテントを張ったので、エビが獲れるほどの水の流れからは程遠くなってしまいました。

それにもう辺りは薄暗くなって来ています。

急いで炊事に必要な水を汲まなければなりません。

湿った土や岩の上を気を付けて水のある場所まで下りていきます。

急斜面の岩に張り付いてチョロチョロ流れる水をペットボトルやコッヘルに受けて何とか必要な水を確保しました。
そのままそこで米も洗います。

この間にもウナギ釣りの好きなリーダー、ウナギの居そうな所まで下りていって仕掛けに行きます。

「何でわざわざ支流に入り込んで、こんなジメジメした地面の、しかも水辺から遠い場所まで来てキャンプ地を決めたかと思ったら、そういうことか」

「そう、ウナギが居そうな川を見つけたから」


水を汲んでテントの所まで戻るともう暗くてライト無しでは見えません。
ヘッドランプを頭に巻いてその灯りで炊事します。

食事の時もちろん全員ヘッドランプや懐中電灯の光で自分の皿を照らしながら食べます。

キャンプ最後の夜なので持ってきた食材をほとんど全部使って混ぜて作った炒め物と、残っていたスープの素も全部使って汁を作ります。

食事が済んでも食器洗いはもうできません。

真っ暗だし、食器を洗えるくらいの水の流れる川までは遠いのです。

洗い物は明日の朝に回して、食べたら休憩。

ゴリラのベッドを何人もが作るともうほとんど場所がありません。

残るはぬかるみのように濡れた地面だけ。

「オレが寝る場所は、と・・・。ここか、いいや、こういう時こそこれが役に立つんだ」

リーダーが出してきたのはハンモック。二本の丈夫な木にハンモックの端の紐を結び付けて、

これなら地面がどんなにビショビショでも、デコボコでも大丈夫。

「そういえば昨日もそれで寝てたよね、揺れるのによく眠れるわねえ」

「慣れれば寝られるさ。体の下を風が吹き抜けて涼しいんだ」

ハンモックとゴリラのベッドのおかげで湿ったキャンプ場でもなんとかみんな眠れました。


四日目、今日は夕方の最終便の船が出るまでには、どうしても港に着いていなければなりません。

翌日はイトマンが飛行機で沖縄本島に帰ることになっていたからです。

炊いたご飯の残りと梅干、塩などを小さな食品用のビニール袋に詰めて行動食にして、出発です。

また滝を下り、川をザブザブと下って行きます。

食糧も減り、荷物も軽くなって、私は調子に乗って、苔の生えたヌルヌルした岩の上を、
流れる水といっしょに流されるようにリュックごと滑り降りて行きました。

「わーい、流れるプールだあ、気持ちい―い!」

時々はリュックを傾けて、空のコッヘルに溜まった水を捨てないと重くなって行きましたが。


午後にはようやく大きい川に出ました。川幅は広く、緩やかにゆっくり流れています。

増水していた川の水は、山で三泊していた間に、すっかり引いていました。

それでも河口が近いのか水深は背の立たない部分がほとんどです。

たまに足が着いても川床は軟らかい赤土のドロドロなので足がめり込んで歩けません。

川の両側は水から生えたマングローブでおおわれていて、ここも歩くことはできません。

どこまでも続くように見える川を泳いで下るしかないのです。


「おーい、みんな泳げるよなあ」

幸い、カナヅチの人はいませんでした。

川を泳いで、というより、浮いて流されて下流に向かいました。

リュックは空気が入っていて意外と水に浮きました。
浮き輪を着けたようにみんなプカプカと浮かんで、一丸となって流されて行きました。

「どこまで流れるんだろうね」

「川の終わりまでさ」

「海まで行くの?」

「その前に港があるでしょ」

「全員が流れているけどさ、……」

「うん」

「これって、外から見てる人がいたらおかしいだろうね」

「ハハハ、いないだろうけど」

いえ、この姿見られることになるのです。大勢の人に。


     →その12に つづく

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