イノシシ天国 その12

人気ブログランキングへ

 最新記事がトップに来ています。

最初から読まれる方はここ「キャンプへGOその1」からどうぞ。

イノシシ天国 その11からつづく


健やかに大きくなったイノシシたちに、ただエサをやって太らせ続けている毎日でした。

ある日の夕方、台所でお皿を洗っていると、家の南側の斜面に面した草むらに、何かガサッと動いた音がしました。

「ん?また牛が脱柵したのか?」

窓からは丈の高い草が茂っているのが見えるだけです。

以前は家庭菜園にしていた場所ですが、イノシシの第三放牧場にと金網で囲っていたのです。

その後ほとんど使われないで一年、二年と経つうちに、草ぼうぼうのジャングルのようになってしまいました。

囲いの端もところどころ破れているらしく、たまに放牧場から脱柵した牛が迷い込んできます。

牛の姿を確かめようと、台所に近い裏口から外に出てみると・・・。

「アレ?何だ、今の・・・」

藪の中に逃げ込んだ瞬間、その動物のお尻がチラリと見えました。

なんか、牛にしては小さいような・・・。

子牛にしては動作が機敏。

いや、あのこげ茶色の丸いお尻は・・・牛じゃないぞ!

ということは。


そうです、イノシシが逃げたとしか考えられないのです。

急いでイノシシの囲いの所に行ってみます。


「あ、こんな所に穴が・・・」

数えてみるとイノシシの数も一頭足りません。

取り敢えず、あり合わせの金網のきれっぱしで穴をふさいでおきます。

「あーあ、お父さんのいない時に限ってこういうことが」


そうなんです。和歌山の一人暮らしのおばあちゃんが手術をすることになって、父さんはしばらくその看病のためにそちらに行っているのです。

囲いの中に残っているイノシシがそれ以上逃げないように穴をふさぎましたが、すでに逃げて行った一匹はどうしましょう。

今のところは大人一人ではどうすることもできないのでしばらくはそのままということになります。

ここで生まれて何年も育ってきたイノシシはそうすぐに遠くに行くことはありません。

外に出ては見たものの、むしろ元の仲間の所に帰りたくて囲いの周りをウロウロして、追うと簡単に囲いの中に入ってくれることもあるのです。

今までイノシシが脱走したことはありましたが、そうやって遠くに逃がさないうちに確保してきたのでした。

「逃げたイノシシ山に行かないかな?」

「毎日金網のそばにエサを撒いてやろう。それを食べている間は遠くには行かないよ」

数日はそれでよかったのですが・・・。


ある日、裏口を開けた時に目の前にいた大きなイノシシに至近距離で遭遇してしまいました。

「わ!こんな近くに!」

反射的に慌ててドアを閉めていました。

急いで鍵を掛けて奥の部屋に移ります。

そこで今見た光景を反芻してみます。

(?・・・今のイノシシ、身体大きかったな)

逃げているのはわりと小さなイノシシのはずでした。

(それに2頭いたように見えたけど、錯覚かな?)

とにかくもう一度確かめてみよう。

恐る恐るドアをそおっと細めに開けてみます。

イノシシは裏口のすぐ外で、桑の木の根元に昨日捨てた魚の骨をバリバリ噛んで食べていました。

家の周りをうろついている野良猫たちのために残飯を裏口から外の桑の木の下にポイッと投げておくのが習慣でした。

ムシャムシャと食べているイノシシのその口には大きな鋭い牙が・・・。

(あ、一番大きなオスだ!)

その後ろには二番目に大きなイノシシ。

食べながらチラとこちらに視線を向けています。

目が合っても知らん顔してまだ食べ続けています。

取敢えずドアを閉めて考えます。

(あんなにドアの真ん前に居座られたら外にも出られないわ、もうちょっと家から離れてもらおう)

再びドアを開けて野良犬でも追っ払うように

「しっ、しっ・・・」

イノシシは逃げるどころか、カフカフ、シャキシャキと歯ぎしりをして威嚇します。

イノシシの歯ぎしりは悔しくてするわけではありません。

戦いの前に牙をこすり合わせて研いでいるのです。

つまり戦闘態勢です。

「ヒャー、こわ~~~」

そうこうしているうちに、学校へ子どもを迎えに行く時刻です。

「しかたがない、反対側から出るか」

台風が頻繁に来る石垣島の家は大体が二方向以上に出入り口があります。

風向きによってはドアも窓も開けられない方向があるからです。

3~4方向にドアがあれば風がくるのと反対側のドアが少なくとも一ヵ所はあることになります。

普通は台風時は外には出ませんが、停電になった夏の日、扇風機エアコンもなしの亜熱帯で窓をすべて閉め切って一日中は過ごせません。

 いつもはほとんど使っていない東側のドアから外に出ると、

「ええっ、ここにもイノシシが来てる」

先回りして反対側のドアで待ち伏せ?

それほど賢くはないでしょう。

もう一度家に入って裏口を開けて外を見ると、やっぱりさっきのイノシシは同じ所に2頭いました。

「ということは・・・」

何頭逃げているの?

家はイノシシに包囲されてしまいました。



イノシシ天国 その13につづく

↓毎回クリックありがとうございます
↓みなさまのクリックで順位が上がります
↓1日1回のクリックを
にほんブログ村 小説ブログ コメディー小説へ
にほんブログ村
にほんブログ村 子育てブログ 自然育児へ
にほんブログ村

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

野生児の妻

Author:野生児の妻
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
FC2カウンター
現在の閲覧者数:
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード