イノシシ天国 その9

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→イノシシ天国 その8からつづく

何頭ものイノシシを飼うとなると、小さな檻の中というわけにはいきません。

雑草が生えた空き地に杭を打って金網で囲い、イノシシの放牧場を作りました。

イノシシが跳んだりよじ登ったりして逃げないように、金網は人の背くらいに高くしました。

イノシシも土の上で気持ちよさそうです。

雑草が良く茂っていた地面も鼻で根を掘ってミミズを食べたりするので数日後には雑草が一本もなくなり、ツルツルになってしまいました。

「すごいね、イノシシ」

「見事に草が無くなったな」

「今まで雑草の土地を畑にするのに草取りで苦労したのにね」

空き地を耕して家庭菜園を作る際、雑草取りが一番タイヘンだったのです。

「草は無くなったし、適度にイノシシの糞が溜まって栄養もいい。ここは次に畑にするのに持って来いだな」

「じゃあ、イノシシを入れる囲いをもう一ヵ所作らなきゃ」

「そうだな、隣接して作って、移動できるように間にドアを作ろう」

こうして第二放牧場も作りました。

イノシシを隣に移して、イノシシが耕してくれた土地に野菜を植えました。

草取りをしないで植えられるのはいいのですが、・・・なんか変。


「この土、おかしくない?イノシシの糞で栄養満点かも知れないけど、肥料というよりイノシシのウンコそのものっていう感じなんだけど」

確かになんだか土がネチョネチョした感じ。

熟成した堆肥は乾いた土のようにサラサラしたもののはずですけど。

「土と砂をもっと混ぜなきゃいけなかったのかな。混ぜ方が足りないのか」

・・・って、混ぜるとか、そういう問題じゃなくてこの土地はイノシシのウンコだらけ、というよりウンコそのものだろう!

イノシシのお便所で作った野菜、さぞおいしいことでしょう。

結局、ほうれん草や小松菜を植えましたが育ちがあまりよくありませんでした。

ネチョッとした土なので野菜も地中に充分に根を張れなかったのでしょうか。


「中世ヨーロッパでは三圃(さんぽ)式農業をやってたのよねえ」

「散歩式農業?」

「お散歩するわけじゃないよ、作物を植えるのと休耕地にブタを放すのと3箇所の畑で順番に行うから、無駄なく土地が使えるってことでしょ」

「それ式にうまく回るはずだったのになあ。どうしてかな」

我が家のさんぽ式農業は失敗でした。

でもイノシシはまた茂った草でいっぱいの土地に移されてうれしそうです。


そして5月の晴れた日、イノシシの囲いの近くに例年のようにポールを高く立ててこいのぼりを上げました。

結婚9年目で産まれた長男のために実家から送られたこいのぼりを揚げました。

牧場は広いので大きなこいのぼりを揚げるのに充分な土地があります。

海から吹く風はいつも強く、こいのぼりは毎日元気よく泳ぎっ放し。

牧場の住人以外に見てくれる人がいないのが残念ですが。


「今日は特に風が強いなあ」

「コイノボリもすごい勢いで泳いでるわねえ・・・って、アレ?!一匹足りない!」

一番上の真鯉が消えています。

風が強すぎて金具が外れて飛ばされたのでしょう。

「どこか近くに落ちてるんだわ、捜してくる」

今までにも風の強い日に金具が外れてこいのぼりが飛んで行ってしまったことは何度かありました。

ですが、だいたいすぐ近くに落ちていました。

今回は相当離れた所まで捜しに行きましたが見つかりません。



さんざん捜しても見つからずにあきらめて元のポールの所に戻ってきました。

ふとイノシシの囲いに目をやると、イノシシの足元に泥にまみれたコイノボリが落ちています。

「あああ、見つかったけど、イノシシのウンコと泥でグチャグチャだあ」

長い棒で手繰り寄せて、外の水道まで持って行き、ホースでジャージャー流してようやく黒い真鯉の鱗模様が現れました。

水できれいに洗いましたが、もうこのコイノボリは使い物にならないことがわかりました。

汚れただけでなく、イノシシの牙でズタズタになっていたからです。

イノシシにしてみれば、突然空から大きな変なものが降ってきて自分の領地に落ちて来たわけですから、敵と思って攻撃したのでしょうか。

コイノボリは縁起物ですから、まさか真鯉抜きで残りの鯉だけを揚げるというわけにもいきません。

それ以来毎年5月になってもコイノボリを揚げられませんでした。

数年後に実家の両親にお願いして代わりの新しい鯉を送ってもらうまでは。

またあるとき、庭に放し飼いにしてあったたくさんのニワトリ、そのうちの1羽が金網の隙間からか、金網の上から跳び込んだのか、イノシシの囲いの中に入ってしまいました。

イノシシはすぐにニワトリの近くに集まって来て襲いました。

ニワトリはかわいそうに抵抗むなしく、イノシシのエサになってしまいました。

あっという間のできごとでした。

「!!・・・・」

「・・・・・・・・」

お.恐ろしい・・・・・・。

「やっぱり猛獣だね」

このころになると、一番大きなオスのイノシシは人間の大人よりもずっと大きく、体重もあってそばに近寄るのも怖い存在になっていました。

囲いの中に入って世話をするなんて不可能です。

鋭い牙は凶器です。



「イノシシの囲いでちょっと困ったことがあるんだ」

「え?」

またいやな予感が・・・。



イノシシ天国 その10につづく


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