イノシシ天国 その6

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→イノシシ天国 その5からつづく

頑丈な檻にイノシシを誘い込んで扉を閉めて生け捕り、とアイデアはいいのですが。

「そばで待ち構えていたら、イノシシが寄って来ないでしょ」

「少し離れた所に車を停めて中でじっとしているよ。窓も閉めて人間の臭いがしないようにして、クフフ・・・」

男の人ってどうしてこういうことに夢中になるんでしょうか?うちだけかな?

それから数日は食べ物を撒いてイノシシを安心させる作戦です。

次に手製の檻を現地に移動。

今度は扉を開けた状態でこの檻の中にエサを撒きます。

これも、最初は警戒していたようですが、何日かすると安全とみたのでしょう、エサを食べるようになりました。

その次にはすぐそばに見張り用の車を置いて、それにも馴らさなければなりません。仕事にも準備があります。

なにぶんにも用意周到。

「アルト借りるぞ」

私がいつも街のスポーツセンターにアルバイトに行くときに使っていた軽自動車で、スズキの赤いアルトのことです。

斜面の下まで乗って行ってイノシシ捕獲までそこに置いておくということです。

実はこの時にはもう鉄兵が生まれていてプールのインストラクターのアルバイトは辞めていました。

妊娠と同時に退職したのでした。

街に買い物に行く時は牧場のトラックを借りれば済むことだし、まあ、いいでしょう。

無人のアルトを檻の近くに停めて2日くらいして、イノシシを安心させてからいよいよ張り込みです。

イノシシは夜行性ですから、まだ活動していない日暮れ前から車に乗っていなければなりません。

早めに食事を済ませて停めたままのアルトに乗りに行きます。


「クチュクチュもいっしょに行くか?」

「面白そうですね、行きましょう」

クチュクチュさんというのはニックネームです。

ヒロシくんが辞めた後に牧場の仕事を手伝ってくれている、元キャンパーの青年です。

キャンパー出身の人というのは大体がアウトドアの遊びが好きです。

クチュクチュと二人で車の中で夜明かしすることになりました。


翌朝、手ぶらで戻って来た二人。

「獲れなかったの?」

「檻のすぐ近くまで来た」

イノシシの方もまだ完全に油断しているわけではないようです。

また翌日も同じように張り込みです。二日ほどして、

「昨夜は檻の中に入ってガツガツとエサを食べてた!ウッフッフ・・・」

「その時にロープを引いてガシャーンじゃなかったの?」

「いや、そう思ったけどさ、そばにもう一匹いたんだよ。あれはツガイだな」

「へえ!」

「もう少し馴らして安心させて、二匹同時に檻に入ったところを“ガシャーン”だ」

欲張りですねえ。

「一匹ずつじゃダメなの?」

「一回、ガシャーンってやっちゃったら、あとのやつが逃げて二度と来なくなっちゃうだろ」

それもそうです。一網打尽を狙っているわけですね。


次の日、

「惜しいなあ、二匹目が入ろうとすると、もう一匹が出ちゃうんだよ」


そして一週間後、

「イノシシどう?」

「わからん、寝ちゃった」

そりゃあ、何日も車の座席で、しかもすぐ飛び出せるように靴を履いたまま寝ているのでは疲れも取れません。


そのうち、

「今日は一晩中起きてたけど、イノシシ来なかったなあ」

「イノシシもお休みがあるのかしら」

「なんか、疲れたなあ」

久しぶりに部屋でぐっすり眠って、また張り込み再開しましたが、それっきりイノシシは来なくなってしまいました。

どうしたのでしょう。

同じ場所にそう毎日通っていては危険だと判断したのか、もっといい餌場を見つけたのか、それとも鉄砲を持った猟師に山で獲られてしまったのでしょうか。

もしそうだとしたら、おいしいエサを毎日喰わせていた苦労は何だったのか。

獲った人はよく太ったイノシシだ、とさぞや喜んだことでしょう。


「もう檻のガシャーンはやらないの?」

「だってあそこにはもうイノシシ来ないもん」

「じゃあ、アルトは元の位置に戻しておいてね」

今まで何度「ロープを引いて“ガシャーン”だ」のセリフを聞いたことでしょう。

でも、本物の「ガシャーン」の音はついに聞けませんでした。

その後、トラクターで苦労して運んだ重い鉄製の丈夫な檻は邪魔にもならないのでしばらくそこに置かれたままになっていました。

周りに草も生えてきましたが、次に飼われるイノシシのために数ヶ月そこで出番を待っていることになるのでした。



イノシシ天国 その7につづく


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