イノシシ天国 その4

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イノシシ天国 その3からつづく


そのうちにトン吉はすっかり飼い主になついて、ひもをはずしてもどこまでもついて来るようになっていました。

夜に父さんが魚を獲ろうと海に行くと、トン吉もついていきます。


「トン吉、ついて来るんじゃない、帰りなさい」

「ブーブー」

「遊びに行くわけじゃないんだ」

「ブヒ」

「今から海に潜って魚を獲るんだよ」

「ブ」

「トンちゃんは潜れないでしょ」

「ブフ」

帰ろうとしないので仕方なくトン吉を浜に置いて、ザブザブと海に入っていきます。

トン吉、しばらく浜から沖に向かう父さんの方をじっと見ていましたが、さびしくなったのかついに
父さんの後を追うように海の中へ泳ぎだしました。

「こ、こらあ、トンちゃん帰りなさい!」

「ブゥ、ブフッ、プフッ・・・、ゴボッ、ブッ、ゴボッ・・・プフーッ」

丸っこい身体で器用に泳ぐものです。

でも後からイノシシがついて来ているのにゆっくり魚なんか獲っていられません。

魚獲りは止めてすぐに帰って来てしまいました。


 トン吉はすっかり私たちの子どもになってしまいました。

そしてまたまた牧場にお客様です。

今度は映画の助監督のカナメさんです。

カナメさんは以前に私たちのことを主人公にした映画を撮った時の助監督をした人です。

2ヶ月以上かかった映画の撮影が終わって、何十人もの撮影隊が解散した後も気の合った人たちとは親交があります。

助監督だったカナメさんもその一人です。

カナメ助監督は石垣島の牧場を舞台にした映画の撮影が終わった後、助監督から監督になってテレビ番組の制作などをしていました。

今回も石垣島を舞台にした推理ドラマの撮影で来ていました。


「撮影が無事に終わったんで、スタッフと別れて僕はもう一泊することにしました」

「じゃあ是非うちの牧場に泊まっていってくださいよ」

「いいですねえ、今夜は久々にいっしょに飲みましょう」

その日は撮影の時の思い出話などしながら旧交を深めたのでした。


トン吉は、いつもかわいがってくれる父さんがお客さんとばかり親しくして、自分を構ってくれないのでちょっとさびしそう。


夜になって、ドアを閉めようとすると、トン吉はあわてて入ろうとします。

「ダメダメ、トンちゃんはお外で寝るの!」

「ブヒーブヒー」

「ダメなの」

「ブヒ・・・」

「そこで寝なさい」

「ブブッ」

外側のドアノブにトン吉の紐をつなぎ、ドアを締めておやすみなさい。


 翌朝早めに目が覚め、そっとドアを開けてトン吉の様子を見ます。

「トンちゃん、さびしかった?」

「・・・・・」

「あれ?トンちゃん?」

トン吉がいない!

ドアノブから紐がはずれたようです。

お客様はまだおやすみだけど、父さんには一応知らせなきゃ。

部屋に戻って伝えようとすると、なぜか静かに寝ているはずのカナメさんの寝室から何かの気配が・・・。

獣の臭いもするような気が・・・。

(まさか!)


カナメさんの寝ている枕元にトン吉はちょこんと座っています。

狭い部屋なので布団を敷いた頭の所に机が置いてありました。

トン吉はその机の下に潜り込んでじっとしていたのです。


「トンちゃん、ダメでしょ、出てきなさい」

「ブヒブヒ、ブヒィー」

首輪の紐を引っ張り合いしていると、酔って深い眠りだったカナメさんも騒がしくて目を覚ましてしまいました。

「な、何?」

「い、いえ、イノシシが、す、すみません」

「は?あ、そう・・・」

まだ覚醒していません、カナメさん。

トン吉を引っ張り出そうとしていて、もう一つタイヘンなことを発見しました。

カナメさんの布団の頭の方にトン吉が大きな「ウ○コ」をしていたのです。

(やばい!これはまずい!)

「ん?どしたの?」

「はあ、あの、今片付けます、すみません、まだ寝ててください」

「はいはい、ムニャムニャ・・・」

幸いカナメさんはまだ半分眠っています。

トン吉を連れ出し、「ウ○コ」も処理しました。

イノシシの「ウ○コ」は、草食動物の牛や馬のとはちがって、色、形、大きさが人間のそれによく似ています。

雑食だからです。

いつも栄養のあるものを食べさせているからか、すごく臭い!

草食の牛、馬、ヤギの糞はそんなに臭くありません。

 それにしても頭のすぐ上で臭い「ウ○コ」をされたのに気付かずにぐっすり眠っていたカナメさんもたいしたものです。

ドアが開いてトン吉が入ってきたのに朝まで気付かなかった私も他人のことは言えませんけど。

しかし、昨夜はしっかりドアを閉めたはずなのにどうして開いてしまったんでしょう。

もしかするとトンちゃんが鼻で開けたのでしょうか。


ようやく落ち着いたころカナメさんも気持ちよくお目覚めです。


「ああ、よく寝た」

「朝ごはんできてますよ。外の木の下のテーブルで食べましょう」

「いいねえ、牧場を見ながら緑に囲まれての朝ごはん」

「え、ええ、そうですね」

「すがすがしい草の香りだ、こういう所での食事は最高だね」

「はあ」

こうしてイノシシが我が家に住み着くことになったのです。


父さんのイノシシへの興味はまだ終わりません。



イノシシ天国 その5につづく

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