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トイレの青い手


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年を取ると皮膚の湿り気というか油分が減ってカサカサになってきます。子供の頃、大人が新聞や紙をめくるのに指先を舐めたりしているのを見て疑問に思っていましたが、今はその気持ちよくわかります。

人によって差があるんでしょうが、特に父さんは、若いころ、いえ、子供のころから油っ気がなく手がカサカサ、パサパサだったそうです。中学、高校の頃に使っていた英和辞書、よく使っていた人のは手垢がついて黒くなっているものです。

彼の辞書は使いこんだのに、古びてはいたが紙の縁は白いままだったそうです。

「勉強しなかったからじゃないの?」

「ちがうよ、オレは手に油がなくて手垢がつかないの!」

手に油がない人は、紙をめくるときだけでなく、ビンや食器を持つのも滑りそうになるらしいです。

重い箱を運ぶ時など手を濡らしてから持ったりしています。

金属の丸いドアノブを回すのも苦労するようです。

家のトイレのドアノブがそうです。

握って回すのもツルツル滑ってしまうので、ドアノブに滑り止めに使い捨てのゴム手袋をはめたのです。

寝たきりの義母の介護に箱買いした医療用の緑色の使い捨てのゴム手袋です。

医療用手袋


義母は2年前に他界して、使い切れなかった手袋がたくさん残っていました。

それをドアノブにはめて、(これで滑らずにドアノブを回せる。便利になった♪)

と喜んでいたらしいのですが、手袋をはめたことを私は知りませんでした。

トイレは薄暗い廊下に面しています。手袋のことを知らない私は、何も考えず廊下の電気も点けずにいつものようにトイレのドアを開けようとノブに手をかけました。

いつもと違う感触にビックリして反射的に手を引っ込めました。途端に手袋がパサッと下に落ちました。

「ギャアー!!」

「どうしたんだよ」

「青い手が!・・・何よこれ!」

「それ着けると滑らなくていいんだよ」

「はずれて落ちちゃったわよ」

「またはめりゃいいじゃん」

「これ、ずっと付けておくの?!青い手を?」

「そうだよ」

「やだあ、気持ち悪い、不気味だあ!」

「何が気持ち悪いんだよ、あるものは何でも使えばいいだろ」

イヤですよ。かわいい子供の毛糸の手袋か何かならまだしも、青い医療用のゴム手がドアノブにはめてあって、五本指が垂れ下がっていて、お化け屋敷じゃないんだから。

毎日トイレに入る度に青い手と握手してノブを回すのは気分が下がります。

夫婦二人だけの生活ですが、来客が絶対ないというわけではありません。

「トイレお借りします」

「こちらです」

「ギョッ!」

想像がつきます。ただでさえ家の中はガラクタゴミでいっぱいで、手の届かないところには蜘蛛の巣が張り、これでトイレのドアに青い手がぶら下がっていたら、これはもうお化け屋敷そのものです。

あんまり私が、怖いだのキモいだの言うので翌日にはゴム手をノブに巻き付けてコンパクトにしてありました。

まだカッコ悪いですが、五本指がぶら下がっているよりはよっぽどマシなのでこれで妥協しました。

ドアノブ



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