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ハブの隣にハブ

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夜間断水になったと思ったらようやく2か月ぶりに雨らしい雨が降り、夜間断水は解除になりました。

それでもダムの水位はまだ半分以下だそうで、節水は必要です。

街から離れた川から水をもらっている私たちにはどちらにしても断水はないですけど。

そして、うちのヤギに赤ちゃんが産まれました。

二日間で3匹のメスヤギがそろって出産しました。1匹は双子を産んだので赤ちゃんヤギが4匹になりました。

ヤギの親子


父さんが小屋を作ってやろうと、外に置きっぱなしだった材料のトタン板を持ち上げると、トタン板の下に大きなハブ!

急いで殺してそれをソバのドラム缶に入れようと、ドラム缶を動かすと、ドラム缶の下にもう1匹のハブ!

ハブ


危ない、危ない、昼間でもうっかり素足にサンダルで草原を歩けません。

必ず長靴を履かなければ。草の生えてない所も夜は懐中電灯なしでは歩けません。

そしてその夜、家の裏に繋いである犬がやけに吠えまくるので何かと思って、父さんが外に出て懐中電灯で照らして見ると。

窓枠に沿って大きなハブが登っていたのでした。

窓は閉まっていましたが、開いていたら室内に入ってきたかも知れません。

思い出します、山奥のキャンプで実習生がハブに咬まれて1週間山を下りられなかったこと。

「アイ・ハブ・ア・ハブ」


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断水猶予

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石垣は昨日から夜間断水が始まりました。

朝からどうやって水を溜めておくか考えていました。

ペットボトルで何本必要か、トイレの水はバケツ1杯で足りるか、夜中にトイレにそんなに起きるか?

なんて心配していましたが、なんと我が家の地域は断水がなかったのです。

石垣のFMラジオで、「簡易水道以外は」断水、と言っていたので市の水道部に確認すると、やはりこの地区は簡易水道、つまり島の中心の大きなダムとは水源が違うので、断水の地域から外れるそうです。

市役所のホームページを見ても、「断水は上水道地区のみ」と出ています。

よかった!

夜遅くでもシャワーに入れる。トイレも使える。

この地域でも少雨には変わりないのですが、水源は豊富な水量の川です。

川の上流に滝もあって夏は子供たちの遊び場になっています。

滝つぼに飛び込んだり泳いだり、滝の上でターザンごっこしてロープから手を放してボチャン!という楽しい滝です。

こんな滝のある川です。

滝2



田舎でよかった。

市街地の方々には申し訳ないですが、昼間の水汲みはしなくて済みました。


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台風か水不足か

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今年の夏は台風が石垣にはあまり接近しなくて、被害はほとんどありませんでした。

それはありがたかったのですが、そのせいで困ったことが。

8月からまとまった雨が降らず、島は水不足。

先週2か月ぶりに10ミリ以上の雨が降りましたが、そんなものでは追いつかず、飲料水用のダムの水位は38%。

ついに明日から夜間給水制限です。午後11時〜午前6時は断水になります。

夜間断水は3年ぶりです。

数年に一度は干ばつで給水制限はありました。

20年近く前にもひどい干ばつで給水制限になりましたが、その時は私たちはまだ牧場にいて、水道を使っていなかったので影響はありませんでした。

谷の水をポンプで汲み上げて使っていたので、ダムの水を使う市の水道の給水制限は関係ありませんでした。

その時はみなさん食事に苦労したそうです。

食器が洗えないから紙皿を使ったり、お皿にラップをつけて食べたらはがして捨てて洗わなくて済むようにしたり。

小中学校の給食では野菜を洗う水がないので、洗わなくていい玉ねぎを多く使ったとか。皮をむけば洗わなくて済みますね。

渇水の程度によって時間給水、隔日給水など段階があります。

今回は夜間断水なので、食事や入浴、トイレ、洗濯などは断水の前に済ませるわけですが、そうもいかない人は、水がでるうちにポリバケツに溜めておくことが多いようです。

市内のホームセンターに大きなポリペールを買いに来る人が増えたそうですから。

午後11時〜午前6時といえば多くの人は寝ている時間帯でしょうから、断水しても一般家庭はそんなに困らないかも知れません。深夜営業の飲食店は相当困るでしょうが。

夜も水を使う人は、夜間断水に備えて水タンクを準備することもあるようです。

夜使う分を昼間に溜めておくのなら水の使用量は減らなくて、(多少は節水するでしょうが)あまり効果はないということにはならないでしょうか?

まあ、夜間に不必要な水使用はなくなるでしょうから、それだけでも期待しましょう。

思えば夏は毎日晴天で、台風が来る時だけ雨が降るのでした。

台風の季節が終わると毎年のように秋口に大雨が降るのですが、今年はそれもありませんでした。

雨が降ると洗濯物が干せないけど、雨が降らないと断水で洗濯ができない。

お隣の小浜島では雨乞いの行事を行ったそうです。


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洗濯を干しながら

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11月になってだいぶ涼しくなりました。と言っても昼間は扇風機欲しいですけど。

屋上で洗濯物を干しながらきれいな海が見えるのでパチリ。

屋上から見る海


冬でも晴れるとこの景色。これは北側ですが、半島の付け根なので反対の南側にも海が見えます。

140616_1147~01南側

全室オーシャンビューです。


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マダナイの鈴 その2

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前回からの続き、後半です。

入ってはいけない山道に迷い込んだ高坂家の車は後戻りもできずに・・・。



「姉ちゃん、さっきから何をゴチャゴチャ言ってるんだよ?」
 ガタン!
 その時だった。車が何かに乗り上げたように持ち上がって次の瞬間、急停止した。
「痛たたた・・・。天井に頭ぶつけたよー」
「ゴメン、ゴメン、大きな石に乗り上げちゃった」
父はもう一度エンジンをかけようとしたが、かからない。
「あれ?うんともすんとも言わない。エンジンかバッテリーがいかれたかな」
父は車を降りて車体の下を懐中電灯を点けて見ている。山の中の道はすっかり暮れてしまった。道の両側の藪は黒い塊に見える。
「バーベキューしたいよー、バーベキュー」
「うるさいなあ、もうこんなに暗くなって、バーベキューは無理よ。うちに帰ったらフライパンでお肉焼いてもらいなさい」
「うぇーん」
「ワンワンワン!」
弟の泣き声にかぶせてマダナイが吠えた。
「マダナイ、どうしたの?」
マダナイは窓ガラスを爪でガリガリ掻いている。
「マダナイ、オシッコしたいんじゃないの?」
ドアを少し開けてやるとマダナイはすごい勢いで飛び出して走って行った。
「あ、遠くに行かないで!」
こんな山奥で迷子になったら帰ってこられない。私は焦って追いかけようとした。
「まお!走ったら危ないっ」
マダナイの首の鈴がチリンチリンと鳴る。その音だけを頼りに私は暗い道を追う。真っ暗と思ったがマダナイの後ろ姿が見えている。頭の上に半月が照らしているのだった。
「ウウウ~、ウウウウ~~」
 マダナイは暗い森の木に向かってうなっていた。見ると大きな木の上、地上三メートルほどの太い枝に何かがいる。人間ではない。猿?いや、もっと大きい。薄茶色の毛の生えた動物のような生き物。オランウータンやチンパンジーが都会から車で二時間くらいの山にいるわけがない。動物園から逃げ出した?いや、ちがう、猿じゃない、人間?
 枝からもう少し低い枝に移ったその時、枝の隙間から射し込んだ月光に照らされてこちらから顔がハッキリ見えた。猿のような姿に人間の顔が付いている。化け物!この世のものじゃない。立ちすくんでいるとその化け物はスルスルと枝を降りて地面に立った。四足とも二本足ともつかない恰好ですごいスピードで車のほうへ向かって行った。
「お父さん、逃げて!」
動かない車体の下に頭を突っ込んで調べていた父のすぐそばまでそれは近づいていた。異様な荒い息づかいを察知して起き上がった父に化け物は、まさに両手を大きく上げて襲い掛かろうとしていた。
「ああああっ」
父がやられる。これが山の神様?入っちゃい
けない道に来たから神様が怒っているの?ただの化け物じゃないの!
 父は手に持っていたスパナを振り回しているが、立ち上がると身長二メートルはあるそいつには届かない。腕だって片方だけで一メートル半はある、
「ウガアーッ」
ついに化け物が父にのしかかる!その時、
「ワンワンワン!」
マダナイが大きくジャンプして化け物の背中に取り付いて首の後ろに咬みついた。化け物はのけぞって立ち上がり、父から離れた。背中に咬みついたままのマダナイを振り落とそうと体を大きく揺すっている。マダナイは咬みついたまま四本足の爪を立てて化け物にしがみついている。化け物は片手を後ろに回すとマダナイの尻尾をグッと掴んで勢いよく引き離した。マダナイは尻尾を引っ張られていたかったのか、口を開けてしまった。化け物はマダナイの尻尾を掴んだまま振り回して草むらに向かって投げた。
「ギャイーン!」
「マダナイ!大丈夫!?」
鈴の音と鳴き声を頼りに私は夢中で草むらの中に入って行った。
「ダイジョウブダヨ、マダマダ」
そうは言っても刺のある枝や細くとがった枯れ枝でマダナイの体は傷だらけだ。あちこち血が出ている。マダナイから解放された化け物は、ウウォーと雄叫びを上げてまた車のほうに近づいて行く。車には腰が抜けたのか顔も体も固まって動かない母と、恐怖で顔が引きつりきょろきょろ目だけ動かしている弟が乗っている。その後をマダナイが走って追う。マダナイの背中の毛はあちこち血で赤く染まっている。化け物が車に着くより一瞬早くマダナイが化け物の足首に咬みついた。
「ウウォッ」
化け物が足からマダナイを引き離そうとかが
み込んだその時、すかさずマダナイは化け物ののど元に咬みついた。
「ウガァーッ!」
化け物は仰向けに倒れたが、マダナイはまだ咬みついて放さない。化け物は苦しいのかマダナイを掴んだまま地面をごろごろと転がる。化け物の鈎爪のある指がマダナイの耳にかかった。
「キャウッ!」
マダナイが口を開けたその瞬間、化け物はマダナイをはね飛ばし、マダナイは五メートル位も飛んで行って、車の後部座席のドアに当たって止まった。
「チリーン、リンリンリン・・・」
鈴が転がる音がした。首輪から鈴が外れたのだ。その音で我に返ったのか、弟がドアを開けて外に飛び出した。地面の鈴を拾うと私に投げてよこした。
「姉ちゃん、鈴だ。あいつに投げろ」
 私は訳が分からず受け取った鈴を持ったま
まマダナイを見た。ぐったりしたマダナイは、黙って目でものを言っていた。
(ソウダ、マオチャン、バケモノニスズヲブツケルンダ)
 私は夢中で化け物の顔目がけて鈴を思い切り投げた。見事命中。鈴は化け物の眉間に当たって稲妻のような光と音を発した。
「わあっ」
まぶしさと雷がすぐ近くに落ちたような轟音に私たちは目をつぶり、耳をふさいでいた。何十分、いや何時間気を失っていただろうか。気が付いて立ち上がると化け物は大の字になって地面に倒れている。眉間の毛の間に鈴がはまり込んでいる。死んでるのかな・・・?動かない化け物に恐る恐る近づいてみた。猿のような人間のような恐ろしい顔の化け物は動かないが、少しずつ表情が穏やかになっていった。そして体が透き通るように薄くなっていった。地面が透けて見え、最後は白い煙のようになって浮かんで、そして森の中へ流れて行った。宙に浮いていた鈴が地面に落ちてチリンと鳴った。拾うと手の中で鈴はサラサラと砂のように粉々になった。
「マダナイ、マダナイは?」
息はあった。よかった。生きてたんだ・・・。
ぼおっとしていた家族もハッとして車に乗り込んだ。父がエンジンをかけると嘘のように一発でかかった。膝に抱いたマダナイは目を瞑って小さい息をしている。
 いつの間にか空が薄明るくなっていた。車はどっちに向かって走っているのかもう誰にも分からなかったが相変わらず山の中の細い一本道だった。Uターンした覚えも分かれ道に入った覚えもないのに、いつの間にか車はふもとへ戻る道を走っている。不思議なことに、家族にきいてみても、誰も、どの道を通って帰れたのか記憶がなかった。
 マダナイは意外と早く回復した。でも鈴がないのでもう人間の言葉は喋れない。同じ首輪はもうあの店にはないとおじいさんは言っていたけど、もしかしたらまた入荷してるかもと思って、あの店に行ってみた。しかし、店はなかった。近所の人に聞いたが、移転したのでも閉店したのでもなかった。誰もがその店ははじめからなかったと言うのだ。鈴屋があった場所には古い駄菓子屋があり、おばあさんがいた。もう何十年もここで駄菓子屋をやっているそうだが、近所の人と同じことを言っていた。
「あれは夢だったのかな・・・マダナイ、もうお話はできないね」
「ソンナコトナイサ、ボクタチハイツデモ、ココロノナカデ・・・」
「え?今、喋った?」
しかしそれ以来、マダナイが人の言葉を話すことはなかった。そしてあの怪物にやられそうになった時、なぜ弟は鈴を投げると怪物が倒れると気付いたのか、そもそもあの鈴は何だったのか、全て今も分からないままだ。
でも、あの出来事が夢だったとしても、私はマダナイが起こした奇跡を、ずっと忘れない。
「ありがとう、マダナイ」
「ワン!」



いかがでしたか?高校生の書いた小説。



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マダナイの鈴

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ガーラの写真を昔のキャンプ仲間の何人もに送りました。

「この魚の写真を見たら、またキャンプに連れてってくださいという奴がいるさ」

というわけで。

みなさんから返信来ました。

「すごいですねえ!またキャンプに行きたいです」

というのが共通のお言葉。このうち実際にキャンプに付き合ってくれる方が何人いるかわかりませんが。


さて、話は変わりますが、先日次女くるみの書いた作文、というか創作文が学校の代表で県紙沖縄タイムス主催の「全琉コンクール」に応募してもらいました。

結果、優秀賞になって喜んでいます。

沖縄県で高校1年生の創作文の部では優秀賞は3人でした。

書いたのは8月で、夏休みの課題として原稿用紙20枚を頑張って書いていました。

ジャンルとしては冒険小説でしょうか。

ブログに載せていいよ、と言ってくれたので、せっかくなのでここにコピーします。

長いので今回は半分まで。


  創作文「マダナイの鈴」


 私は高坂まお。自分では結構活発だと思っている、小五の女の子。家族は父、母、弟のゆうご、それと犬のマダナイ。
マダナイは三か月ほど前に父が仕事帰りに、公園で小さく震えていたのを拾ってきた子犬。雑種というだけあって、芸もしつけも覚えないダメ犬。本当は賢くて元気な柴犬とかがよかったけど・・・でもきっとこの子、しつけても言うことをきかないから、誰かが呆れて捨てちゃったんだと思う。父が拾うまでどんなに寂しかったか・・・それを考えると、何だか可哀想に思えてきた。見た目は丸っこくて結構可愛いので、今では可愛がっている。
始めは名前を考えていたけどなかなか決まらなくて友達に聞かれても、
「名前はまだないの」
といつも答えていた。そのうち
「いつまで名前はまだない、なのよ」
「いっそマダナイちゃんって付けたら?」
と言われて、ついに犬の名前はマダナイになってしまったのだ。
 拾って来た日にとりあえずつけていた首輪代わりのヒモがきつくなってきたので、ある日父と新しい首輪を買いに行くことにした。
「この辺にはペット用品を売っているところがないから、久しぶりに隣のF町まで行ってみるか」
 父のこういうところは好きなのだ。遊び心があるというか、母なら近いところで買って早く帰って来なさいというところだ。
 F町に来たのは何年ぶりだろう。
「この靴屋さん、見覚えがある!」
そういえば小学生の時に誕生日のプレゼントを買ってもらった記憶がある。靴屋の二軒先に靴下やハンカチを売っている古い店があるのもなんとなく懐かしい。靴屋とハンカチ屋の間には暗い倉庫があった。いや、倉庫じゃない、小さいけれど店みたい。ひときわ古い看板の掛かった店だ。よく見るとこげ茶色の木の看板には毛筆で「鈴屋」と書いてある。そっと暗い店の中を覘いてみた。そして目を凝らしてみると、店の一番奥に白いひげを生やしたおじいさんがいた。ちょっと気味が悪いなぁ・・・。
「まおおいで。かわいい鈴がたくさんあるよ」
 ふと父の声で我に返った。よく見るとここはペット用品の店ではなかった。財布やペンケース、おしゃれな手鏡、煙草入れなど小物がたくさん並べてあって、そのどれにも共通して鈴が付いていた。大きさや音色はそれぞれ違うがどれもきれいにピカピカ光っている。
「わあ・・・この首輪、すごくかわいい。マダナイに似合いそう・・・。」  
 赤い革の首輪に黄色い大きな鈴が付いて、マダナイのイメージにぴったりだ。一目で気に入ったので父に見せると、やはり一目ぼれしたようで喜んで買ってくれた。ただ、首輪を持ってお金を払おうとしたとき、おじいさんの白い眉毛がぴくぴくしていたのが気になった。
 父と店を出ようとしたところで、
「お嬢ちゃん」
と呼び止められた。私は少しためらって、急いで戻る。おじいさんはひそひそと小声で話した。
「この首輪の鈴には不思議な力があるのだよ。飼い犬に着けてやるならそれなりの覚悟がいるぞ・・・」
「え?は、はい・・・」
「この鈴の首輪は特別なものでねぇ。もともと一つしかないんだよ。だからこれで終わり」
 私は半分冗談かなと思って、気には留めずに店を出た。それにしても変なおじいさんだったなあ・・・。
帰ってからマダナイに首輪をつけてあげると、思っていた通りよく似合った。しかし、その日から本当に不思議なことが起きていた。いくら教えてもお手もお座りも覚えなかったマダナイが、人間の言葉が解るかのように人の言うことをきいてくれるようになったのだ。ある日父が会社から持ち帰った大事なファイルが見つからないと皆で大騒ぎしていた時の事、マダナイが珍しく吠えて外に出たがっていた。私はマダナイの言いたいことが分かった気がして、リードを付けて外に行った。マダナイは一目散に公園に走っていった。リードに引っ張られて私も必死で走ってついて行くと、公園のベンチの後ろの茂みの中からマダナイがファイルをくわえて出てきたのだ。父はいつものように帰り道、公園を通る。疲れているとベンチで休憩する癖があって、この日は休憩しながら鞄からファイルを出して見てまたしまったはずが、ベンチの後ろに落としてしまったのだ。
マダナイが喋ったのは、家に帰ってからエサをあげようとした時だった。
「アァ、オナカガペコペコダヨ」
「え?今、何かきこえた・・・?マダナイがしゃべったのかな。そんなはずないよね・・・犬がしゃべるわけないもん。」
「ドウシテソウキメツケルノ?」
「え?ええっ!マダナイが・・・犬が喋ってる!?」 そばにいたゆうごの顔を見ても別に驚いた様子もない。私の耳がどうかしちゃったの・・?
「まお、何をごちゃごちゃ言ってるの。早くマダナイにエサあげちゃいなさい。お客さん待ってるから、お母さんはお店に戻るわよ」
美容師の母は急いで出かけてしまった。私はマダナイを連れて自分の部屋に入ってドアを閉めた。そしてもう一度そっとドアを開けて廊下を見た。誰もいない。マダナイの顔をじっと見つめる。マダナイの声は私にしか聞こえないのかな・・・。
「マダナイ、ごはん食べる?お腹空かない?」
「スイテルヨ、デキタライツモノカンヅメジャナイノガイイケドナァ・・・」
「そうか、お母さんはいつも一番安い缶詰しか買ってくれないもんね、飽きたんだね。」
「ねえちゃん、あたまおかしくなったの?何
を犬に話しかけてるの?」
「わ、ゆうご、いつ入ってきたのよ!」
「さっき廊下を歩いてたら、姉ちゃんがぶつぶつ言ってるのがきこえたから来たんだよ。」
「今、マダナイがいつもの缶詰に飽きたって」
「ハハハ、ワンワン、飽きたワン、てな。」
「ちょ、ちょっと・・・!」
ふと、あのおじいさんが言ったことが頭をよぎる。あれは本当だったんだ。弟に言っちゃおうか・・・。いやいや、きっとバカにされるに決まってる。
「イイジャナイカ、ボクトマオチャンダケノ、ヒ・ミ・ツ」
 それからというもの、私は毎日のようにマダナイと内緒の話を楽しんでいた。
 夏休みに入って一週間くらい経った頃、    「明後日の火曜日ドライブに行こう!お父さん休み取ったから。母さんのお店も休みの日だろ」
 また父の突然の発言が始まった。
「もう、あなたったらいつも急に言い出すんだから。皆それぞれ都合ってものがあるのよ」
「いやあ、準備は俺がするから、母さんは車に乗ってゆっくりしてればいいんだからさ。     たまにはみんなでドライブ、行こうよ。ねっ」
結局、マダナイを連れて皆でドライブに行くことになった。始めは不満そうだった母も当日になったらけっこうウキウキしていた。
 うちの車は大きめの乗用車だけど、二時間も乗り続けていると足元が狭く感じるものだ。車に乗っているのも飽きてきたころ、
「ちょっと休憩するか」
 いいタイミングでコンビニの駐車場に寄ってくれた。トイレを借りて、コーラを買った。私とゆうごは駐車場前のベンチに腰掛けて、一気にコーラを飲み干した。そこでゆうごが爽快な声で、
「ぷはーっ。あぁくたびれた。お父さん、バーベキューする場所ってまだ遠いの?」
 父と母は少し離れたベンチで休んでいた。
「う、うん、まだ、いやもうすぐかな・・・」
「え、なに、もしかして道に迷ったとか」
「そ、そんなことはない!この道をまっすぐ行けばキャンプ場に着くはずだ」
「お客さん、キャンプ場に行くんですか?なら、この先のY字路を右に行ってから次の十字路を左ですよ」
 コンビニの制服を着たおばさんがカウンターの中から私たちの会話に入ってきた。
「あ、はい、分かると思います」
「前は看板があったんだけど、去年の台風で飛ばされちゃってねえ。それから直さないもんだから、時々間違えて入っちゃいけない道に行っちゃう人がいるんですよ」
「入っちゃいけない道、ですか・・・?」
「そうそう。怖いよー。私は入ったことがないから実際には見てないんだけどね」
「な、何ですか・・?」
「山の神様に祟られるんだって。入った人はみーんな大けがして帰ってくるらしいよ」
「えぇ・・・」
 それからしばらく走っていたが、絶対間違えるはずがないとか言っていた父が、案の定間違えてしまった。皆でああだこうだ言っているうちに道はどんどん細くなって、鳥居みたいなところに来てしまった。
「あ、これ、入っちゃいけない道って、このことじゃないの?鳥居を車でくぐるのはまずいんじゃない?」
「だって戻るにもUターンできないさ。もう少し広い道に出て切り返さないと」
 もう既に入っちゃいけない場所に来てる気がする。嫌な予感がするなぁ・・・。
「なんか道がずいぶん細くなってきたわね」
「これ以上進んだらもっと道が狭くなって切り返しもできなくなるんじゃないの?」
「暗くなってきた感じしない?もしかして、もう夕方?今何時?」
「ボク、怖いよー、おうち帰りたいよー。」
弟は半べそになっている。
「Uターンもできないんだから帰れるわけないでしょっ!」
車の中はなんだかギスギスした雰囲気になってきた。膝に抱えていたマダナイはどんな顔しているのかと思って覗き込んだ。
「どう思う?この道どこかに抜けられると思う?動物の勘で」
「アブナイ・・・キケンダヨ」
「え・・・危険なの?どうしたらいいの?」
また家族に変だと思われないようにマダナイの耳元に口を近づけて小声で言った。
「モウドウシヨウモナイヨ、コンナトコロマデキチャッタラ。タタカウシカナインジャナイカナア・・・」
「誰と戦うのよ、何なの!?」

続きは次回へ。


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があらつったどー

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2週間のキャンプから父さん無事帰ってきました。

相当黒くなって、痩せて。

一緒に行ったFさんが例の25kgのガーラの写真を撮ってくれて、メール添付で送ってくれたのでここにアップします。
ガーラ


父さん、昔のキャンプ仲間にあちこちメールで送ってご自慢です。思ったより大きい!
それからまたケイタイで昔の友人にこんなめえる。ひらがなですが、すっかり使いこなしてます。

「じゅうがつじゅうはちにちからきょうまでにしゅうかん゜くうらえきゃんぷにいってきました。にしゅうごきろのがあらをつりました。ちゃあたあせんからばいきしがよくみえ、むかしふたりでのぼったことをおもいだし、めえるしたくなりました。」

漢字仮名混じりに変換すると、

「10月18日から今日まで2週間、クーラへキャンプに行って来ました。25kgのガーラを釣りました。チャーター船からパイキシがよく見え、昔二人で登った事を思い出し、メールしたくなりました。」

クーラというのはキャンプした海岸の地名。パイキシはその近くの山の名前です。


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