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カウボーイのお引越し その27

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カウボーイの引越し 26から続く

今住んでいる所がいくら名目上は「農業倉庫」だと言っても、いつまでもベニヤ板の山によじ登って食事や睡眠というのもそう長く続けられません。

新居なのに。快適とは言えないでしょう。

壁際の荷物をあっちにやったり、こっちにやったり、昼間子どもたちが学校に行っている間に寝床のコンパネの山に段ボールを載せたり、と工夫しながら棚作りを開始しました。

鉄筋で枠を作って壁にコンクリートボルトという丈夫な釘を打ち込んで取り付けます。

それに合う大きさにベニヤ板を切ってはめ込みます。

人間が乗っても大丈夫。それくらいの重さに耐えられなければ安心してどんどん荷物を乗せられません。

どの部屋のどの壁にも次々と棚を作って行きます。

棚ができたら順に荷物の段ボールを載せていきます。

だんだん荷物が片付いて床が見えてきます。

それに比例して、高さ2m以上あったコンパネの山も棚の材料に使われて見る見る低くなっていきました。

そして全部の部屋の壁という壁に作れるだけ棚を作って、ついにコンパネの山はなくなり、家の中をカニ歩きでなく自由に通れるようになりました。

やっと普通の家と同じ状態になったわけです。

言うのは簡単ですが、棚作りだけでも実は数ヶ月かかっていました。

5月に建築を始め、それと平行して荷物まとめ、(引越しの準備です。)

6月に建築完了。

7月8月と引越し作業。
9月初めに引越し完了。

そして壁に棚を作って荷物が片付け始めた頃には冬になっていました。


子供たちの部屋というか勉強コーナーもなんとかまとまりました。

中学生の鉄兵のコーナーには丈夫な鉄の枠組みで二段ベッドを作ってやりました。

日本茶と落語が好きと言う中学生にしてはオジン臭い趣味の彼のために、ベッドの上の段には畳を入れて和室っぽく。

下の段はベニヤ板を敷いて荷物置き場。

きりんのコーナーは、何年か前に引っ越して行った友人からもらった二段ベッドを置いて、女の子の部屋らしくなりました。

くるみのコーナーはお兄ちゃんと隣り合って、境の壁はありませんが、仲良くやれているようです。

くるみのコーナーは二段ベッドを置く広さはないですが、寝るときだけきりんの二段ベッドに移動することで解決。


荷物はほとんど壁の高い所につけた棚の上に上げてしまったので家の中はだいぶ広く使えるようになりました。

これでどうにかお客さんが来ても座ってもらえるスペースができました。

お客さんも呼べます。
ところが、引っ越した当時、荷物に埋もれていた頃には次々と人が見物に来ていたのに、部屋が片付くとあまり来なくなってしまいました。

珍しくないからでしょうか。


不完全だった備品もそろえていきました。

台所の流し台、ガス台(ガスレンジを置く台)は、ガス器具店で廃品にする物をもらって来て据付ました。

廃品と言っても十分使えるきれいな物です。

おそらくは、リフォームでシステムキッチンにするのに下取りしてもらったのでしょう。

しっかりダブルシンクです。

脱衣所の洗面台も、顔を洗って歯を磨くだけでなく、バケツに水を汲む、絵の具のパレットを洗う、洗濯物のつまみ洗いもする、などができるように台所のような大きな流し台を置くのが便利と思っていました。

それで今までそういう流し台が手に入るまでは小さな洗面ボウルを取り付けるのはしないでおいたのです。

水道の蛇口は付けてありますから水は出ます。

蛇口の下にはバケツを置いてそれが一杯になったら外に捨てるという方法で、流し台が手に入るまで数ヶ月排水無しで乗り切りました。

洗面台が広いのは毛糸物や汚れた靴下の手洗いもできて便利です。

せっかく広くなった室内ですが、これが一年も経たないうちにまた荷物が増えて室内が狭くなっていくのです。

家具を買ったというわけではありません。

父さんがいろんな物を機会あるごとに拾ってくるのです。

かく言う私もそれに近いものがあります。

「よしなさいよ、そんな物拾って来るの!」

と言う人がいないと物はどんどん増えていきます。

通路が狭くなり、人のすれ違いもしにくくなり、またまたドンキホーテ状態、と言うか、元の倉庫になりつつあります。

そのうち寝る所がなくなってきたら、また外でキャンプ生活?



→カウボーイのお引越し その28 につづく

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カウボーイのお引越し その26

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またまたまたお久しぶりです。

カウボーイの引越しも何ヶ月ぶりです。

本当に長い時間のかかる引越しになってしまいました。


カウボーイの引越し 25からつづく

ここからは本当に細い農道です。

車のすれちがいはできませんが、通る車もめったにありません。

どうにか新居が見えてきました。

日は山の陰に入ってもう涼しくなっています。

住宅のすぐ下の畑にボートを下ろして移動完了。

朝出発してからここまで4kmの道のりを1艘のボート運搬が一日がかりの仕事でした。

「疲れたー」

「ああ、これですべて終わったねえ」

「長い道のりでした」

今日の4㎞の移動もそうですが、去年家を建てようと決まってから役所に通って許可をもらう所から始まり、建築、荷物運び、どれもほとんど業者に頼まず自分たちでやって来ましたから達成感もひとしおです。

「まだもう一つしなきゃならないことがあるよ」

「そうでした。もう一往復」

朝牧場の入り口に置いて来たうちの乗用車を取りに行くのです。

今度は鉄兵丸で行く必要はありません。

もっと速い乗り物がもう1台あったのです。

バイクです。

バイクに二人乗りで牧場に向かい、一人は乗用車を運転して帰る、というわけです。

乗用車が帰ってこれで本当に引越し完了、いやいや長くかかった引越しでした。

建物の建築に1ヵ月半、引越しに2ヵ月半。


「もう牧場に行く用はなくなったんだね」

ラクになったような、さびしいような。

とにかく荷物の移動は終了。

翌日近くにできたパスタ屋さんに家族五人で食事に行って引っ越し祝。

お疲れ様でした。


でもでも実は、家の中は未完成だったのです。

壁のブロックむき出しというのは初めから予定していたことですが、何と言っても室内は荷物でいっぱい。

床がほとんど見えていません。

荷物の隙間をすり抜けて移動。

トイレの前はドアが開くだけのスペースはあります。

台所もガス台と流しの前は人が立って料理するだけの空間はあります。

それ以外は荷物と建築で使ったコンパネと呼ばれる厚手のベニヤ板の大きな山が3つ。


「この荷物どうやって片付けるの?」

「うん」

この家には押入れとかクローゼットというものはありません。

最初から図面になかったのです。

農業用倉庫ですから。

引越しが済んでも相変わらず家族はコンパネの山の上でご飯を食べて寝ています。

コンパネの山の数は人数分はありません。

鉄兵は長椅子の上で、父さんは荷物の隙間にみかんコンテナを置いてその上に、あるいは天気のよい日は外で寝ています。

子供たちの机と椅子の上には荷物を積んでいませんから勉強はできます。

シャワーも入れます。

食べる場所と寝る場所、勉強する場所があるのですから一応は衣食足りているということにはなりますが。

でもねえ、いつまでも荷物の隙間をカニの横ばいのように移動する生活というのも落ち着かないものです。


引越しが済むと近所の人が様子を見に来てくれました。

「どう、少しは片付いた?手伝おうか」

と言って家の中を見た途端目を丸くします。

「な、な、何、この荷物」

「すごいでしょ」

「一体どうやって寝てるの?」

「このコンパネの山の上で。私はこの山、お父さんがこの隙間で、子どもたちはこの山とこの山と・・・」

「ご飯はどこで食べるの」

「このコンパネの山の上に持って上がってさ」

「・・・・・かわいそー」

それから我が家の荷物で埋まっているという話は、村中に口コミで電話連絡よりも速く広がっていきました。

何人もの人が用事で来たときに家の中を見て

「ホントだ、すごい荷物だね。よく今までこんなにたくさんの荷物をしまって置く場所があったね。まあ、がんばって片付けてください」

物の多さに呆れ、感心して帰って行きます。

「あれ、今の人の用事は何だったんだ?」

引越しが済んで荷物がおおかた片付く頃には、普通は引っ越し祝というか新築祝、新居の完成披露をする習慣なのですが。


できません。


「この荷物を載せる棚を作るさ」

天井を高く設計したので室内の上の方には余裕があります。

ここに鉄の丈夫な枠組みをコンクリートの壁に取り付けて、そこにベニヤ板で棚を作って荷物を載せればどんどん片付いて床が見えて来るはずです。

「材料はこれだ」

食卓兼寝床になっているベニヤ板の山。

しかしですよ、棚を設置するためには壁にしっかりと鉄の枠を取り付けなければいけません。

そのために壁際の荷物をどけないと・・・。

荷物の移動先の場所である棚はこれから作る。

そのために荷物が邪魔・・・。

というパラドックス。

なんかいつもこういうことで悩んでいる気がしますね。


カウボーイのお引越し その27 につづく

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