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カウボーイのお引越し その24

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カウボーイのお引越し その23からつづく


「ウーーウ、ウーーウ」

低いエンジン音を響かせて鉄兵丸は進みます。

前方バケットは高く持ち上げられてその先端にはロープでボートの船首が結び付けられています。

宙吊りになったボートの船尾の方は父さんの乗るトラクターのバケットに結び付けられています。

こちらもロープは短めです。

そうしないと船底が道路をこすってしまいます。

先頭は後ろ向きのトラクター、次が宙吊りのボート、最後がぎこちないミニパワーショベル。

3台が繋がってゆっくり進みます。

何十mも行かないうちに船首が鉄兵丸にぶつかりそうになりました。

牧場を出てすぐの所が上り坂なのです。

おまけにカーブしています。

ロープでぶら下がったボートがゆらゆら揺れて、後ろの鉄兵丸に当りそうです。

「わ、わ、近づき過ぎじゃないの」

慌ててスピードを落とします。

パワーショベルにはブレーキというのがありません。

その代わり押し続けているアクセルレバーを放せばただちに止まります。

レバーの押し加減でスピードを調節するのです。

ちょっとだけスピードを緩めて間隔を取るつもりが、慣れないもんだからゆっくり過ぎてほとんど止まってしまいました。

トラクターは今までと同じように進んでいましたから、当然ロープはピンと張られてついには切れてしまいます。

次の瞬間ボートはアスファルトの道路上に勢いよく落ちます。

「ゴットーン!」

「わ、ロープが切れた」

一度バケットのアームを下げて結び直して、またアームをできるだけ高く揚げてすぐまた出発。

「ボート、大丈夫だったかな」

水に浮くようにグラスファイバーという軽い材質でできているとは言え、全体の重量は相当なものです。

車一台よりはずっと重いです。

高さは1mもなかったでしょうが、重さで落ちた時の音はすごかったので、船体にひびでも入ったのではないかと心配になります。

平坦な直線道路に来ると一定のスピードで走れるので一安心です。

調子が出てくると、時間短縮のためちょっとだけスピードアップ。アクセルレバーの調節の他にもう一つスピードを上げる方法があります。

右手のスイッチの所にボタンがあってそれを押すとギアが入ってガクンとスピードが上がります。

もう一度押すと元のゆっくりスピードに戻ります。

ギアはこのハイスピードとロースピードの2段階しかありません。

ボタンにはウサギのマークが付いています。

「ようし、ウサギになるぞー」

ウサギのスピードでやっとトラクターの下から2番目のギアと同じくらいでしょうか。

これでもまだ時速5kmにもなっていないでしょう。

調子に乗っていると途中で下り坂や上り坂に変わる度にボートとの間隔がずれて慌ててレバーを引いたり押したり。

でロープが切れてまた「ゴットン!」です。何度切れてボートが落ちたことでしょう。

これでひびがたくさん入ったり穴が開いたりして、次に海で使うときにブクブク沈むことがないようにと祈るばかりです。

もう遭難はいやです。

牧場を出て2㎞ほど過ぎ、隣の牧場の横を通る頃でした。

このあたりは急な下り坂になってそしてきついカーブになっています。

吊り下げられたボートはゆらんゆらんと大きく揺れて来ました。

(なんか嫌な予感・・・)

案の定、先頭のトラクターがボートの動きにつられて左右に揺れました。

それも大きく。

ガガガガ・・・

「キャア、危ない!傾いてる」

トラクターは30度くらい斜めに傾いて片側の大きなタイヤが浮き上がっています。

「わあ、倒れるう!!」

シートベルトもなく座席がむき出しのトラクターが横転したら運転手はどうなるか、想像がつきます。

目の前でそんな残酷なシーンを見たくありません。

「ああ、もうダメだ。バカバカ、お父のバカ。なんでこんなことに。なんで生命保険に入っておかなかったんだ」

傾いて倒れ掛かるトラクターを見ながらわずかの時間でそんな事が頭の中を駆け巡りました。


カウボーイのお引越し その25 につづく

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野宿でも扇風機

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ぶんぶんぶん からつづく

「屋上で野宿する」の3度目です。

昨夜は風はまあまあ、蚊は少しはいましたが寝られないほどではありません。

子どもたちは手足に虫除けスプレーをして蚊の襲撃に備えました。

朝日除け、風除けのコンテナは今日ははずして風通しよくしました。

さらにもっと風を当てて蚊を追い出そうと、下の部屋から扇風機を持って来てやりました。

みんなの枕元に扇風機を置いて首振りで風を送り、「ああ、涼しい」

これで気持ちよく眠りに付けました。

と、夜中に顔に、ポツ、ポツ、ポツ・・・。

「ん?あ、雨!」

どうも蒸し蒸しする空気だと思ったら雨が降ってきました。

あああ、天気予報では降水確率10%だったのに・・・・。

私たちが寝ていたところの上は、昼の日射し除けにダンボールで仮の屋根を作ってあったのです。

ただ広げたダンボールを棒の上に載せただけですから恒久的な物ではなく今だけ使うように置いたのです。

多少の小雨ならいいですがザーザー降る雨だと役に立ちません。

でも今のポツポツ雨くらいだと熟睡している子たちは気づかず目が覚めません。

「あ、雨?やだあ」

屋根のない場所に寝ていたきりんはいち早く雨のしずくを感じて起き上がりました。

「わーん、荷物がー」

昨夜寝る前にみんなで夏休みの宿題をして勉強道具がそのまま出しっぱなしでした。

きりんの羽毛布団も表面が濡れています。

「早くこのブルーシートの下へ」

こういう時のために大きなブルーシートをそばに用意してありました。

「起きなさい、雨だよ、雨!」

大降りはしないでしょうし、すぐ止む雨かも知れません。

でもこの地方は天気予報で晴れと言われていても部分的に、ごく狭い地域でスコールが短時間来ることも多いのです。

毛布も枕も羽毛布団もみんなグシャグシャとまとめて、広げたブルーシートの下に入れます。

ついでに勉強の時に使った蛍光灯も取り外してブルーシートの下へ。

蛍光灯の安定器は水がかかってはよろしくないので濡れないところへ移動するわけです。

子どもたちは起こされて、寝ぼけ眼で階段を下りて3畳の部屋に行きました。

すぐ止むかも知れませんが短時間どしゃ降りにならないとも限りません。

そんな雨の中をずぶ濡れで避難するのもいやです。

ただ一人寝不足が続いていた男の子(小5)はダンボールの屋根の下で熟睡中。

「起きないなあ、もっと降ってきてから起こすか」

と、そのうちポツポツ雨が止んでしまいました。

「あらら、止んだ。もう降らないかしら」

空を見るとさっきの雨雲は遠くに行ってしまいました。

せっかく階下に枕を持って移動した子たちには気の毒だけど、止んだのならまたここで朝まで寝てもいいか。

朝になっても曇り空なので朝日はまぶしくありませんでした。

相変わらず男の子はスヤスヤ眠っています。

清々しい朝の風の中でまどろんでいると、ポツ、ポツ、ポツ、ポツ・・・。

「わ、また来たー」

今度は少し強い雨です。

「雨だよ、そのまま下に降りなさい。みんなもう部屋に行ってるから」

男の子を行かせてから今まで寝ていたゴザをたたみ、ブルーシートの下へ突っ込んで、扇風機を持って私も下へ。

3畳の部屋を覗いて見ると、先に入った3人は脚を伸ばしてスヤスヤ。

今来た男の子が窓際で体育座りをしていました。

連日の寝不足。

屋上の快適な野宿を目指して、ただいま父さんが丈夫なトタン板の屋根を突貫工事で製作中です。

「ネズミ屋敷」につづく

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ぶんぶんぶん

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夜は寒い!?石垣島 からつづく

涼しい屋上で寝て、朝日が暑くて寝坊ができない、という話を書きました。

それで翌日また子どもたちお泊りの時には工夫しました。

テーブルをセッティングする時に早々と寝床の準備。

「え?もう寝る支度?まだ早いんじゃない?」

「今日は今のうちから朝の日除けを作っておくの」

テーブルは、簡単に組んでまたすぐ撤去できるように、牛乳用の小さなコンテナを重ねた上にベニヤ板を載せただけの物です。

コンテナはスーパーで要らなくなったのをたくさんもらって来てありました。

屋上の学習教室

寝る予定の場所の東側、つまり朝日が当たる方向にコンテナを3段積んで壁にします。

これで朝は日が昇ってもゆっくり朝寝できます。


「今日は風弱いねえ」

「強風ではないね」

「風が無いせいか、蚊が多いなあ」

「うん、さっきから何発も刺されてる」

そして夜遅く寝る頃。

風の強くない日は毛布をかぶらなくても寒くないのです。

暑くもなく、寒くもなく、そよ風でちょうどいい体感温度、よく眠れ・・・・・・・・・ない!


「カユイよー!」

ぶーん ぶーん ぶーん

蚊の大群。

毛布を着て首だけ出していますが、顔の周りを、ぶんぶんぶんぶんぶんぶん・・・。

耳の近くに蚊が飛ぶ音が ぷーん ぷーん ぷーん ぷーん。

「わあ、もう、ぶんぶんぶんぶんうるさいなあ」

「痒くて眠れない」

「毛布をかぶろう」

頭からすっぽりと毛布をかぶり、これで蚊にも刺されない。

でも毛布の上からでも聞こえます、ぶんぶんぶん、と頭の周りを飛ぶ音が。

夜も遅く、そのうちにみんな眠り始めたのか静かになりました。

と思ったらみんなゴソゴソ動いています。

「プハァーッ!苦しかった、暑くて我慢できない」

最初に顔を出して息継ぎしたのは、羽毛布団を着ていたきりんでした。

他の子たちも、息苦しかったり、暑くなったりで、毛布は剥いで体むき出しになってしまっています。

「アレ、これじゃまた蚊の襲撃に・・・」

室内よりは涼しいとは言っても、真夏に頭から毛布では、やはり無理があります。

・・・ポリポリポリ・・・・・

誰か刺された所が痒いのかしきりに掻く音がします。

ポリポリポリポリ・・・・ポーリポーリポーリ・・・・ボリボリボリボリ。

みんな眠りながら掻いています。

ポリポリ、ボリボリ、パチン、パチン・・・。

蚊を叩く音もします。

ゴトンッ

誰かが枕もとのコンテナの壁を無意識に押して崩したようです。

寝苦しいのか、ごろごろと寝返りを打っている子もいます。

私もさっきからぶんぶんぶんとちっとも眠れません。

「ああ、もう寝られない」

風の弱い日はこんなに蚊が多いとは。

「お母さん、その壁がいけないんじゃないの?」

ときりん。

そうかも。日除けの壁が風除けになって余計に無風地帯を作って蚊を呼んでいるのかも。

せっかく作った壁ですがまた一つ一つどけて風通しよくしました。

朝日が当たる頃にまた壁を作ってやればいいんだから。

少し風が通るようになりましたがやっぱりまだ蚊はぶんぶんぶん・・・。

子ども3人が寝ていたゴザより1段高い所、つまりコンテナ1個を敷き詰めた台の上にきりんが寝ていました。

「きりんの寝てるところの方が高い分、風があるかもよ」

コンテナ1個分、30cmもない高さですが、わずかでも風のある方へ子どもたち移動させました。

それでもまだポリポリ、ゴソゴソ。


広くなって壁も取り払われて風通しがよくなったはずのゴザの方もまだぶんぶんぶん。

「あああ、寝られん!!」

みんな起きてきてしまっています。

「仕方ない、部屋に移動しよう。枕だけ持って引越ししよう」

ぞろぞろと階段を降りて室内へ。

まだ夜明けまでには2時間近くありましたが、

満月を過ぎた月が真上から照らしています。

懐中電灯無しでもよく見えます。

家の一番西の部屋、3畳くらいの広さしかありませんがそのままなだれ込んで雑魚寝です。

扇風機つけてすやすやとやっと安眠できる状態になりました。

多少は暑いですが、ぶんぶんぶんよりはましなようです。

少し遅れて部屋に入ったきりんは、寝るスペースが残されていなかったので、部屋の隅で体育座りしてねていました。

貨物船の船倉で眠る密入国者のように見えなくもないですが。

結局、朝の日除け用のコンテナは役目を発揮する機会がありませんでした。

子どもたち、日が高くなってもエアコンのない室内でよく寝ていました。

次回には別の策を考えなければ。

野宿でも扇風機 につづく


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夜は寒い!?石垣島

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「石垣島は意外と暑くない」と以前書きましたが、夜など外の風の当たる場所などは本当に涼しいのです。

最近、知り合いの小学生のお孫さんたちがよく我が家に遊びに来ます。

夏休みの宿題を持って来て夜はお勉強です。

夜はうちの高校生と中学生が勉強を教えて・・・というか机を並べていっしょにお勉強タイムです。

室内は暑苦しいので屋上に上がってすることにしました。

箱とベニヤ板(得意ですね、ベニヤ板)を使って横長の勉強机を組み立てます。

下から延長コードを引っ張って電球を点けて、これで夜も外で勉強できます。

昨年から父さんが屋上に上がる階段を作ったのでいつでも自由に上がり降りできるようになりました。

屋上に続く階段


昨夜は夜の8時半、風が涼しくなる頃から子どもたち横1列になって静かにお勉強。

元々高台にある上、屋上の高さでは相当に強い風になります。

「わあ、ノートのページが・・・」

紙が飛ばされるくらいの風です。

扇風機なんて要りません。

勉強終わってジュース飲んでお菓子食べて、お泊りの準備はしてきましたから、さあ、寝ましょう、ここで・・・。

屋上にゴザを敷いて、タオルケットくらいでは足りません。

寒さ凌ぎに毛布を持ってきます。

「私は自分の羽毛布団がいい」

と寒がりのきりん。

涼しい風の中、というよりかなりの強風の中スヤスヤと。

と言っても一晩中吹く風。

寒くなっても窓を締めるとか扇風機を止めるとかそういう調節ができるわけでもありません。

寒かったら頭から布団をかぶる。

これしかないのです。

お泊りというより野宿ですね。

そして明け方、東に何もさえぎる物がない我が家は日の出とともに朝日が射し込みます。

これも部屋なら「眩しいよっ!」とカーテンを引くところですが、壁も何も無い屋上ですからどうしようもありません。

やはり頭から毛布をかぶって光をさえぎるしかありません。

せっかくの夏休みですからまだゆっくり寝ていたいと思うのですが、朝日が高くなるにつれて暑くて仕方ありません。

かぶっていた厚手の毛布も熱を伝えて暑くてたまりません。

「ああ、もうダメだ、暑い」

ぞろぞろと階段を降りてきました。

熱帯夜の避難場所は「屋上の野宿」(?)で安眠ですが、朝寝のことまでは考えていませんでした。

今夜は布団の東に日除けの壁を作ってから野宿することにします。

ぶんぶんぶん につづく


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カウボーイのお引越し その23

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カウボーイのお引越し その22からつづく

子どもたちが学校に行ったらすぐにボート運搬の準備です。

まず鉄兵丸を牧場に移動。

元々道路を走るようには作られていませんから、全速力でも人間が早歩きする程度にしかスピードは出ません。

4㎞の道のりも何十分かかかります。

父さんが鉄兵丸を運転して牧場に到着した頃を見計らって車で迎えに行きます。

自宅に戻って今度は近所から借りたトラクターの移動です。

トラクターは大きな四輪のタイヤですから鉄兵丸よりは速く走れます。

それでも乗用車ほどはスピードは出ません。

トラクターが着くころに合わせて私は乗用車で牧場に向かいます。

運搬には時間がかかることが予想されますからその心積もりで。

「途中で休憩入れるからね」

「そう思って飲み水と昼ご飯持ってきた」

昨夜の引越しの最後の一便よりさらに時間がかかるでしょう。

なにしろ鉄兵丸は人間が歩くよりゆっくりしか進めません。

「アンタが鉄兵丸の運転だよ」

「う、うーん・・・」

「これが左右のキャタピラーを動かすレバー。前に押せば前進、手前に引けば後退」

「うん」

「ミニユンボ(小さなパワーショベル)はブレーキがないから、止まりたい時はレバーから手を離せば自然に止まる」

「わかった」

「あとはこのレバー・・・」

座席の両側の肘掛に当たる所に、左右に一つずつレバーがあります。

レバーは前後左右に動かせます。

飛行機の操縦桿かテレビゲームのコントローラーみたいです。

「右のレバーは、前後に動かすとアームを上下させられる。左右に動かせばアームの先のバケットの角度を変える」

バケットを手首を曲げるようにしゃくって土を掘る時などに使います。

「左のレバーは、左右に動かすとアームの曲がりの角度を変える」

人間の腕で言うとひじの曲げ伸ばしですね。

「左のレバーを前後に動かすとアームが回転する」

アームは座席のある運転台にくっ付いていますから、アームを回転させるといっしょに運転台が回転します。

「やってみな」

「うん」

ガガガガガー・・・。

「わ、こわ!でもおもしろい。グルグル回るよー」

運転席は高くて見晴らしがいいしレバー一つで大きな乗り物を自由に動かせるというのは気分がいいものです。

「マジンガーZを操縦している気分だわ、ハハハハハー」

「こら、遊ぶなー」

遊園地の乗り物よりおもしろいです。

「前進と後退のレバー以外は今日は要らないと思うけど」

トラクターと鉄兵丸のバケットの先にボートの先端をロープで結びつけて吊り上げます。

「オレが前を行くから感覚を保って後ろから来てくれよ」

「え、私が後ろ?難しいな」

スピードを調節して行かなければなりません。

間隔を詰め過ぎるとボートに追突するか、ロープが緩んでボートが地面に着いてしまいます。

スピードが遅すぎると前を行くトラクターと間隔が空いて、ロープが張り過ぎて最悪の場合ロープが切れてしまいます。

前の車と常に一定の距離を保って進まなければいけないということです。

「後ろから行くのは大変だな」

「じゃあ、前を行くか?それでもいいけど、その場合はバックで進むんだぞ」

バケットはボートの方を向いているわけですから前を行く人は後ろ向きで進むことになるということです。

それはもっと大変だ。

「じゃあ、後ろから行くのでいい」

ちょっと練習しておこう。

「レバーはこっちに押すとアームが伸びて・・・」

覚えたての操縦ですからどうもぎこちない動きです。

なれた人は自分の手足のように滑らかに動いて重い物をバケットで持ち上げたり地面に穴を掘ったりしています。

私の場合は、ギーガシャン、ギーガシャン、とロボコップより動きが固い。

マジンガーZの動きになるまでには程遠いようです。

今日はとにかく一本道を通ってボートを運搬すればいいのです。

「じゃあ、行くぞ」

「OK!」

時速2㎞くらいで出発します。

ノンストップで進んでも2時間はかかります。

無事に着けるでしょうか?



カウボーイのお引越し その24 につづく

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カウボーイのお引越し その22

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カウボーイのお引越し その21からつづく

乗用車は前のトラックに近づき過ぎると、もし鉄兵が落ちてきた時に轢いてしまいます。

そうかと言って、あまり離れると荷物が落ちた時に知らせても聞こえません。

後ろからヘッドライトで照らされた鉄兵の姿は、荷物を抑えるというよりスパイダーマンのように両手両足を広げて必死でしがみついているようでした。

「荷物より鉄兵が落ちるなよー」

トラックの荷台には曲芸のようにこれでもかというくらい大量の荷物を載せてありました。

高く積み上げた荷物の山は芸術的でさえありました。

「まだ着かないの?こんなに遠かったっけ?」

「スピード出せないのよ。トラック山積みだから」

「ずいぶんゆっくり走るんだね」

トラックは振動を与えないようにいつにも増してゆっくりと走っていきます。

「あの時の芸術的満載の写真を撮っておかなかったのが残念だ!」

あとで思い返して父さんはそう言うのですが、写真撮影など思いついたとしてもあの時カメラを出す余裕も撮る時間もありませんでした。

いつもなら五分ほどで行ける4㎞の道のりを、渋滞でもないのにトラックはのろのろと十五分以上かかって到着したのでした。

そして夜遅くに新居に無事到着。

「みんな大丈夫だったかあ?」

本当に夜逃げみたいです。

正当な手段で堂々と引越ししたというだけなのに。

このトラックは近所の農家の人が貸してくれたものです。

翌朝農家が使うからというので、その夜のうちに返す約束になっていました。

とにかく急いで荷物を下ろし、室内に積み上げ、トラックを返してくるともう夜中近くになっていました。

みんなクタクタで、有り合わせの物で食事をして寝るだけでした。

「ワーイ、新しいおうちだ!」

「今日からこの新しいお家に住むんだね」

・・・などという、新居での喜びの言葉もなく・・・。

そりゃそうです、もう何日も前から荷物の隙間で寝泊りしていましたから。

新しい家に来たという新鮮さはありません。

でももう明日から牧場に荷物運びに通わなくてもいいのです。

長い長い引越し作業からやっと開放されたのです。

「明日は仕事だからオレ帰るわ」

「ありがとうね、本当に助かったわ」

今日もいつにも増して大活躍だった弟クンも夜遅くなりましたが帰って行きました。

「あんたたちも明日学校だからね、もう寝ようね」

いつものように、2mの高さのベニヤ板の自分の山に各自よじ登って行って眠りにつきました。

翌朝子どもたちはいつものように徒歩で登校して行きます。

もう「早く帰って引越しの手伝いしてくれよ」と言う必要はないのです。

でも、子どもたちが出かけた後、私たちはのんびりしているわけにはいきません。

引越しは終わりましたが、まだ牧場に取りに行く物が残っていました。

昨日は時間切れで運べなかった、例のレジャーボートです。

これを二人で今日中に運ばなければならないのです。

トラックの荷台には載り切れませんから、近所から借りたトラクターとミニパワーショベルの鉄兵丸を使います。

長い船体の前後の端をトラクターと鉄兵丸のアームに結び付けて吊り上げて宙に浮かせて運ぶという計画です。

船を載せて運べる台車があれば簡単なのでしょうが、持っている人を探して借りに行くより手近な方法で運ぶことにしました。

少なくとも鉄兵丸は自家用車(?)ですから天下御免で使用できます。

「鉄兵丸の運転はアンタだよ」

「え?!わたし?」

「そうだろ、オレはトラクター運転するんだから」

ボートの前後でどうしても運転手が二人は必要です。

父さんは何年も前に大型車と大型特殊の運転免許を取っていました。

私は普通免許のみです。

これで小型とはいえ、パワーショベルを運転していいんでしょうか?

無免許運転にならないんでしょうか?

いや、もともと鉄兵丸は公道を走る乗り物ではありません。

工事用、作業用の機械です。

キャタピラーが付いて移動できるようにはなっていますが、長い距離を走る時は、トラックなどの荷台に載せて移動することになっています。

鉄兵丸を操縦してボートを吊った状態で4㎞も走って、いいんでしょうか、私で?

天下御免とは言えないような気がしてきました。


→カウボーイのお引越し その23 につづく

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