私の黒いランドセル その5

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→私の黒いランドセル その4から つづく
鉄兵が高学年、きりんが低学年になると、授業が終わる時刻が大きくちがいます。
おまけに四年生以上になるとクラブ活動というのがあって、さらに遅くなります。
きりんを迎えに行って帰宅して2時間もするとまた今度は鉄兵の迎えです。
牧場の仕事もあるのでその合間を縫っての往復です。
きりんを迎えて帰ったと思ったら電話が鳴ります。
「もしもし、お母さん?」
「あ、てっぺいなの?」
学校の電話を借りてかけてきているようです。
「今日は部活がないから今迎えに来て」
ひぇー、今帰ったばかりなのに・・・。
そうかと思うと、
「きりん、迎えに来たわよ」
「あ、お母さん、今日は居残りの作業があるから、あと1時間たってから迎えに来て」
「え?」
一度帰るか、学校の前で待つか微妙なところです。
家まで往復で8㎞あります。
30分くらいならそのまま待ちます。
帰ってもまたすぐ出て来ることになるからです。
1時間半なら一度帰ります。
少しですが家事など仕事ができるからです。
その中間というと迷うところです。
(帰っても洗濯物を取り込んだらもう行く時間になっちゃうし、校門の前で1時間待っていてもすることがないし、時間がもったいない・・・)
そして、鉄兵六年生、きりん三年生になると、くるみが幼稚園入園です。
朝はくるみ念願のきょうだいそろっての登校です。
ここの幼稚園ではいつもは11時にお迎えです。
行ったと思ったらもうお帰りです。
お弁当は週一回だけ。
その時は午後1時のお迎え。
というわけで、11時にくるみの迎え、4時過ぎにきりんの迎え、6時に鉄兵の迎え、それと朝の送りと、毎日四回学校を往復することになりました。
忘れ物を届ける時にはそれ以上です。
歩いて往復2時間かけて取りに帰っては授業が終わってしまいます。
一日の半分くらい送り迎えをしている気がします。
他の子たちは歩いて通学しています。
どうしても牧場の仕事で手が放せない時は、迎えに行くまで学校近くの子の家で待たせてもらうこともあります。
後で迎えに行くと近所の子たちが集まって仲良く宿題をしています。
「ああ、学校が近いと送り迎えしなくて済むんだけどなあ」
とぼやいたりしましたが・・・。
(数年後にはそれが現実のこととなるのです。)
牧場の経営が苦しくなってきて規模を縮小していって、ついには閉鎖されることになるからです。
そのお話はいずれ後で詳しく載せましょう。
鉄兵の中学入学とくるみの小学校入学が重なります。
入学式は小中同時に行なわれます。
「くるみのランドセルはお兄ちゃんのをもらって使わせよう」
きりんの時は赤いのを買ってやりました。
まだ鉄兵が四年生でランドセルを使っていたからです。
4万円ではなく普通の値段のでしたが。
「ねえ、おにいちゃんのランドセル4万円だったんでしょ。わたしのランドセル、いくらだった?」
と、年のわりにオマセなきりんに尋ねられて答えにくかったです。
「なあ、くるみ、ランドセルはおにいちゃんの黒いのでもいいだろ」
「え?う、うん。いいけど・・・」
服も靴もいつもお下がりが多かった末っ子のくるみ、ちょっとかわいそう。
しかも女の子なのに黒のランドセル。
「黒いのはイヤかなあ」
「・・・・・・・」
「あのね、都会のお勉強のできる子たちの行く学校は女の子も全員が黒いランドセルなんだよ」
いわゆるお嬢様学校と言われる女子大学の付属小学校は黒いランドセルが多いですよね。
「本当?」
「そうだよ、それにお兄ちゃんのランドセル使ったら、お兄ちゃんみたいに頭よくなるかもよ」
たしかに鉄兵は国語や算数の勉強がよくできました。
一人ぼっちで過ごした幼児のころ文字のジグソーパズルやカードで遊ぶ毎日だったからでしょうか。
自然と2歳のうちにカタカナ、ひらがなが読めるようになって、そんなことにばかり興味があったからかも知れません。
将来はどうなるかわかりませんけど。
「じゃあ、黒いのでもいいよ」
「お母さんもねえ、小学校に入学した時、ランドセルは赤じゃなかったんだ」
「へえ」
「茶色だったの」
東京に住んでいたころです。
六歳のときに親に連れられて買いに行って、どれがいいかと聞かれて、選んだのが茶色のランドセルだったのです。
ただその時は女の子が赤いのを持つのが一般的だということを知らなかっただけのことです。
入学後に女の子がほとんど赤で自分の茶色が目立っていることに初めて気付いた世間知らずの子どもだったのです。
もう一人黒いランドセルを持っていた同級生の子がいましたが、彼女は卒業してから「お茶の○女子大学付属中学」へ進学したのでした。
→私の黒いランドセル その6につづく
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