キャンプの後遺症 その1

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→遭難アドベンチャー その7からつづく
「だいじょうぶか?」
「ううん、大丈夫じゃない・・・」
普段なら風邪を引いても一日寝たら翌日はもう元気になっている私ですが、今回は重症です。
高熱の他にはげしい下痢と嘔吐。
何を食べても水を飲んでも吐いてしまいます。
トイレと寝室の往復です。
「明日あたり病院に行った方が・・・」
「ウウウ・・・きもちわるいー!」
「どうした?」
タタタタタ・・・バタン!・・・
「アレ、またトイレ?」
「・・・・・・・」
ザーッ(水を流す音です)
「ああ、もうダメ・・」
「布団で寝てるよりトイレにいる時間の方が長いんじゃない?」
「トイレで横になりたいくらい」
「辛そうだな」
「ただの風邪じゃない・・・」
「ウウウウウウウウ、お腹が・・・、どいてっ!・・・も、もれるー」
ダダダダダ・・・・・バタン!
「重症・・・」
ザーッ
「ふうっ、もうフラフラ・・・」
トイレと寝室を往復して、というよりほとんどトイレにいて朝になりました。
(病院に行かなければ、こりゃ、死ぬな)
病院に行くといっても、このころは我が家のマイカーが壊れていて使えませんでした。
街に行くときは牧場のトラックを借りたり、牛のエサを買いに行くときに乗せてもらったりしていました。
今日は仕事でトラックを使うので借りることができません。
10m離れた従業員宿舎にヨタヨタとたどり着きました。
「や、野鳥さん、ジープ・・・貸して・・・くれませんか?・・・病院・・に行きたいんです」
「いいですけど、顔色悪いですね、だいじょうぶ?」
「はあ、今・・したく・・・して・・きま・・す・・・」
部屋に戻ると足がもつれてうまく歩けません。
上がり口でサンダルを脱ぐと床に手を付いてしまいました。
「ううう、ほ、ほ・・け・・ん・・しょう・・・と・・お・・さ・・い・・ふ・・」
3m先の引き出しまで四つん這いで行きました。
もう運転できる状態ではありません。
「オレはどうしても牛の仕事で抜けられないんだ」
結局、野鳥さんが運転して、アキちゃんもついて来てもらうことになりました。
診察室に付き添いが入る必要があったら女性がいた方がいいだろうということで。
座席でほとんど横になった状態で病院に着く間も頭がガンガン痛いのです。
診察の順番なんて待っていられません。
「救急でお願いします」
救急室に入るとそのまま点滴になりました。
診察はせいぜい15分くらいと思っていた野鳥さんとアキちゃんは、いつまで待っても私が出てこないので不安になっているでしょう。
でも、その私も起き上がることも、野鳥さんたちに声をかけることもできません。
点滴と言えばふつうは、
「・・・ポッタン・・・・・ポッタン・・・・・・ポッタン・・・」
と鍾乳洞の水滴のように、恐ろしく間のびして時間がかかるものだと思っていました。
ところがこの日の私の点滴は、全開、つまり、
「ポタポタポタポタポタ・・・」
すごい速さ。
どんどん生理的食塩水が身体に入っていきます。
それだけ脱水がひどかったのです。
あっと言う間に一本終わり、点滴のパックが新しい物に交換されます。
点滴の2度目のお代わりをしている時、アキちゃんが見に来てくれました。
「どうだったんですか?」
「悪いね遅くなって」
「こちらの患者さん緊急入院になります。ご家族の方ですか?」
「い、いえ」
「アキちゃん、ごめん、牧場に電話して、父さんに〝入院の準備持ってて来て〟と言ってくれない?」
入院の病室まで点滴したまま車椅子に乗せてもらって移動です。
野鳥さんとアキちゃんに帰ってもらい、交替に父さんが来ました。
「せ、先生、・・」
「だいぶ脱水がひどかったので急いで点滴をしました」
「そうだったんですか」
「始めの2リットルは全開でしたよ。通常こんなにスピードで点滴すると心不全を起こしちゃうんですけどね」
(へえ、初めて知ったわ)
今まで病気の牛に点滴をするとき、ゆっくり落とすと時間がかかるという理由で1本の点滴を5分間くらいで済ませたことがあったのです。
超スピードで点滴された牛は、気持ちがいいのか悪いのか、貧血気味な顔になってボーッとしていました。
「なあに、牛は身体が大きいから大丈夫だよ。体重が500㎏もあるんだから」
と言われてそうかな、と思っていましたが、今考えるとかわいそうだったかな、とも思います。
私の方は、ハイスピード点滴は終わって通常のペースではありますが、まだ点滴は続きます。
食事が全く取れないのですから仕方ありません。
「先生、何の病気ですか?」
「病名はですね・・・」
「はい」
「わかりません」
「はあ?」
「原因不明です」
「えええ!」
→キャンプの後遺症 その2につづく
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