遭難アドベンチャー その1

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おすすめは、 「アイ ハブ ア ハブ」
→ひ弱な野生児 その10からつづく
お昼寝がいやで鉄兵は保育所をやめてしまいました。
また牧場で一人で遊ぶ毎日です。
妹のきりんは外で遊ぶのが好きなのでよく海に二人を連れて行って遊ばせました。
牧場から歩いて五分、誰もいない珊瑚礁の白い砂浜は子どもが遊ぶのにはもってこいの場所です。
遠浅で波も静かなので小さい子でも安心です。
「毎日海で遊びたーい」
そうでしょう、海岸では、泳がなくても砂浜で遊ぶだけでも気分が晴れます。
室内ではすぐきょうだい喧嘩が始まるのに、海に来るとどうしてこんなに和やかに何時間も遊べるのでしょう。
毎日、一日中海で過ごしたいと言えば、そうです、海岸のキャンプです。
「今年はウフバマにキャンプに行くぞ」
またキャンプ好きの仲間が集まって、今度は西表の無人の海岸でのキャンプです。
「鉄兵もきりんも連れて行ってやりたいな。いっしょに行こう」
「ウフバマへ?」
「そう、ウフバマの海岸」
「む、無理よ」
西表島の南海岸でウフバマというところがあります。
漢字で書くと「大浜」となるようです。
道路がありません。
もちろん電気もなく近くに人は住んでいません。
「大浜」というだけあって何㎞にもわたってきれいな白い砂浜が続きます。
ここへ行くには、港から手前の海岸道路の終点まで車で行って、そこからは約5㎞のごつごつした大岩の上、道なき道を何時間も歩いて行きます。
そうでなければ大潮の干潮の時に潮が引いた一時間くらいの間に海の中に現れる珊瑚礁の道を急いで歩いて渉るしかありません。
月に二回の満月と新月の大潮の時は干満の差がはげしいので、干潮時には珊瑚礁の「リーフ」と呼ばれる地面の盛り上がりが海面に露出して、海上に歩ける道が出現します。
この道なら歩きやすく荷物を持っても楽に通れます。
でも干潮の間に通り終わらないと潮が満ちてきて道は海中に没します。
どちらにしてもまだつかまり立ちが出来る程度のきりんと4歳の鉄兵の歩ける行程ではありません。
「船で行くんだよ」
「チャーター?」
西表の港から小さいエンジンつきボートを頼んで川を登ってキャンプに行ったことは何回もありました。
ウフバマ海岸にでもお金を払えば送ってくれます。
「いや、金がかかるだろ、うちのボートでだよ」
これより十年以上前ですが、中古のレジャーボートを買って牧場の近くの海でよく釣りをしたりして遊んだことがありました。
小型船舶の4級免許も持っていたカウボーイなのでした。
でも最近はあまり舟を使うことがありませんでした。
「西表まで行って大丈夫なの?」
「うん、さっそく来週はO橋君が遊びに来るだろ。
彼とオレとでまずは試運転だ」
O橋君というのは数年前に牧場に実習生で来た後輩です。
その後もここが気に入って毎年のように遊びに来ています。
4級小型船舶の免許では外洋に出てはいけないことになっています。
海岸から何㎞以上離れないという条件があります。
石垣から西表までは途中に竹富島、小浜島があります。
できるだけそれぞれの島の海岸から離れ過ぎないように気をつけて、島伝いに進んで行けば問題はないということです。
男二人なら何とかやっていけるでしょう。
O橋君たちを送り出して数時間後、港から出る高速船に比べるとずいぶんと時間がかかりますが、無事に西表島の海岸に着きました。
O橋君のケイタイから
「西表に着いたよー」
という声が聞けたのは感動でした。
二人がウフバマから無事に帰って来ました。
「いやあ、自家用の舟で行くのは快適だな、荷物もたくさん持って行かれるし。なにしろ電気も何もない無人島みたいな海岸で、冷たいビールが飲めるんだから。マイボート最高!」
石垣から自分の舟で行くというので、アイスボックスに氷の塊と缶ビールを入れて運んで行ったのです。
4~5日なら大きな氷の塊も溶けずにあります。
そりゃ楽しかったことでしょう。
「そうだ、来月は、和歌山のスーやんと、千葉の従妹のアーちゃんたちも来るんだ。」
「そうだったわね」
「みんなでオレの舟で行こう。楽しいぞー、ワッハッハッハ」
そうです、楽しそうです。
これがあの恐ろしい遭難キャンプになるとは誰が想像できたでしょう。
→遭難アドベンチャー その2 につづく
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