アイ ハブ ア ハブ その1
→大草原の小さな家 その9からつづく
さて、ついにカウボーイたちのキャンプ、今回はオオウナギ釣りキャンプの当日です。
早朝、隣の牧場(隣とは言え、約2km 離れています)のKさんが合流。
Kさんはこのキャンプから帰ったらすぐ東京に行く予定です。
以前から希望していた青年海外協力隊員募集に応募して、すでに一次試験に合格していて、東京での二次試験を受けるために上京するのです。
キャンプ参加者はKさん、テッちゃん、西浦君、野田君、三ツ井君、そして私たち夫婦、の7人になりました。
例によってトラックの荷台に実習生たちと荷物を積んで、
「交番だ、伏せろ…………………もう起きていいぞ」
のパターンのコースで港へ行きます。
西表行きの船に乗船すると、大きな荷物があるのでいつものようにデッキに。
荷物を運んでいるとカエルの入った袋がゴソゴソ動いているのを、観光客や島民の乗客がチラチラ見ているように思えたのは気のせいでしょうか。
西表では、以前幻の湖に行ったときと同じコース、マヤグスクの滝を登ります。
あれからウナギ釣りに付き合って何回も通っているので、もう今では私でもスイスイと登れます。
旱魃で水量が少ないこともあって、前回宙吊りになったゴルジュもあまり水が落ちてなくて、竪穴の中にも入れます。
滝の上の川を少し行くと、川のほとりが平らで広くなっている場所があります。
テントを張るにも、水を汲んで炊事するにも便利でいい場所です。ここを初日のキャンプ場にします。
荷物を下ろしてテントの準備。人数が多いのでテントは二張り。二張りくっつけて並べると場所が狭くなるので、もう一張りは対岸の川原。
ここにはちょうど中州があります。石伝いにぴょんぴょん渉り、対岸まで往復できて便利です。
テントが張れたら、私は炊事の準備、男たちはウナギ釣りの仕掛けをしに支流へ。
「大きいウナギを釣るぞー、フフフ」
これまでの経験から、流れの緩やかな深い淀みには大きなウナギが棲んでいることはわかっていました。
大きさにこだわらなければ必ず一匹は獲れます。
その予定で食糧は調味料とお米の他はわずかな行動食と初日の食事のおかずだけです。
二日目以降は獲れたウナギを食べる計画でした。
ここで大きいのが釣れなくても三日間キャンプする間には一匹は釣れるでしょう。
一日目の夕食は持って来た缶詰やソーセージなどのおかずで済ませて、二つのテントに分かれて寝に行きます。
食事した所に近い側のテントには、Kさん、テッちゃんと私たち。
対岸のテントには3人の若い実習生たち。
翌朝、起きてすぐウナギの仕掛けの見回りです。
「ワッ!かかってる!!大きいぞ」
初っ端からもう釣れてしまいました。
「これは今までの最高記録だ!ビール瓶より太いぞ―」
リーダー大喜び。
本当に大きい!
一匹で二十人分のおかずになります。
残り三日分のおかずの心配は必要なくなりました。
大きいウナギを釣るというキャンプの目的はもうこれでアッサリ達成してしまいました。
もし大きいのが釣れていなければ、その後場所を移動してまた釣れそうな所にキャンプするつもりでした。
早々と釣れてしまったのでキャンプ地を移す必要もないわけです。
「ようし、もうこのキャンプではウナギ釣りは終わりだ」
「あ、そうなの」
「今日は今からここで宴会だ」
「え?もう?こんな昼間から?」
「お祝いだよ、酒呑もう」
ウナギを肴にみんなでお祝いの酒盛りが始まりました。
ウナギの大きさ新記録樹立で、喜んで少し飲み過ぎています。
みんな酔っ払って川に入って泳ぎ始めました。
そのうち調子に乗って、川岸の崖に登り、高い岩から川に飛び込む競争が始まりました。
「おおい、ここから飛んでみろ」
「なんだよ、もっと高い所から飛べよ」
中学生みたいな遊びが始まりました。
男子はおとなになってもスポーツや遊びでは心が子どもに戻ってしまうのでしょうか。
ジャングルの中の高飛び込みはだんだんエスカレートして行きます。
「あら、あんな高い所から…。怖いっ」
危ないことにならなければいいですが…。
→アイ ハブ ア ハブ その2につづく
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