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イノシシ天国 その1

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秘密の山小屋 その7からつづく


石垣島や西表島の山中には野生のイノシシがたくさんいます。

時々は山際の畑に出てきます。

そしてサトウキビをかじったり、イモ畑を掘り返して荒らしたりするので害獣ということになっています。

猟友会の人が猟犬を連れて鉄砲で獲ることもあります。

もう一つはイノシシの通り道にワナを仕掛けて獲る方法があります。

このワナを使って猟をするのにも「狩猟免許」が要ります。

うちの父さんは、海の魚介類だけでなく山でも獲物を獲るのに興味を持っていて、イノシシ狩りがしたくてたまりません。


「西表でおもしろい遊びができるよ、一度来て見ない?」

そう教えてくれたのは、牧場に一時期居候していたことがある元「キャンパー」の若い男性。

キャンパーネームは「隊長」。

なぜそう呼ばれるのかは不明ですが、キャンプ場にいた他のキャンパーたちからはそう呼ばれていました。

キャンプ場では本名ではなくキャンパーネームで呼び合うのが一般的なようです。

そしてキャンプ場で知り合って親しくなると、故郷に帰ってから都会で会うことになっても互いにキャンパーネームで呼び合うことが多いようです。

この「隊長」さん、私たちはキャンパーではないので彼のことは本名で呼んでいました。

苗字に「ちゃん」をつけて、「○○チャン」と。呼んでいましたが、ここではキャンパーネームで書いておくことにします。

「隊長」は牧場を出た後、西表島に渡ってアルバイトをしていました。

そしてこの「隊長」の紹介で、老齢ながらイノシシのワナ猟の名人という方と知り合いになりました。

この老人が後に遭難キャンプの時に捜索してくれたゲントクおじいさんなのです。


「オレ、西表に行って来るわ」

「はいはい、行ってらっしゃい」

「イノシシのワナの仕掛けを見せてもらうんだ」

「今度は山の猟師ですか」

「もしイノシシ生け捕りできたら、うちで飼ってもいいか?」

「はあ?」

一晩泊まりでイノシシのハンティングツアーに行きました。

まだ我が家に子どもが生まれる前の話です。


この日はゲントクおじいさんと「隊長」とうちの夫(まだ父さんではなかった)の3人で山に入りました。

何日も前にゲントクさんが掛けておいたワナの見回りに行ったのです。

ゲントクさんの家の裏山にいくつものワナを仕掛けておいて、後でそれにイノシシが掛かっているかどうか見に行くのです。

山の中と言っても人間の通る登山道をイノシシが歩くはずはなく、森の中のけものみちのようなイノシシの通り道を見つけてワナをかけてあるのです。

木を掻き分けてわなを探して歩くのだけでも時間が掛かります。

一日で今までかけた全部のワナを見回ることはできません。

次の日は山の反対側方面・・・という風に数日かかって一回りするのです。

このとき、一つのワナにイノシシが掛かっていたそうです。

イノシシの脚を紐で縛ってかついで下山。

ゲントクおじいさんの家まで運び、解体して肉の多くは冷凍庫に保存。

ご存知、イノシシ肉は高く売れます。

ゲントクさんは若いころイノシシ猟で生計を立てていたこともあったそうです。

また、肉の一部はその夜の料理に、そしてイノシシを担ぐ役目を手伝った人にもお土産として分けてくれました。


「お帰り」

「おもしろかったよー!」

西表からの定期船から降りて、開口一番の感想でした。

「ふうん、楽しかったの、よかったね」

「今度、いっしょに連れて行ってやるよ」

「ええ?イノシシ狩りに?」

「連れて行ってほしいだろ?見たいだろ?」

「はあ」

どっちでもいいけど。

それからはイノシシのワナのことばかり一日中考えているようです。

以後、何度もゲントクおじいさんの元に通い、イノシシのワナかけの弟子入りを志願して覚えて来たようです。

竹を削り、木の枝とワイヤーを結び付けて自分でワナが作れるまでになりました。

楽しそうにワナの仕組みを私に解説してくれます。

私は本当はそんなこと興味がないんですけど。


「この木の切れ込みに引っ掛けて、思い切り引っ張ってしならせた木の枝の先を地面に着くまで下げておくんだ」

「ふーん」

「引っ張ってきた木の枝の先にはもう一つ、ワイヤーで作った輪がある」

「ふーん」

「切れ込みを入れた木片はそれにつけた小さな踏み板をイノシシが踏んだ時にすぐはずれるようにしておく」

「ふーん」

「ちゃんと聞いてる?

「あ、聞いてる、聞いてるよ」

「ワイヤーや踏み板は、上に落ち葉などをかぶせてカムフラージュ」

「なるほど」

「その周りには石や枯れ枝などをわざと置いておく」

「どうして?」

「イノシシは木の枝みたいに不安定な物の上を踏んで歩いたりはしない」

「そうか」

「そうして必ず踏み板の上を踏むように誘うんだ」

「へえ、あったまいい!」

「で、留め具がはずれた瞬間、地面まで下がってしなっていた枝は勢いよく跳ね上がる。イノシシはワイヤーに足首がかかった状態で枝先に吊り下げられて生け捕りになる」

「ほほう」

「うまくできてるだろう」

「でもさ、足首のワイヤーはずれたら逃げるんじゃない?」

「いや、だいじょうぶ、ちょっと、手を貸してごらん」

「はい」

「こうやって手首に輪がかかるとするだろう?」

「ん?」

「思い切り上に跳ね上がったワイヤーは・・・」

ピュンッ!

「・・・ググッと強く締まる」

「イタタタタ!」

「アハハハ、女房が釣れた」

「何するのよ、痛いじゃないのよ」

「かかったら絶対はずれないだろ」

「もういいよ」

「いっしょに行くだろ?イノシシ狩り」

「行かないっ!」

野生児出身のカウボーイはますますイノシシに夢中になっていくのでした。


イノシシ天国 その2につづく

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イノシシ天国 その2

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→イノシシ天国 その1からつづく


それ以来、夫は休日の度に日帰りか一泊で西表にイノシシのワナの見回りに行くことが何度か続きました。

あるとき、港に迎えに行くと、いつになくニッコニコしています。

甲板に置いた荷物は行く時に持っていたリュックの他に麻袋が一つ増えていました。

「見てごらん」

船から下りる前に手招きをするので近寄ると、何かが入っている麻袋の口をそっと開けて見せたのです。

「ん?」

「へへへ」

「イ、・・・イノシシ?生きてる!」

ワナにかかった若いオスのイノシシをゲントクおじいさんに譲ってもらって持って来たのでした。

「に、逃げないの?」

「四本の脚をしばってあるから大丈夫」

そう言うと他の乗客の目を気にしてまた麻袋の口を閉じました。

帰りの車に荷物を積んでの帰り道で聞きました。

「どうするの?」

「飼うんだよ」

まだ私たちに子どもができる前でしたから、動物を飼ってわが子のようにかわいがりたいという気持ちはわからないでもないのですが。

「でもイノシシねえ。・・・」

「馴れればかわいいもんだぞ」

牧場に着いて麻袋から出してやってもまだイノシシは四本脚をきつく縛られていて動けません。

鋭い牙が危険なので口まで縛られています。

人間が怖いと見えて、背中をちょっと触ってもキーキー鳴いて身をよじって逃げようとします。

「しばらくはイヌみたいにロープでつないで飼うってもんだな」

家の前の空いた草むらに杭を立てて、それにイノシシのロープをつなぎました。

始めは杭の周りをロープを引っ張ったままグルグル走り回って落ち着かなかったのが、毎日エサをやっていると本当に馴れてくるものです。

自分に害を与えないとわかると人間も恐怖の対象ではなくなるようです。

「な、かわいいだろ」

「うん、イヌみたいなもんだわね」

「イヌより賢いかも知れんぞ、なあ、トンキチくん」

「ブヒブヒ」

「トンチキ?」

「ちがうよ、トンキチ、トン吉だよ」

なんか陳腐な名前の付け方・・・。

「トン吉か・・・。トンちゃん、・・・トンちゃん」

「ブウブウ」

トンちゃんはイヌのように飼い主によく馴れて、ロープを引いてお散歩に連れて行くこともできました。

もっと馴れてくると、ロープなしでも逃げないどころかどこまでも飼い主についてきます。

だいたい、イノシシやブタは意外に賢いのです。

少なくとも牛よりは賢く、きれいずきです。

牛は小屋の中どこでも糞を歩きながらぼとぼと落として、時にはそれがエサ箱に入ったりもします。

ブタはエサの近くや寝る場所では糞をしません。

小屋の中でも隅の方の決まった所に行ってします。

つまり自分でトイレの場所を決めてするのです。

自分の経験から、家畜の中で頭のいい順番で言うと、


ウマイノシシ(ブタ)ウシヤギヒツジの順ではないかという気がします。


さてトンちゃんと遊んでいると訪ねて来た人がありました。

知り合いのケーキ職人のN村さんです。

今度結婚することになったので婚約者の女性と挨拶に来たのです。


「これですか、イノシシ飼ってるって」

N村さんがチラと見ると、トンちゃんは知らない人に警戒するように飼い主の後ろに隠れました。

「彼女と籍を入れるんですが、実はその婚姻届の保証人にお二人になっていただきたいんです」

「かまわないけど、僕たちでいいの?」

「ええ、ぜひお二人に」

共通の友人ということだからでしょう。

「ハンコと朱肉持って来るわ」

婚姻届には保証人の欄があります。

成人2名の署名と捺印が必要なのです。

サインして婚姻届が完成。

と、

「トンちゃんの鼻でハンコするか?」

え?イノシシの鼻で捺印?大事な婚姻届に?

冗談じゃないですよ、止めて下さいよ、と言うかと思いきや、N村さん、

「おもしろいですね、やりましょう」

笑っています。

そんなあ。漫画じゃあるまいし、ブタの鼻の穴のスタンプ押した婚姻届、役所で受理されるんでしょうか。



イノシシ天国 その3につづく

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イノシシ天国 その3

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イノシシ天国 その2からつづく

彼女はいいのかな、イノシシの鼻のハンコのついた婚姻届出されても。

一生に一度・・・とは限らないけれど、とにかく一生の記念の婚姻届なのに。

彼女はどこに行ったんでしょう。

捜すと、遠くの牛舎で牛を見ています。

牛が珍しいんでしょうか?

ふつうの人には珍しいんでしょう。

呼びに行こうかと考えているうちに、もう男2人でトンちゃんを抱きかかえて鼻にスタンプ台のインクを付けようとしています。

「これでハンコ押せますかねえ」

「牛の鼻紋を取るのと同じさ」

牛には「鼻紋」というのがあります。

人間でいう指紋のようなもので、鼻の頭にある細かいシワの模様が一頭ずつちがっているのです。

これで牛の個人・・というか、固体を識別するのです。

農家が和牛を売る時には登録証明書というのが必要です。

戸籍謄本みたいなものです。

牛の父親の牛、母親の牛の名前や生年月日、祖父母の牛の名まで記載されています。

それほど血統が重要視されているのです。

その登録証明書に鼻紋のコピーも貼り付けられています。

今まで何百頭の牛の鼻紋を取ってきたことでしょう。

牛の鼻紋なら慣れたものですが、イノシシの鼻紋とは・・・。

「ダメだなあ、トン吉の鼻の頭が濡れてるからインクがうまく付かないよ。」

牛は鼻の穴が下向きについているから、鼻紋を取る鼻の頭はタオルでちょっと拭けばインクがよく付きます。

でもイノシシはブタの仲間ですから鼻の穴が前というか上を向いています。

拭いても拭いても鼻水なのか何なのか、いつも濡れていてインクが付きません。

「あれ、ダメだあ。うまく鼻の捺印ができないよ」

あああ、婚姻届をすでに汚くしてしまいました。

これであきらめるかと思ったら・・・、

「ようし、こうなったらチョキでやるか」

チョキ?イノシシの足先?

イノシシはブタと同じ偶蹄類ですから脚の先のヒヅメは二本のチョキの形のいわゆる豚足です。

「わ。汚いなあ、泥だらけだよ、トン吉の足」

当たり前です、裸足で泥の上を歩いているんですから。

「雑巾で拭いて・・・」

濡れ雑巾を持ち出して二人がかりでトン吉の足の裏をゴシゴシ拭いています。

そんなにしてまでもブタの捺印にこだわらなくてもよさそうなものですけど。

トンちゃんは何をされてるのかわからないでしょうが、飼い主にされるがままにおとなしくしています。

「おお、今度はインクがバッチシ付くぞ」

「ここと、ここに・・・」

ペタッ、ペタッ。

「アハハハ、トンちゃんの足跡だ」

何をやっているんでしょう、この人たち。

まあ、数年前、丑年の年賀状のデザインに、牛の鼻紋を年賀ハガキにペタペタと何十枚も押して出したことのあるカウボーイさん、これくらいのことはやってもおかしくはないのです。

二人の保証人の住所氏名と印のほかにトンちゃんの印鑑・・じゃなくて鼻の穴の捺印の失敗したシミのような汚れと、チョキの足跡が二つ三つ。

「おーい、保証人の印鑑押してもらったよ」

「あ、ありがとうございまーす」

婚約者に婚姻届を見せたかどうかは知りませんが、そのまま出したようです。

後日、N村さんに会って聞いてみました。

「あの婚姻届、市役所に出して受理されたの?」

「ああ、それはだいじょうぶでしたけど・・・」

「な、何?」

「窓口の人に『ずいぶん汚いねえ』って言われました」

と笑っていました。

まあ、いい記念になったのかも知れません。

その後N村さん夫婦にはお子さんも何人も産まれて仲良く暮らしているようですから、イノシシの婚姻届はお守りになりはしても結婚の支障にはならなかったことと信じているのです。


→イノシシ天国 その4につづく

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イノシシ天国 その4

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イノシシ天国 その3からつづく


そのうちにトン吉はすっかり飼い主になついて、ひもをはずしてもどこまでもついて来るようになっていました。

夜に父さんが魚を獲ろうと海に行くと、トン吉もついていきます。


「トン吉、ついて来るんじゃない、帰りなさい」

「ブーブー」

「遊びに行くわけじゃないんだ」

「ブヒ」

「今から海に潜って魚を獲るんだよ」

「ブ」

「トンちゃんは潜れないでしょ」

「ブフ」

帰ろうとしないので仕方なくトン吉を浜に置いて、ザブザブと海に入っていきます。

トン吉、しばらく浜から沖に向かう父さんの方をじっと見ていましたが、さびしくなったのかついに
父さんの後を追うように海の中へ泳ぎだしました。

「こ、こらあ、トンちゃん帰りなさい!」

「ブゥ、ブフッ、プフッ・・・、ゴボッ、ブッ、ゴボッ・・・プフーッ」

丸っこい身体で器用に泳ぐものです。

でも後からイノシシがついて来ているのにゆっくり魚なんか獲っていられません。

魚獲りは止めてすぐに帰って来てしまいました。


 トン吉はすっかり私たちの子どもになってしまいました。

そしてまたまた牧場にお客様です。

今度は映画の助監督のカナメさんです。

カナメさんは以前に私たちのことを主人公にした映画を撮った時の助監督をした人です。

2ヶ月以上かかった映画の撮影が終わって、何十人もの撮影隊が解散した後も気の合った人たちとは親交があります。

助監督だったカナメさんもその一人です。

カナメ助監督は石垣島の牧場を舞台にした映画の撮影が終わった後、助監督から監督になってテレビ番組の制作などをしていました。

今回も石垣島を舞台にした推理ドラマの撮影で来ていました。


「撮影が無事に終わったんで、スタッフと別れて僕はもう一泊することにしました」

「じゃあ是非うちの牧場に泊まっていってくださいよ」

「いいですねえ、今夜は久々にいっしょに飲みましょう」

その日は撮影の時の思い出話などしながら旧交を深めたのでした。


トン吉は、いつもかわいがってくれる父さんがお客さんとばかり親しくして、自分を構ってくれないのでちょっとさびしそう。


夜になって、ドアを閉めようとすると、トン吉はあわてて入ろうとします。

「ダメダメ、トンちゃんはお外で寝るの!」

「ブヒーブヒー」

「ダメなの」

「ブヒ・・・」

「そこで寝なさい」

「ブブッ」

外側のドアノブにトン吉の紐をつなぎ、ドアを締めておやすみなさい。


 翌朝早めに目が覚め、そっとドアを開けてトン吉の様子を見ます。

「トンちゃん、さびしかった?」

「・・・・・」

「あれ?トンちゃん?」

トン吉がいない!

ドアノブから紐がはずれたようです。

お客様はまだおやすみだけど、父さんには一応知らせなきゃ。

部屋に戻って伝えようとすると、なぜか静かに寝ているはずのカナメさんの寝室から何かの気配が・・・。

獣の臭いもするような気が・・・。

(まさか!)


カナメさんの寝ている枕元にトン吉はちょこんと座っています。

狭い部屋なので布団を敷いた頭の所に机が置いてありました。

トン吉はその机の下に潜り込んでじっとしていたのです。


「トンちゃん、ダメでしょ、出てきなさい」

「ブヒブヒ、ブヒィー」

首輪の紐を引っ張り合いしていると、酔って深い眠りだったカナメさんも騒がしくて目を覚ましてしまいました。

「な、何?」

「い、いえ、イノシシが、す、すみません」

「は?あ、そう・・・」

まだ覚醒していません、カナメさん。

トン吉を引っ張り出そうとしていて、もう一つタイヘンなことを発見しました。

カナメさんの布団の頭の方にトン吉が大きな「ウ○コ」をしていたのです。

(やばい!これはまずい!)

「ん?どしたの?」

「はあ、あの、今片付けます、すみません、まだ寝ててください」

「はいはい、ムニャムニャ・・・」

幸いカナメさんはまだ半分眠っています。

トン吉を連れ出し、「ウ○コ」も処理しました。

イノシシの「ウ○コ」は、草食動物の牛や馬のとはちがって、色、形、大きさが人間のそれによく似ています。

雑食だからです。

いつも栄養のあるものを食べさせているからか、すごく臭い!

草食の牛、馬、ヤギの糞はそんなに臭くありません。

 それにしても頭のすぐ上で臭い「ウ○コ」をされたのに気付かずにぐっすり眠っていたカナメさんもたいしたものです。

ドアが開いてトン吉が入ってきたのに朝まで気付かなかった私も他人のことは言えませんけど。

しかし、昨夜はしっかりドアを閉めたはずなのにどうして開いてしまったんでしょう。

もしかするとトンちゃんが鼻で開けたのでしょうか。


ようやく落ち着いたころカナメさんも気持ちよくお目覚めです。


「ああ、よく寝た」

「朝ごはんできてますよ。外の木の下のテーブルで食べましょう」

「いいねえ、牧場を見ながら緑に囲まれての朝ごはん」

「え、ええ、そうですね」

「すがすがしい草の香りだ、こういう所での食事は最高だね」

「はあ」

こうしてイノシシが我が家に住み着くことになったのです。


父さんのイノシシへの興味はまだ終わりません。



イノシシ天国 その5につづく

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イノシシ天国 その5

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イノシシ天国 その4 からつづく


イノシシをワナで獲るのにも狩猟免許が必要になります。

もちろん父さん、免許を取りに行きました。

「狩猟免許ってどんなこと勉強するの?」

「興味ある?」

「ないけど」

「興味あるだろ?教えてやるよ」

獲っていい動物や禁止されてる動物、猟をしてよい期間や時間帯などももちろん覚えます。

その他に動物の写真のついたカードを何枚も出してきて、

「これを全部覚えるんだよ」

タヌキやキツネ、イタチ、カワウソ、イノシシ・・・。

山の中に棲息していそうな動物を見て瞬時に判断しなければいけないのです。

試験では動物の写真をパッと見せて、

「今の動物は何でしたか?」

と言うのがあるらしいです・

その練習で何十枚もの動物のカードをめくって見ています。

試験のための勉強というより、子どもが絵を見て楽しんでいるようにも見えます。

西表に行ってゲントクおじいさんの手伝いをするだけなら別に免許がなくてもいいと思うのですが。

自分の手でイノシシを獲りたいのでしょう。

しかも地元で。


 石垣の山の中にもイノシシはたくさんいます。

牧場の裏山にも住んでいて、冬の猟期には猟犬を荷台に乗せた狩人たちの軽トラが牧場の前の道路を山に向かって走るのをよく見かけます。

うちは猟銃もないし、持つつもりもありません。

それでもイノシシを自分で獲りたいというからには牧場の山の中にワナを仕掛けるつもりなんでしょうか。

 実は、山の中まで行かなくてもイノシシは見られます。

牧場で牛が歩き回っている放牧場にもイノシシは現れるのです。

牛は牧草の地面から上の部分の青々と師や所を食べます。

イノシシは地面を鼻で掘って草の根やミミズを食べるのが好きですから、イノシシが出現した放牧地の地面はほじくり返された跡でボコボコです。

「うーん。これはイノシシを捕まえないと牧場の牧草がやられる。よしっ、イノシシ狩りだあ」

・・・って、20万坪もある広大な牧場のうちで1平方mくらいの牧草の根っこがほじられても大して影響ないと思うんですけど。

それに、根で増えていく牧草はすぐ伸びて復元するはずです。

要するにイノシシを捕まえたいだけでしょう。

「やみくもにワナをかけてもダメなんだ。イノシシの通り道を見つけなきゃ。まずは見回りだあ」

普段は放牧牛の見回りなんて喜んでやるような仕事ではないはずなのに、こうなると見回りもウキウキして出かけているように見えます。

気のせいでしょうか。

動物はいつも同じ道を通るという習性があるようです。

それで「けもの道」というのができるのでしょう。

家畜の牛でも、放牧場で自由に動き回れるのに、水飲み場に行くのに同じ道筋を使います。

広い放牧場にはいつも牛たちが休んでいる木陰から水飲み場までの間に牛たちが通った細い道ができています。

身体の大きな牛ですが、四本の脚は身体の下にあって歩いた跡は細い1本の線のようになっています。

ファッションモデルの人がまっすぐなラインの上を歩くように牛も歩いているのでしょうか。

「見つけたぞ、イノシシの通り道。いっしょに見に行こう」

「いいよ、めんどくさい」

「すぐそこだよ」

家のすぐ前の海に向かった斜面を下りたところが、あまり広くはないけど森に囲まれた平坦な放牧場になっています。

この周りの森から放牧場に出入りしていると思われる箇所がありました。

藪の一部にちょうどイノシシが通ったような穴があります。

「ここを通って出たり入ったりしてるんだ。この近くで捕まえられるかな」

どうやって獲るつもりでしょう。

「まずはエサで馴らそう」

芋のしっぽやその他イノシシが喜びそうな食べ物を夕方撒いておきます。

イノシシは夜行性なので夜にならないと活動しません。

翌朝見に行くと、食べたあとがあります。

「よしっ、生け捕りにするぞ」

その日からイノシシを捕まえる道具の製作が始まりました。

建築用コンクリートの中に入れて使うような太い鉄筋を組み合わせて丈夫な檻を作り始めました。

「ずいぶんごつい檻だわねえ」

「これくらいにしなきゃ壊されるよ。猛獣といっしょだからな」

「この檻にどうやってイノシシを入れるの?」

エサを撒いて中に入ったときにガシャーンと鉄の扉が下りる。イノシシは閉じ込められる」

ネズミ捕りの巨大な物と考えればいいわけだな。

「扉はどうすると閉まる仕組み?」

「ロープを持っていて、イノシシが入ったのを見届けて、素早くロープを引いて止め金をはずす。扉が上から落ちて『ガシャーン!』だ」

そんなの、うまくいくんでしょうか。

イノシシ天国 その6につづく


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イノシシ天国 その6

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→イノシシ天国 その5からつづく

頑丈な檻にイノシシを誘い込んで扉を閉めて生け捕り、とアイデアはいいのですが。

「そばで待ち構えていたら、イノシシが寄って来ないでしょ」

「少し離れた所に車を停めて中でじっとしているよ。窓も閉めて人間の臭いがしないようにして、クフフ・・・」

男の人ってどうしてこういうことに夢中になるんでしょうか?うちだけかな?

それから数日は食べ物を撒いてイノシシを安心させる作戦です。

次に手製の檻を現地に移動。

今度は扉を開けた状態でこの檻の中にエサを撒きます。

これも、最初は警戒していたようですが、何日かすると安全とみたのでしょう、エサを食べるようになりました。

その次にはすぐそばに見張り用の車を置いて、それにも馴らさなければなりません。仕事にも準備があります。

なにぶんにも用意周到。

「アルト借りるぞ」

私がいつも街のスポーツセンターにアルバイトに行くときに使っていた軽自動車で、スズキの赤いアルトのことです。

斜面の下まで乗って行ってイノシシ捕獲までそこに置いておくということです。

実はこの時にはもう鉄兵が生まれていてプールのインストラクターのアルバイトは辞めていました。

妊娠と同時に退職したのでした。

街に買い物に行く時は牧場のトラックを借りれば済むことだし、まあ、いいでしょう。

無人のアルトを檻の近くに停めて2日くらいして、イノシシを安心させてからいよいよ張り込みです。

イノシシは夜行性ですから、まだ活動していない日暮れ前から車に乗っていなければなりません。

早めに食事を済ませて停めたままのアルトに乗りに行きます。


「クチュクチュもいっしょに行くか?」

「面白そうですね、行きましょう」

クチュクチュさんというのはニックネームです。

ヒロシくんが辞めた後に牧場の仕事を手伝ってくれている、元キャンパーの青年です。

キャンパー出身の人というのは大体がアウトドアの遊びが好きです。

クチュクチュと二人で車の中で夜明かしすることになりました。


翌朝、手ぶらで戻って来た二人。

「獲れなかったの?」

「檻のすぐ近くまで来た」

イノシシの方もまだ完全に油断しているわけではないようです。

また翌日も同じように張り込みです。二日ほどして、

「昨夜は檻の中に入ってガツガツとエサを食べてた!ウッフッフ・・・」

「その時にロープを引いてガシャーンじゃなかったの?」

「いや、そう思ったけどさ、そばにもう一匹いたんだよ。あれはツガイだな」

「へえ!」

「もう少し馴らして安心させて、二匹同時に檻に入ったところを“ガシャーン”だ」

欲張りですねえ。

「一匹ずつじゃダメなの?」

「一回、ガシャーンってやっちゃったら、あとのやつが逃げて二度と来なくなっちゃうだろ」

それもそうです。一網打尽を狙っているわけですね。


次の日、

「惜しいなあ、二匹目が入ろうとすると、もう一匹が出ちゃうんだよ」


そして一週間後、

「イノシシどう?」

「わからん、寝ちゃった」

そりゃあ、何日も車の座席で、しかもすぐ飛び出せるように靴を履いたまま寝ているのでは疲れも取れません。


そのうち、

「今日は一晩中起きてたけど、イノシシ来なかったなあ」

「イノシシもお休みがあるのかしら」

「なんか、疲れたなあ」

久しぶりに部屋でぐっすり眠って、また張り込み再開しましたが、それっきりイノシシは来なくなってしまいました。

どうしたのでしょう。

同じ場所にそう毎日通っていては危険だと判断したのか、もっといい餌場を見つけたのか、それとも鉄砲を持った猟師に山で獲られてしまったのでしょうか。

もしそうだとしたら、おいしいエサを毎日喰わせていた苦労は何だったのか。

獲った人はよく太ったイノシシだ、とさぞや喜んだことでしょう。


「もう檻のガシャーンはやらないの?」

「だってあそこにはもうイノシシ来ないもん」

「じゃあ、アルトは元の位置に戻しておいてね」

今まで何度「ロープを引いて“ガシャーン”だ」のセリフを聞いたことでしょう。

でも、本物の「ガシャーン」の音はついに聞けませんでした。

その後、トラクターで苦労して運んだ重い鉄製の丈夫な檻は邪魔にもならないのでしばらくそこに置かれたままになっていました。

周りに草も生えてきましたが、次に飼われるイノシシのために数ヶ月そこで出番を待っていることになるのでした。



イノシシ天国 その7につづく


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イノシシ天国 その7

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イノシシ天国 その6からつづく

巨大ネズミ捕り型のイノシシ捕獲作戦は失敗でした。

1匹だけなら獲れたんでしょうが。

鴨取り権兵衛みたいに一網打尽を考えていたわけではないでしょうが、2匹いっぺんに獲ろうとするものだから。

二兎を追う者・・・じゃなかった、

「二猪を追う者は一猪をも得ず」

発音してみましょう。

(ニチョヲオウモノハ イッチョヲモエズ)、

なんか、口の中がねちょねちょしてきたような気がします。


それからもイノシシ狩りにはまだ熱が冷めず、放牧場の見回りに行く度に、

「あそこの放牧場にも来てるな、地面を鼻で掘ったあとがある」

「放牧場で何の見回りしてるのよ、イノシシの足跡見るのも仕事なの?」

「当たり前だろ、牧草の生え具合を見るついでに、草の根をあらされてないか確かめるんだよ」

「イノシシが牛の害になる、と?」

「そう、大事な牧草の根をかじられる」

有害鳥獣なので捕獲する大義名分が立つということですね。


そして、冬の冷たい雨の続く季節になったころになりました。

「見つけたぞ、イノシシの通り道」

「あ、そう」

「森から藪の中の一箇所を通って東の5区の放牧場に出入りしてる」

「また檻でガシャーンですか?」

「いや、あそこは車は乗り入れない方がいい」


その日から、今は牛を入れていないその区画の放牧場も毎日見回りの中に加えられました。

ある日の夕方、

「いた、いた!何匹もいるぞ」

日が暮れかかっていた時刻に見回りから帰ってきて騒いでいます。

「ようし、草に隠れて待ち伏せして獲るぞ」

今度は魚を突くときに使う長い柄の付いたモリを持ち出しました。

柄の先に強力なゴムが付けてあってこれを引いて一気に放すと勢いよくモリは飛んで行き、魚を獲れるのです。

水中でもかなりの威力ですから、地上ではイノシシでも近づけば獲れます。

新婚旅行で無人島に12日間行ったときには、実際にこれで森の中でイノシシを獲ったという経験もありますから、あながち荒唐無稽な話ではないのです。

「暗くなる前に草に隠れていた方がいいな」

「今日行くの?気を付けてね」

「アンタにも手伝ってもらうんだよ」

「えええっ!だって鉄兵がいるのに」

まだ乳飲み子です。

「鉄兵は家に置いていくか、・・・」

ムリです。

親がちょっとでも見えなくなると不安がって部屋を這い出して来てしまいます。近所に預ける家もありません。

「どんな仕事よ?」

「放牧場の上の道路にいて見渡してほしいんだ」

「見てるだけ?」

「イノシシの群れがどの辺りに移動したか見て草に隠れているオレに教えてもらいだいんだ。コレで・・・・」

「あ、トランシーバー」


親戚の人にもらった小型のトランシーバーです。

障害物がなければ500mくらいは電波が通じます。

牧場が広いので牧区の端にいる人に連絡したいときは使えると思ったのですが。

牧場があまりにも広くて途中に障害となる丘があったり、相手が電源をオフにしていると呼び出せないという欠点もあって、あまり使いませんでした。

一度使ったのは、家から見える林道の上で何人かで酒を飲んでた時に、家に居る私に

「つまみを持って来てくれ」と言ってきたときでした。

まだ携帯電話が普及する前のことです。

舗装道路の上でただ見張っているだけの仕事ということなので、仕方なく鉄兵をオンブして行くことにしました。

日が沈む頃になるとショボショボと雨も降ってきました。

この雨の中を行くの?

赤ん坊負ぶって?

・・・変なイノシシ狩り・・・。


イノシシ天国 その8につづく


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イノシシ天国 その8

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→イノシシ天国 その7からつづく


場所は牧場の中でも住宅からいちばん遠い東の端の区画でした。

100m四方くらいの四角い放牧場で、一辺は道路に面しています。

あとの三辺は森や藪に接していて、昼間はそのどこかにイノシシは隠れています。

夕方になって雨がポツポツ降ってきました。

1歳にもならない鉄兵を負ぶって傘を差して道路に立って日暮れを待つ私。

手には双眼鏡とトランシーバーを持って。

こんな姿、通りがかりの人が見たらどう思うでしょう。

荷物を持っていないから家出人には見えないかもしれませんが。

子守で散歩しているにしては双眼鏡とトランシーバーという持ち物はいかにもおかしいでしょう。

幸い夕暮れ時の田舎道は誰も通りません。

背中の鉄兵はお散歩と思っているのか、機嫌は悪くないようです。

周りが薄暗くなって目を凝らすと、

(あ、イノシシだ!)

「もしもし、聞こえますか?今、イノシシが西から東に横切って行きました。ドーゾ」

当時は無線通信の際は会話の交替ごとに「over」という意味で「ドーゾ」をつけるのが一般的でした。

「そうか、オスかメスか?ドーゾ」

「多分、両方。だって2頭見えたから。ドーゾ」

「イノシシは今どの辺りにいるんだ?ドーゾ」

モリを構えて放牧場の中央辺りにいるはずの父さんですが、草の陰に身を隠して姿勢を低くしているので、そちらからはイノシシがどこに居るのか見えないようです。

鉄兵は同じ所に立っているのが飽きてきたのか、背中で手足を大きく動かしてバブバブ言っています。

「あ、こっちに来た。・・・と思ったけど、またそっちに移動した。ドーゾ」

「そっちってどこだよ、どこにいるんだよ、ドーゾ」

放牧場より一段高い道路にいる私からは、イノシシは見えますが、草の高さより実を低くしてかがんでいる父さんの姿は見えません。

父さんからは私の姿は見えてもイノシシは見えません。

「アレ?見失った。ドーゾ」

「双眼鏡で見てくれよ。ドーゾ」

「もうこんなに暗くなって見えないよ。ドーゾ」

雨はまだショボショボ降っています。

背中の鉄兵は退屈してスヤスヤ眠ってしまいました。

子どもを負ぶっていつまで雨の中を見張りしているんでしょう。

「イノシシ見えなくなっちゃった。もうムリじゃない?ドーゾ」

「まだ見えてるよ。ドーゾ」

父さんはマサイ族並みに視力がすごく良かったのでした。

「もう疲れたから帰ってもいい?ドーゾ」

「もう少しがんばってほしいんだけどなあ、ドーゾ」

「どうぞ、って言ったから帰ります。ドーゾ」

「おいおい、ちょっと待ってくれよ。ドーゾ」

「ほら、どうぞ、って言ったじゃない。ドーゾ」

「わかったよ、今日はもうこれ以上はムリだな」

やれやれまたくたびれもうけでした。

でも、獲れなくて内心ほっとしました。

生け捕りとは言ってもモリで突いたらイノシシも大怪我です。

ちょっと残酷だし。

マサイ族スタイルのイノシシ狩りも失敗でした。

でもそんなに無理して獲らなくてもうちにはもうすでに大きなイノシシがオス、メス、2頭飼っているのでした。

数ヶ月前に和歌山の父さんの実家に帰省した時、山に近い所でイノシシをたくさん飼っている人がいました。

そこで売ってもらったのです。

そこから車で大阪の空港まで運び、飛行機に乗せて石垣まで連れて来たのでした。

鍵のかかる檻に入れてペットとして預けるのですが、この料金が人間様並みだったのです。

このときはまだ安売り切符など一般的でなく、せいぜい往復割引の10%引きくらいしかありませんでしたから痛い出費でした。

「家にもう2匹いるんだからこれでいいじゃない?」

「いや、あれは本土のイノシシだろう、こっちのイノシシとかけ合わせしてみたいんだよ」

石垣や西表にいる野生のイノシシはリュキュウイノシシという種類で、本土のいのししとは大きさや毛の色など少しちがいます。

瞳の色や黒目の大きさもちょっとちがうのですが人種のちがいくらいなものでしょう。

どっちを外国人と言っていいのかわかりませんが。

(外国人じゃなくて外国猪でした。)

巨大ネズミ捕りや草の陰からモリで突くのでは獲れませんでしたが、その後も西表でワナで獲ったり、オスとメスから子どもが産まれたりして少しずつイノシシの頭数は増えて行きました。




→イノシシ天国 その9につづく


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イノシシ天国 その9

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→イノシシ天国 その8からつづく

何頭ものイノシシを飼うとなると、小さな檻の中というわけにはいきません。

雑草が生えた空き地に杭を打って金網で囲い、イノシシの放牧場を作りました。

イノシシが跳んだりよじ登ったりして逃げないように、金網は人の背くらいに高くしました。

イノシシも土の上で気持ちよさそうです。

雑草が良く茂っていた地面も鼻で根を掘ってミミズを食べたりするので数日後には雑草が一本もなくなり、ツルツルになってしまいました。

「すごいね、イノシシ」

「見事に草が無くなったな」

「今まで雑草の土地を畑にするのに草取りで苦労したのにね」

空き地を耕して家庭菜園を作る際、雑草取りが一番タイヘンだったのです。

「草は無くなったし、適度にイノシシの糞が溜まって栄養もいい。ここは次に畑にするのに持って来いだな」

「じゃあ、イノシシを入れる囲いをもう一ヵ所作らなきゃ」

「そうだな、隣接して作って、移動できるように間にドアを作ろう」

こうして第二放牧場も作りました。

イノシシを隣に移して、イノシシが耕してくれた土地に野菜を植えました。

草取りをしないで植えられるのはいいのですが、・・・なんか変。


「この土、おかしくない?イノシシの糞で栄養満点かも知れないけど、肥料というよりイノシシのウンコそのものっていう感じなんだけど」

確かになんだか土がネチョネチョした感じ。

熟成した堆肥は乾いた土のようにサラサラしたもののはずですけど。

「土と砂をもっと混ぜなきゃいけなかったのかな。混ぜ方が足りないのか」

・・・って、混ぜるとか、そういう問題じゃなくてこの土地はイノシシのウンコだらけ、というよりウンコそのものだろう!

イノシシのお便所で作った野菜、さぞおいしいことでしょう。

結局、ほうれん草や小松菜を植えましたが育ちがあまりよくありませんでした。

ネチョッとした土なので野菜も地中に充分に根を張れなかったのでしょうか。


「中世ヨーロッパでは三圃(さんぽ)式農業をやってたのよねえ」

「散歩式農業?」

「お散歩するわけじゃないよ、作物を植えるのと休耕地にブタを放すのと3箇所の畑で順番に行うから、無駄なく土地が使えるってことでしょ」

「それ式にうまく回るはずだったのになあ。どうしてかな」

我が家のさんぽ式農業は失敗でした。

でもイノシシはまた茂った草でいっぱいの土地に移されてうれしそうです。


そして5月の晴れた日、イノシシの囲いの近くに例年のようにポールを高く立ててこいのぼりを上げました。

結婚9年目で産まれた長男のために実家から送られたこいのぼりを揚げました。

牧場は広いので大きなこいのぼりを揚げるのに充分な土地があります。

海から吹く風はいつも強く、こいのぼりは毎日元気よく泳ぎっ放し。

牧場の住人以外に見てくれる人がいないのが残念ですが。


「今日は特に風が強いなあ」

「コイノボリもすごい勢いで泳いでるわねえ・・・って、アレ?!一匹足りない!」

一番上の真鯉が消えています。

風が強すぎて金具が外れて飛ばされたのでしょう。

「どこか近くに落ちてるんだわ、捜してくる」

今までにも風の強い日に金具が外れてこいのぼりが飛んで行ってしまったことは何度かありました。

ですが、だいたいすぐ近くに落ちていました。

今回は相当離れた所まで捜しに行きましたが見つかりません。



さんざん捜しても見つからずにあきらめて元のポールの所に戻ってきました。

ふとイノシシの囲いに目をやると、イノシシの足元に泥にまみれたコイノボリが落ちています。

「あああ、見つかったけど、イノシシのウンコと泥でグチャグチャだあ」

長い棒で手繰り寄せて、外の水道まで持って行き、ホースでジャージャー流してようやく黒い真鯉の鱗模様が現れました。

水できれいに洗いましたが、もうこのコイノボリは使い物にならないことがわかりました。

汚れただけでなく、イノシシの牙でズタズタになっていたからです。

イノシシにしてみれば、突然空から大きな変なものが降ってきて自分の領地に落ちて来たわけですから、敵と思って攻撃したのでしょうか。

コイノボリは縁起物ですから、まさか真鯉抜きで残りの鯉だけを揚げるというわけにもいきません。

それ以来毎年5月になってもコイノボリを揚げられませんでした。

数年後に実家の両親にお願いして代わりの新しい鯉を送ってもらうまでは。

またあるとき、庭に放し飼いにしてあったたくさんのニワトリ、そのうちの1羽が金網の隙間からか、金網の上から跳び込んだのか、イノシシの囲いの中に入ってしまいました。

イノシシはすぐにニワトリの近くに集まって来て襲いました。

ニワトリはかわいそうに抵抗むなしく、イノシシのエサになってしまいました。

あっという間のできごとでした。

「!!・・・・」

「・・・・・・・・」

お.恐ろしい・・・・・・。

「やっぱり猛獣だね」

このころになると、一番大きなオスのイノシシは人間の大人よりもずっと大きく、体重もあってそばに近寄るのも怖い存在になっていました。

囲いの中に入って世話をするなんて不可能です。

鋭い牙は凶器です。



「イノシシの囲いでちょっと困ったことがあるんだ」

「え?」

またいやな予感が・・・。



イノシシ天国 その10につづく


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イノシシ天国 その10

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イノシシ天国 その9からつづく


「囲いに穴でも開いているの?」

「それなら外側から直せるんだけどさ」

出産が近いメスがいるのでそれを隣の部屋に移して、間のドアを閉めるというのです。

イノシシのオスは、メスが産んだ赤ちゃんをいじめたり、ひどい時には食べてしまいます。

子どもが産まれたらすぐに、できれば産む前にオスとは分けておきたいのです。

部屋の間のドアと言っても金網で作った境目の戸で、開け閉めしてイノシシを移動させたらペンチを使って針金でしっかり留めて開かないようにします。

また必要ならペンチで針金をはずして開けます。

めんどうなようですが、それくらいしないとイノシシは力ずくで出てしまいます。

「二つの部屋の間のドアを開けるからメスを隣の部屋に追いやってくれ」

「ゲ!この中に入るの?私が?」

「メスがドアに近づいた時を狙ってドアを開ける。メスが向こうの部屋に移ったらすぐドアを閉める」

「一人でできないの?」

「メスについてオスが行かないように見張っている役目が要るんだよ」

「えーーー?!」

「ドアを開け閉めするのとオスを追っ払うのとどっちがいいか?」

「どっちもヤダよ~」

「ホラ、いいから早く入ってくれよ」

「コ、コワイよ~~~」

仕方なく、身長よりも高い金網の柵をよじ登って中に入ります。

これがまた高所恐怖症の私には苦手な作業です。

「た、高い!」

「なにを震えてるんだよ」

「い、今下りるわよ、あ、コラ、金網揺らすなー!」

地面に降り立つとイノシシのウンコと赤土の混ざったネトネトの土に長靴が半分埋まります。

「き、汚いよー」


メスがうまい具合にドアのそばに来ました。

「今だっ、開けろ」

メスが隣に入ったのを見届けてすぐドアを閉めます。

「よっしゃ、そこでオスがこっちに来ないように防いでくれ」

オスを追い払うための長いモリを持たされ、今度は私が見張る番です。

「ヒェ~、こっちに向かって来たらどうするのよ!」

「武器を持ってたら大丈夫だよ。しっかり見ててくれよ、こっちでドアを針金で縛ってるから」

「こらあ、イノシシ、こ、こっち来るなあ」

普段はエサを食べて静かに昼寝しているだけのイノシシですが、今日は囲いの中に人間が入って来ていて、いつもとようすがちがうと思ったのでしょう。

向こうも少し落ち着かないようです。

イノシシに背を向けてドアの取り付けをしている父さんの前に立ちはだかり、イノシシにモリを見せて守ります。

「来るな、来るな、来るなあ。いつもエサをやってる人の顔わからないの?」

イノシシはモリを避けて回り込んで近づこうとします。

長いモリですが、柄の長さより短い距離の内側にに入られたら、その長さゆえにモリが使えず戦えなくなってしまいます。

思わず後ずさりするとイノシシも前進してきます。

すぐ後は今修理真っ最中の金網です。

これ以上は下がれません。

やむを得ずモリを少し引っ込めて短く持ってみます。

私の後ろで柄の先が何かに当たりました。

「い、痛えなあ、あんまり下がって来るなよ。作業ができないだろう」

「だって・・・わ、もうダメ、コワイよーー!サイナラ・・・」

モリを投げ出して金網に飛び付きました。

そして高所恐怖症も忘れジャッキー・チェンのように垂直に駆け上り、柵の外に出てしまいました。

「あー、逃げるな!・・・わ、わ、イノシシが来るじゃないかあ」

修理どころではなく、地面のモリを拾ってイノシシを追い払っています。

男の大きい声に迫力負けしたのかイノシシが下がりました。

その隙に父さんはくるりと後ろを向いてしゃがんでまた針金とペンチを持ってドアを閉じる仕事を始めました。

と、

「痛いっ!」

 猛獣に背中を見せてはいけませんねえ。

離れたと思ったイノシシはまた寄って行って父さんのお尻を甘咬みしたようです。

イノシシの方でも、この人が自分に危害を与える敵とは思ってないので、本気で噛んだりはしません。

それでも尖った牙はまるでカミソリのように鋭い切れ味です。

触ればケガをします。

イノシシの方に向かうと奴らは退散します。

でもまた背中を見せてしゃがんで仕事を始めると寄ってきます。

これでは仕事ができません。

「おーい、何とかしてくれ」

そう言われても、もう一度中に入る気はしません。


でも何とかしなきゃ・・・。


イノシシ天国 その11 につづく


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イノシシ天国 その11

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→イノシシ天国 その10からつづく

家畜を釣るにはエサです。

イノシシにいつも与えているトウモロコシのフレークの袋を持ってきました。

毎日やっている農協のエサの袋を見せただけで条件反射のようにイノシシは走って寄ってきます。

「今だ!」

父さんが急いで金網の修理をしている間、イノシシの気をこちらに向けておかなければなりません。

時間を稼ぐためにわざとエサの袋をガサガサさせて、金網越しにチビチビと勿体ぶってのエサやりです。

金網を閉じるのが終わるとイノシシに気付かれないように素早く脱出した父さん。

「ああ、怖かった」

「バカ、オレの方がこわかったぞ」

となりの囲いに入れたメスは草に隠れています。

しばらくイノシシを入れていなかったのでそちらは雑草が茂っていました。

出産を迎えるのに好都合です。

オスのイノシシはメスの方にも行かれず、からかう相手の人間もいなくなって所在無げ(・・・かどうかわかりませんが)囲いの中でウロウロしていました。

この状態でイノシシたちは数年間飼われることになるのです。

ウリボウが産まれたりもしましたが、一番大きなイノシシは体重が80㎏を越えたと思うくらいよく太りました。

もう絶対人間より強いです。

戦う気はありませんが。

「わあ、イノシシ飼っているんですか」

遊びに来た人に自慢げに見せる父さん。

毎日エサをやってるのは私なんですけど。

「はい、あまり近づくと危ないですよ」

「いやいや、手を出したりはしませんよ。咬まれるんでしょ」

「え、そうじゃなくて、そんなにソバに行かないで・・・」

ビチャッ!

「キャッ、汚い!なんか飛んできた」

(だから言ったじゃないの)

「すいません、地面がドロドロで・・・」

「何だ、これ、泥っていうかウンコ混ざってる?臭いよ」

お客さんの白いシャツは101のダルメシアンみたいに黒い(こげ茶?)斑点になってしまいました。

このイノシシの放牧場、いつも「ぬかるみ」です。

晴れた日が続くと地面が乾きますが雨の季節はグチョグチョでイノシシが歩くたびにビッチャビッチャと足音がします。

いくら泥に身体をこすって泥浴びが好きなイノシシでもこれはちょっとひどいかな。

ときどきトラクターで乾いた土や砂を入れてやりますけど、すぐ水っぽくなってしまいます。


エサは、農協で買ってくるエサだけでは足りないので残飯も投げてやります。

残飯と言っても人間様が食べないもの、つまり卵の殻や魚の骨、果物の皮など。

そんな物でもバリバリと喜んで食べています。

草の根も掘って食べるくらいですから。

しかし臭い。

イノシシの体臭ではなく残飯とどろどろ地面の臭いです。

住宅のすぐ目の前にイノシシの囲いがあるのでにおいは家の中まで風に乗って流れてきます。

「臭い、ご飯がまずくなる」

「窓を閉めろ」

閉め切って一日中エアコンを点けることになってしまいました。


「あのう、イノシシを飼ってどうするんですか?」

よく人に聞かれます。

「ええと、どうするって」

「食べるんですか?」

「最初は食べるつもりで飼い始めたんですけど・・・」

「あの大きなオスなんてすごいですね」

確かによく太って肉がたくさん取れそうです。

「売れますね」

はい、でも捕まりません。

中に入ったら殺されます。

「こんなに大きくなったら捕まえることもできなくて、売ることも食べることもできませんよ」

「じゃあ、子どもが産まれたら捕って食べればいいですね」

「そうですね、仔豚の丸焼きで」

そう冗談を言いますが、ウリボウが産まれたらそれはそれで可愛くて食べるなんてできません。

こうして、イノシシは順調に育って増えては行きますが食べも売りもせずに毎日エサをやっていました。

動物好きでかわいいのならペットですけど、私は動物を飼うという趣味はありません。

誰もやらないから仕方なくエサをやっていますが本当は動物好きじゃないんです。

臭いし。


「イノシシ、どうして飼っているんですか?」

さあ、どうして飼っているんでしょうね?


数年経って子どもたち(人間の)が学校や幼稚園に行くようになって、友だちを連れて来るようになりました。


「この家、なんか、くさいよ」

「なんでアンタの家、臭いの?」

イノシシがいるからです。

それだけならいいのですが、ついに恐れていたことが起きました。

→イノシシ天国 その12につづく

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イノシシ天国 その12

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イノシシ天国 その11からつづく


健やかに大きくなったイノシシたちに、ただエサをやって太らせ続けている毎日でした。

ある日の夕方、台所でお皿を洗っていると、家の南側の斜面に面した草むらに、何かガサッと動いた音がしました。

「ん?また牛が脱柵したのか?」

窓からは丈の高い草が茂っているのが見えるだけです。

以前は家庭菜園にしていた場所ですが、イノシシの第三放牧場にと金網で囲っていたのです。

その後ほとんど使われないで一年、二年と経つうちに、草ぼうぼうのジャングルのようになってしまいました。

囲いの端もところどころ破れているらしく、たまに放牧場から脱柵した牛が迷い込んできます。

牛の姿を確かめようと、台所に近い裏口から外に出てみると・・・。

「アレ?何だ、今の・・・」

藪の中に逃げ込んだ瞬間、その動物のお尻がチラリと見えました。

なんか、牛にしては小さいような・・・。

子牛にしては動作が機敏。

いや、あのこげ茶色の丸いお尻は・・・牛じゃないぞ!

ということは。


そうです、イノシシが逃げたとしか考えられないのです。

急いでイノシシの囲いの所に行ってみます。


「あ、こんな所に穴が・・・」

数えてみるとイノシシの数も一頭足りません。

取り敢えず、あり合わせの金網のきれっぱしで穴をふさいでおきます。

「あーあ、お父さんのいない時に限ってこういうことが」


そうなんです。和歌山の一人暮らしのおばあちゃんが手術をすることになって、父さんはしばらくその看病のためにそちらに行っているのです。

囲いの中に残っているイノシシがそれ以上逃げないように穴をふさぎましたが、すでに逃げて行った一匹はどうしましょう。

今のところは大人一人ではどうすることもできないのでしばらくはそのままということになります。

ここで生まれて何年も育ってきたイノシシはそうすぐに遠くに行くことはありません。

外に出ては見たものの、むしろ元の仲間の所に帰りたくて囲いの周りをウロウロして、追うと簡単に囲いの中に入ってくれることもあるのです。

今までイノシシが脱走したことはありましたが、そうやって遠くに逃がさないうちに確保してきたのでした。

「逃げたイノシシ山に行かないかな?」

「毎日金網のそばにエサを撒いてやろう。それを食べている間は遠くには行かないよ」

数日はそれでよかったのですが・・・。


ある日、裏口を開けた時に目の前にいた大きなイノシシに至近距離で遭遇してしまいました。

「わ!こんな近くに!」

反射的に慌ててドアを閉めていました。

急いで鍵を掛けて奥の部屋に移ります。

そこで今見た光景を反芻してみます。

(?・・・今のイノシシ、身体大きかったな)

逃げているのはわりと小さなイノシシのはずでした。

(それに2頭いたように見えたけど、錯覚かな?)

とにかくもう一度確かめてみよう。

恐る恐るドアをそおっと細めに開けてみます。

イノシシは裏口のすぐ外で、桑の木の根元に昨日捨てた魚の骨をバリバリ噛んで食べていました。

家の周りをうろついている野良猫たちのために残飯を裏口から外の桑の木の下にポイッと投げておくのが習慣でした。

ムシャムシャと食べているイノシシのその口には大きな鋭い牙が・・・。

(あ、一番大きなオスだ!)

その後ろには二番目に大きなイノシシ。

食べながらチラとこちらに視線を向けています。

目が合っても知らん顔してまだ食べ続けています。

取敢えずドアを閉めて考えます。

(あんなにドアの真ん前に居座られたら外にも出られないわ、もうちょっと家から離れてもらおう)

再びドアを開けて野良犬でも追っ払うように

「しっ、しっ・・・」

イノシシは逃げるどころか、カフカフ、シャキシャキと歯ぎしりをして威嚇します。

イノシシの歯ぎしりは悔しくてするわけではありません。

戦いの前に牙をこすり合わせて研いでいるのです。

つまり戦闘態勢です。

「ヒャー、こわ~~~」

そうこうしているうちに、学校へ子どもを迎えに行く時刻です。

「しかたがない、反対側から出るか」

台風が頻繁に来る石垣島の家は大体が二方向以上に出入り口があります。

風向きによってはドアも窓も開けられない方向があるからです。

3~4方向にドアがあれば風がくるのと反対側のドアが少なくとも一ヵ所はあることになります。

普通は台風時は外には出ませんが、停電になった夏の日、扇風機エアコンもなしの亜熱帯で窓をすべて閉め切って一日中は過ごせません。

 いつもはほとんど使っていない東側のドアから外に出ると、

「ええっ、ここにもイノシシが来てる」

先回りして反対側のドアで待ち伏せ?

それほど賢くはないでしょう。

もう一度家に入って裏口を開けて外を見ると、やっぱりさっきのイノシシは同じ所に2頭いました。

「ということは・・・」

何頭逃げているの?

家はイノシシに包囲されてしまいました。



イノシシ天国 その13につづく

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イノシシ天国 その13

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イノシシ天国 その12からつづく

「ああ。弱ったなあ」

前門の虎、後門の狼・・・じゃなくて前門のシシ、後門のシシ・・・です。

もうとっくに子どもたちを迎えに行く時刻になっています。

比較的弱そうなイノシシがいた方の南側のドアを細めに開けて外の様子をそおっと窺います。

「ホッ、居ない・・・今がチャンスだ」

車はいつも通りに裏口に近い所に停めてあります。

でも何本もの木に囲まれて見通しが悪いのです。

イノシシに出くわしても素早く逃げるのにも歩きにくいですし。

ここはちょっと遠くても安全な方の出入り口を使うべきでしょう。

ドアを開けると車に向かって飛び出します。

〝明日に向かって撃て〟

いやそんなにカッコよくないか。

一応戦う場面になっても襲われないように護身用の長い棒を持って。

タタタタッ、バタン!

運転席に乗って車のドアを閉めてひと息。

さっきまでイノシシがでんと構えていた裏口には今のところ姿は見えません。

でも周りが藪だらけですからその中に隠れているかも知れません。


学校で子どもたちを迎えて帰る車の中で・・・。

「お母さんこの棒何?」

「イノシシ避け」

「?」

「イノシシが逃げちゃったんだ」

「何匹逃げたの?」

「たぶん四頭くらい」

「え?!」
「え!」

「あとでイノシシの檻のところに行って確かめるよ」

「まだ見てないの?」

「だって家の周りをイノシシがウロウロしてて怖いんだもん」

「ええっ!」
「ええっ!」

「今朝はいつもの裏口を開けたらそこに居た」

「えええっ?!」
「はああっ?!」
「えええっ?!」

「だから今日はプレハブのドアの近くに車を着けるからそっちから家に入ってね」

「・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」

プレハブというのは、母屋にほとんどくっ付けて設置されたプレハブ小屋のことです。

子どもたちが大きくなって家が狭くなってきたので、それまで空き地に置いてあったものを移動して子どもの勉強部屋にしたのでした。

プレハブを購入した当初は実習生の寝起きする住宅に、その後は物置になっていました。

プレハブのドアの正面に車を停めて、少し様子を見ます。

「今は居ないみたいだな、よし、今だ、行けっ!」

車とプレハブ小屋の入り口まで2mほどですが、念のためにそこに私が護身用の棒を持って立ちます。

子どもたちはバタバタと最短距離でプレハブ小屋に入りました。

「わ、押すな」
「ずるい、お兄ちゃんだけ先に行かないでよ」
「ヤダー、くるみが先だ」
「こら、襟首引っ張るな」

わずか半間の引き戸を半分ほど開けたところで、三人がわれ先に入ろうとするもんだからラッシュアワーのようになってしまいました。

順序良く入った方が早いでしょうに。

「争ってないで早く入りなさい」

ドアのところで団子になって詰まっている子どもたちの背中を押して中に押し込むと上がり口でつまずいて、ランドセルを背負ったまま将棋倒しのように重なってしまいました。

「わ、わ」
「痛いよー」
「ムギュー、重いー」

「ホホホ、よかった、無事に帰れて」

「ちっとも無事じゃないじゃないか」

「まあ、とにかく、窓を渡って母屋に行っておいてちょうだい」

プレハブの部屋の奥の、高さ1mほどの窓を開けてやりました。

子どもたちは次々と、今度は順番に窓枠を乗り越えて向こう側に渡って行きました。

母屋の窓とプレハブの窓は向かい合っていてその距離は40cmくらいしかありません。

窓から窓へ渡れば子どもでも簡単に母屋に移って行かれます。

ドア・ツゥ・ドア・・・じゃなくて、ウィンドー・ツゥー・ウィンドーです。

そうでなければ家の外をぐるっと回って入らなければなりません。

「イノシシが家の周りに何匹もいるから外に出たらダメよ」

「わかってるよ」

今までも夜はハブが出るから外に出てはダメ、と言って来たのに、今度は昼でも家の中に閉じこもっていなければなりません。

「つまんないよー」

「仕方ないわよ、イノシシに取り囲まれてるんだから」

向こうの囲いには何頭残っているんでしょう。

窓から外を見て、イノシシが近くに居ないのを確認して素早く見に行きます。


「あ、いない、一匹もいない」

裏に回って見ると、表からは草に隠れて見えなかったのですが金網には大きな破れ目が・・・。

これでは元の場所に戻してもまた出てきてしまいます。

金網を直さなければ。

いえ、こんなにイノシシがウヨウヨ周りに居たのでは落ち着いて修理できません。

イノシシを追い込むのにも手が足りません。

当分は家から出られません。

外出する時は靴を抱えて窓からプレハブにササッと移って車に乗る時の三秒間だけは外の空気が吸えるというわけです。

脱走イノシシに対する三秒ルールです。

ライオンや熊が逃げ出したわけじゃないですから、それほどピリピリしなくてもいいと思うのですが、あのカミソリのように鋭い牙を知っている者にとっては、子どもを不用意に戸外に出す気にはなれません。


昔の話ですが、山中の細い一本道(おそらくけものみちと重なっていたのでしょう)を一列になって歩いていた人たちがありました。

そして反対側から来たイノシシと鉢合わせしてしまいました。

イノシシもビックリしたのでしょう。

逃げ場もなく、人間たちの間を勢いよく体当たりしながらすり抜けて通っていきました。

運悪く股の間をイノシシに通られた人がいました。

昔のことなので厚手の作業ズボンなどは履いておらず、着物でしたから、その腿の内側を牙で直に斬られて出血死してしまったという話です。


真偽のほどは確認のしようがありませんが、ありそうなことです。

うちでは毎日ふんだんに食糧は与えているし、人を襲って食べたイノシシというのは聞いたことがありません。

肉食ではないし。

でもまあ、あまり刺激せずに静かにしていた方がいいのです。

しばらくは三秒ルールを守っていました。

イノシシたちはそんなに遠くには行かないし、これ以上悪いことにはならないと高を括っていたからです。




→イノシシ天国 その14
につづく

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イノシシ天国 その14

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イノシシ天国 その13からつづく



家から一歩も出ちゃダメとは言っても、子どもたちは遊びたいのです。

家に帰ってこないで学校や友達の家で遊ぶ分にはかまいません。

夕方迎えに行ってやればいいのです。


そして、数日後、

「今日、くるみの家に遊びに行ってもいい?」

「え、ちょっと困るな」

「何で?」

「危ないからよ」

「危ないことなんかしないよ」

「そうじゃなくて、うちは危険なの」

「何が?今まで遊びに来てもよかったじゃない」

(イノシシが家を包囲してるからだよ)

「ううん、今は・・・まあいいか。その代わり家の中だけで遊んでね」

「いいよ」
うちの子は遊びに行かせているのに、よその子は出入り禁止というのもおかしいと思われます。

車に乗せて連れて来ましたが、我が家の子どもたちのように車から素早くプレハブのドアに直行してくれません。

「早く、外に居ないで、家に入るの!」

「え?」

友達の手を引っ張って急いでプレハブの中に押し込みます。

「イノシシがその辺に逃げているんだから」

「ひゃー」

「絶対に外に出ないでよ」

「うん、わかった、出ないよ」

あーあ、できればイノシシが逃げていること、誰にも知られたくはなかった。


毎日家の外に出るときは気をつけて見ているのですが、イノシシの姿が見えません。

夜行性ですから昼は藪の中などでじっとして寝ているのかもしれません。

逃げる前のイノシシたちはそうでしたから。

昼間はエサを食べる時以外はいつ見ても寝ていました。

夜は歩き回っているのかも知れませんが、もともと夜間は外には出ません。

ハブに咬まれたくないですから。

毎日同じ場所にエサだけは撒いていますがそれを食べに来た形跡があるのでたぶん遠くには行ってないでしょう。

しかしそれもあまり食べなくなりました。


「他に食べ物を見つけて生活しているってことか?」

困ったことになりました。

山に逃げてしまったらつかまえられません。

以前に逃げ出したイノシシは仲間が恋しかったのか、食べ物が山で見つけられなかったのか、だいぶ経ってから自分で戻って来ました。

そして檻の周りをウロウロと入りたそうにしていました。

一部金網を開けてやると素直に入って一件落着となったのでした。

今回もそれを期待しているのですがなかなか戻ってきません。


家のドアの前に居座られるよりは人間にとって安全ですが、財産である家畜(売りも食べもしないからペットというのでしょうか)を失うのは悲しいことです。

「いつか帰って来るさ」

(生きていれば・・・。)

心配なのは、今がイノシシの猟期だということです。

牧場の前をイノシシ狩りの車が通る時期になりました。

「うちのイノシシ撃たれちゃったりしないかな?」

「うーん、どうかな、山の中に行かなければいいんだけどねえ」

そうこうするうちに父さんが和歌山から帰って来ました。

でもおばあちゃんの所にまたすぐ帰って行かなければなりません。

手術が終わってもまだリハビリが必要なのでそのめんどうを看るために数日したらまた行くのです。

つまり島での用事を済ませるための一時帰国(?)です。


「エラいことになったなあ」

「まだ遠くには言ってないと思うんだけど」

「エサを少しずつでも食べてるんなら夜になったらここに来てるってことだろう」

運よく父さんがいる間に大きいイノシシが二頭、しかもオスとメスが帰ってきました。

逃げた檻の近くまで来ています。


「おい、おいっ・・・」

小声で父さんが呼んでいます。

「今がチャンス?」

「オレがドアをそっと開けるから、後ろから静かに追ってきてくれ」

イノシシを驚かさないようにゆっくりと近づきます。

急に近づいたり大きな声を出したりすればビックリして逃げて行ってしまいます。

「はい、はい、いい子だねえ、行きなさいよ~~」

猫なで声で優しく追って追い込み成功。

あともう一頭。

「入った一頭が逃げないように見張っててくれよ」

「見てるよ」

「そんな遠くからじゃなくて、ドアを塞いで」

「ええっ、またあ?」

せっかく入れたのにまた逃げられては困ります。

でも逃げようと突進してきたら、ドアの前にいる私はどうなるの?

「大丈夫だよ、自分から戻ってきたということは帰りたかったんだよ」

それもそうです。

入ったメスのイノシシは囲いの中で落ち着いています。

「オスはメスのそばに行きたがるもんだ」

「ふーーーん・・・」

「何をニヤニヤしてるんだよ」

「イノシシも人間も同じだと言いたいのか?」

「いえいえ、フフッ」(動物は大体そうかな?)


「ほら、オスが来た」

オスを入れるべく、ドアの前を開けます。

中のメスが出るか、その前にオスが入るか・・・。

「ゆっくり挟み撃ちにしろ」

「ハイッ、ハイッ、行きなさいよー」

「あ、入った!!」

「やったあ!」

「早くドアを閉めろ」

これでひとまず二頭は捕獲。

そしてまた父さんが出発して行ってしまいました。

まだ二頭逃げています。

実はこのころ、イノシシどころではなく、もっと大きな問題をかかえていたのでした。

牧場は経営難から危機を迎え、牧場自体の存続が危うくなっていたのでした。

そのことはいずれまた別の章にしてお話しましょう。



→イノシシ天国 その15につづく


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イノシシ天国 その15

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イノシシ天国 その14からつづく

ある日、子どもを学校に送って行ったときに学校の近くのSさんに会いました。

「ねえねえ、牧場のイノシシ逃げたって言ってたでしょ」

「え?」

どうして知ってるの?!あ、このまえ遊びに来た子か。家に帰ってお母さんに話して、お母さんが近所のひとと会話して・・・。

「それが何か?」

「昨日隣村の学校のPTAにイノシシ肉の寄付があってね」

「はい・・・」

イヤな予感。

Sさんは隣村で仕事をしていたこともあるし、顔が広いのです。耳も早いけど。

「そのイノシシは、隣村のUさん、あなたも知ってるでしょ、牛飼い仲間だから」

「うんうん、・・・・・・・」

ますますイヤな予感。

「そのUさんがお宅の牧場のすぐ裏の山に入って鉄砲で獲ったんですって」

ドキッ!!!!

「大きくて、よく太って、普通のイノシシとちがってたって」

ガーーン!!!!!!!

「毛の色も、肉の色もちがったって言ってたよ」

ああああああ、決定的。グスン。

「・・・・・・・・・・」

「お宅が飼ってたイノシシって本土のもので種類が違うって言ってたよね」

「うん、そうだけど・・・・」

「獲れたイノシシはそれじゃなかったの?」

たぶんそうです、いえ、まちがいなくそうです。

そりゃあ、よく太っていたはずです。

毎日エサをやって囲いの中でのんびりくらしていたのですから。

でも、それはうちのイノシシだ、なーんて言ってもその証拠はないし。

主張するとかえって困ることになります。

イノシシを逃がしたという責任がかかってきます。

近くの畑は山のイノシシの被害が多くて農家の人は迷惑していたのです。

畑の作物をかじったり、草の根を食べるために牧草地を鼻で掘って荒らしたり。

そういう害獣を放してしまったということが知れたら苦情が来ないとも限りません。

それにしても、今まで何年もエサをやり続けていたのは何のためだったの。

和歌山の田舎から何時間も車を運転して関空まで運び、人間並みに高いペット貨物料金を払って飛行機に乗せて連れて来たイノシシが・・・。

本土産のイノシシと地元のリュウキュウイノシシといっしょに飼って掛け合わせを育てるんだということでしたけど。結局両者の間に子どもは産まれず、雑種のイノシシを作ることはできませんでした。

牧場に遊びに来たお客さんに見せて自慢していただけでした。

『食用にしないのにどうして買っているんですか』と聞かれて、

『毎日エサをやっているだけです』と答えていた父さん。

でも、毎日エサをやっていたのは私なんですけど。



「残念だったね、獲られちゃって」

考え込んでいた私を気遣って気の毒そうに声をかてくれるSさん。

「え?あ、う、うん・・・・・・」

「それで、そのイノシシだけど」

「はい」

「すぐそばでもう一頭、合計二頭獲ったんだって」

「えーーーーーーーーーーっ!二頭とも獲られちゃったの?!」


ギャフン!


カウボーイのお引越し その1につづく

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